電車が動く仕組み

「電車って電気で走るのは知ってるけど、電気はどこから来て、どうやって使われ、どこへ行くの?」
そんな疑問を持つ方に向けて、今回は電車が動くまでの「電気の旅」をわかりやすく解説します!
1. 電気のはじまり|発電所で電気をつくる

すべては電力会社の発電所から始まります。
火力・水力・原子力・再生可能エネルギー(太陽光・風力など)を使って、電気がつくられます。
この電気は、高圧(数万ボルト)で送電線を通って、各地に送られていきます。
2. 鉄道会社の「変電所」で変圧して鉄道用に調整

発電所から来た高圧の電気は、鉄道会社の変電所に届きます。
変電所では、電圧を電車で使えるレベル(例:1,500V)に下げ、直流や交流に変換して路線に電気を供給します。
3. 架線・第三軌条を通じて電車に供給

電気は「架線(かせん)」や「第三軌条(だいさんきじょう)」を通って、電車に送られます。
- 架線方式:電車の上の電線(主に地上線や新幹線など)
- 第三軌条方式:線路の横にある導電レール(主に地下鉄など)
4. パンタグラフで電気をキャッチ!
(パンタグラフ)
電車は屋根についている「パンタグラフ」で架線に接触し、電気を受け取ります。
この電気が、走行のためのエネルギー源となるのです。
5. VVVFインバータで電気を制御してモーターへ

受け取った電気は、車内の「VVVFインバータ」で制御されます。
これにより、電圧や周波数が調整され、車両のモーター(主電動機)に供給されます。
VVVF制御のおかげで、滑らかで静かな加速や省エネ走行が可能になります。
6. モーターが車輪を回して電車が走る!

モーターが車輪を回すことで、電車が前に進みます。
つまり、電気→回転エネルギー→車輪→走行という流れになります。
このとき使われた電気は基本的に「使い切り」で、他には戻りません。
7. ブレーキ時には電気が“戻ってくる”って本当?

ここが電車のすごいポイント!
実は、電車がブレーキをかけるとき、モーターを逆に使って電気をつくる(=回生ブレーキ)というしくみがあります。
- ブレーキ時、モーターが発電機のように働く
- 生まれた電気は車輪 → レール → 変電所や他の電車へ流れていく
- 使いきれない電気は、変電所や抵抗器で熱として処理される
つまり、電気は車輪からレールを通って戻っていくことがあるのです!
⚠️ただし、すべての電車が電気を“戻す”わけではない
注意したいのは、すべての電車が回生ブレーキを備えているわけではないということです。
- 古い車両や特定の地下鉄では、回生ブレーキの代わりに抵抗ブレーキ(熱に変える方式)を使うこともあります。
- また、回生した電気を受け取る他の電車が周囲にいないと、戻った電気は無駄になる可能性もあります。
レールや電車線に触れると感電するの…?

ここで1つ疑問なのですが、踏切などでレールや電車線に間違って触れてしまい、感電してしまうことがないのか?というこですが、

レールの場合は基本、微量の電圧なので危険性は低いとされていますが、電車線〔パンタグラフが触れている部分〕の場合、過去、実際に触れてしまい感電死した事故があったということです…
電気の流れのまとめ

通常の走行時(電車が走るまで)
発電所
↓
(高圧の送電線)
↓
鉄道会社の変電所(電圧を下げる)
↓
架線 or 第三軌条(=電車に送る線)
↓
パンタグラフ(電車が電気を受け取る)
↓
VVVFインバータ(電気を制御)
↓
モーター(車輪を回す)
↓
🚃 電車が走る!
🛑ブレーキ時(電気が戻る場合)
ブレーキをかける
↓
モーターが発電機になる(回生ブレーキ)
↓
電気が発生!
↓
車輪 → レールへ
↓
近くの電車 or 変電所へ電気が戻る
(使い切れない電気は熱として処理)
- 特に回生ブレーキのとき、車輪→レール→変電所へ電気が帰っていくことも!
- 電気は「一方通行」だけではなく、ときどき戻ってくる!
電車の電気の流れは、「供給」だけでなく、回収・再利用まで含んだ非常に効率的な仕組みです。
ふだん何気なく乗っている電車にも、こんな見えない「電気の旅」があるんですね。!

