カゲロウとウスバカゲロウ(アリジゴク)の違いと寿命。成虫の特徴と生態

生物・生態

カゲロウの寿命は本当に短い…




カゲロウの寿命は本当に短かったのです…

私たちが普段あまり目にすることのない昆虫「カゲロウ」。このカゲロウは、成虫になってからの寿命がとても短いことで知られています。


平均的な寿命はわずか1日



長く生きる種類でも数日〜1週間程度しか生きることができません。


さらに寿命が特に短い種類だと、なんと3〜5時間程度でその一生を終えてしまうものもいるのです。


こんなに短い命だなんて、ちょっと信じられませんよね。



「カゲロウ」という名前は、なんとなくイメージが湧くかもしれませんが、夏の暑い日に道路の上などにゆらゆらと現れては消える気象現象 “陽炎(かげろう)” の儚さにちなんでつけられたといわれており、




その命の短さがまさに陽炎のように感じられることから名付けられたとされています。




そして、寿命が短いのにはちゃんと理由があるのです。


死なない生物がいる…??推定5億歳…



カゲロウの寿命はなぜそんなにも短い?





では、どうしてカゲロウの寿命はそんなにも短いのでしょうか?


それは、成虫になるとエサを一切食べないからです。


成虫のカゲロウは、口が退化していて食べ物を摂取することができません


つまり、成虫になると、すでに「食べる」という機能を失ってしまっているのです。




それはつまり、「生きながらにして、死に向かっていく」ような状態とも言えるかもしれません。



ですが、カゲロウの一生が短いからといって、それが無意味というわけではありません。


実は、カゲロウは幼虫の期間がとても長く、1年ほど水中で過ごします




この間は、水の中でしっかりと成長しながらエサを食べて生き延びています。


そして、成虫になるのはただひとつ、「繁殖」のため。成虫になると、すぐに交尾をし、産卵をします。



エサも食べず、休む間もなく、命をつなぐためだけに生きているのです。


そのため、成虫になってからの行動は非常に早く効率的です。




孵化(ふか)してから一斉に飛び立ち、あっという間に繁殖をすませて、また次の命を残して静かにその一生を終えていきます。

※「孵化(ふか)」とは、卵から生き物がかえること。




カゲロウたちは、天敵に見つからないように一斉に成虫になり、一気に繁殖してすぐに死ぬという戦略をとっているのです。



この一見不思議にも思えるサイクルも、自然の中で生きていくための工夫のひとつであり、ほんのひとときの命であっても自分たちの役割をしっかり果たそうとする、その姿には力強さを感じます。

たった数時間でも、自分のすべきことをやり遂げていく。




そう思うと、ちょっと切ないけれど、どこか尊さすら感じてしまいますね…。




 カゲロウとウスバカゲロウ(アリジゴク)は違う昆虫?



ちなみに、カゲロウは水中で幼虫が育ち、成虫になると口が退化して短命ですが、ウスバカゲロウ(アリジゴク)は砂地で幼虫が生活し、成虫は口が発達していて寿命も長めです。



そのため、生態や生活環境、寿命が異なる別の昆虫となります。

項目カゲロウウスバカゲロウ(アリジゴク)
分類(科名)カゲロウ目アミメカゲロウ目 ウスバカゲロウ科
幼虫の生活場所水中(川や池の水底)砂地や土中(陸上の土の中)
幼虫の特徴えらがあり、水中を泳ぐ地中にすり鉢状の穴を掘り、獲物を待つ
成虫の口退化しており、エサを食べない発達していて、餌を食べることができる
成虫の翅透明で繊細大きく羽ばたきやすい翅を持つ
成虫の寿命非常に短い(数時間〜1週間程度)数週間〜1か月ほど
生態の特徴一斉に発生して短期間で繁殖・死滅幼虫は捕食者、成虫は長期間活動できる

 

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