ポテトチップスの歴史と起源:誕生の裏に隠された“偶然のドラマ”?

ポテトチップス。
それは世界中で愛されるサクッと軽い魔法のスナック。
でも、その始まりがたった一人のお客の「クレーム」だったとしたら——
あなたは信じますか?
『サラトガチップス』とは?: ポテトチップスの誕生は1853年

〔Moon’s Lake House〕
「怒り」が生んだスナック界の革命
1853年、アメリカ・ニューヨーク州の高級リゾート地、サラトガスプリングス。
そこにあった一軒のレストラン『Moon’s Lake House』で、まさかの発明が生まれます。
料理人ジョージ・クラムは、その日も忙しく調理をしていました。

〔ジョージ・クラムと義理の妹ケイトおばさん〕
そんな中、ある客〔鉄道王で大富豪のコーネリアス・ヴァンダービルトではないかといわれる〕が、フライドポテトが厚すぎると、何度も文句を言ってきたのです。

〔コーネリアス・ヴァンダービルト〕
とうとう我慢の限界を超えたクラムは、
「そこまで言うなら、思いっきり薄くしてやる!」

と、ジャガイモを紙のようにスライスし、客を困らせてやろうとカリカリになるまで揚げて出しました。
その結果は——
まさかの大絶賛!
そのジャガイモが、 “サラトガチップス” と呼ばれ、今日のポテトチップスの原型になったと言われます。
※この話には確かな証拠がなく、後に宣伝目的で作られた逸話である可能性も指摘されています。実際のところ、ポテトチップスの起源は19世紀のアメリカ各地で自然に広まったものだとも考えられています。
なぜ世界に広がったのか?

工業化・大量生産の波に乗って
1920年代になると、ポテトチップスは袋詰めされて販売されるようになり、スナック菓子としての地位を確立していきます。
そして、1930年代に登場した「自動ピーラー(皮むき機)」によって生産効率が爆発的に向上。
さらに1940年代には、現在のような密封パッケージ技術が開発され、全国どこでも“パリッと新鮮なチップス”が楽しめるようになりました。
日本でのポテトチップスの誕生はいつ?
年 | 企業・ブランド | 出来事・ポイント |
---|---|---|
1956年 | フラ印(濱田音四郎) | ハワイで製法を学んだ濱田氏が、日本初のポテトチップス「フラ印」を発売。手作り少量生産。 |
1962年 | 湖池屋(Koikeya) | 日本初の量産型ポテトチップス「ポテトチップスのり塩」を発売。家庭に浸透し始める。 |
1975年 | カルビー(Calbee) | 「ポテトチップスうすしお味」が大ヒット。全国的な人気を獲得し、定番おやつに。 |
1980年代以降 | 各社 | コンソメ・バター醤油・明太マヨなど、味の無限進化がスタート。ポテチは多様化の時代へ。 |
1956年 日本最古のポテトチップス
日本で最初にポテトチップスが登場したのは、1956年。
濱田音四郎氏がハワイでポテトチップスの製法を学び、帰国後に「フラ印ポテトチップス」として販売を開始しました。
これが、日本最古のポテトチップスとされています。
1962年 「湖池屋」がポテトチップスを量産
続いて、1962年には「湖池屋」が登場。
同社は「ポテトチップスのり塩」を量産体制で発売し、家庭でも気軽に食べられるスナックとして広めました。
1975年 カルビー「うすしお味」が全国的に大ヒット!
そして、1975年には「カルビー」が「うすしお味」で市場に参入。
シンプルな味わいと安定した品質が受け入れられ、全国的に大ヒットを記録しました。
この成功をきっかけに、ポテトチップスは誰もが知る定番のお菓子として広く浸透していきます。
その後、コンソメ、チーズ、バター、明太マヨネーズなどなど、個性豊かな味が続々と登場し、「フレーバー進化の時代」が幕を開けました。
まとめ|世界のポテトチップスの歴史(日本登場前まで)
年代 | 出来事・発展 | 地域 | 主なブランド・人物 |
---|---|---|---|
1853年 | レストランの客(ヴァンダービルト)のクレームに応じて極薄のフライドポテトを提供(発祥説のひとつ) | アメリカ | ジョージ・クラム(発明者とされる) |
1895年 | 農業経営者ウィリアム・タッペン・ドーラーが、余ったジャガイモを活用して地域の家庭用にポテトチップスを製造・販売開始。小規模ながら商業生産の先駆けとなる。 | アメリカ(オハイオ州) | ウィリアム・タッペン・ドーラー |
1920年代 | 工業化・量産体制が確立、袋詰めポテトチップスの販売が始まる。ポテトスライサーや自動包装機の導入が進む。 | アメリカ | 地元業者から全国メーカーへ発展 |
1932年 | Frito Company(後のフリトレー)設立。トウモロコシ菓子と並行してポテトチップスも展開。 | アメリカ | フリト(Fritos) |
1938年 | Lay’s設立。全国規模の販売網とラジオ広告で知名度を急拡大。 | アメリカ | Lay’s(レイズ) |
1954年 | 世界初のフレーバー付きポテトチップス(チーズ&オニオン)誕生 | イギリス | Tayto(テイトー) |
このように、1853年アメリカで偶然から生まれたスナックは工業化によって世界中へ拡大。日本では、1970年代に本格的に普及し始めました。
こうしてポテトチップスは、時代とともに進化し続ける国民的スナックとなったのです。

