コウモリは鳥類?それとも哺乳類?

コウモリは飛びますが、何か鳥とは違う気がしますよね…
それでは、どこに分類されている動物なのでしょうか…?
コウモリは鳥類ではなく哺乳類

実は、コウモリは鳥類ではなく哺乳類に分類されています。
鳥でなければ、あの翼のようなものは一体何になるのでしょうか…?
その答えは、手のひらが進化したものになります。

↑この写真だと分かりやすいかもしれません。
コウモリは唯一飛べる哺乳類

コウモリは唯一飛ぶことができる哺乳類で、あの薄い翼のようなものは、飛膜(ひまく)といって伸縮性があるのですが、しっかりと5本の指があり骨もあります。
そして、特殊な細い筋肉も持ち合わせているということなのです。
この特殊な筋肉と骨によって飛膜の形も自由に変えれるため、無駄なエネルギーを使わず機敏な飛行ができていたのです。
そして、この翼のような手のひら(飛膜)ですが、再生能力も高く、たとえ破れたとしても栄養状態がよければ数週間もするともとに戻ります。
鳥類のように卵ではない
コウモリは哺乳類のため、一般的な哺乳類と同じように、胎生(たいせい)〔親の体のなかで栄養を供給しある程度大きくなってから体外に出す〕によって繁殖します。
鳥類のように卵生(らんせい)ではないのです。※ちなみに、カモノハシは哺乳類ですが卵を産みます。
そして、実はその哺乳類のなかでもコウモリ目の数はとても多く、哺乳類全体の約4,000種類のうち、約1000種類(4分の1)近くを占めているようです…
コウモリは人間の血を吸わないの?

コウモリと聞くと吸血コウモリを連想してしまいがちですが、本当に人の血も吸ったりするのでしょうか…?
吸血するコウモリは世界で3種類のみ

〔ナミチスイコウモリ〕
吸血するコウモリ〔チスイコウモリ科〕は、世界で約1,000種類もいるコウモリの中でも中南米に生息する3種類しかいなく、それ以外のコウモリは、虫や木の実、花の蜜や花粉、ほんの一部は魚を食べて生活しています。

人の血は吸わないのか…?
そして吸血コウモリといわれる、チスイコウモリ科の種類でも普段は牛や豚などの大型の動物や、鳥の血などを吸っている場合が多いようです。
ただし、人の血は吸わないのか…?
というと、そうとも言えないようで、最近の研究結果〔DNA鑑定〕によると、人の血液もコウモリのフンから採取されるようになってきているようです。
この変化の理由として、
- 新しい食べものとして人間の血にも興味を示した…?
- 森林伐採により攻撃性を増している…?
などと、考えられているのですが、今のところはっきりとしたことは分かっておらず、寝ている間などを狙って、血を吸いに来ることもあるようです。
個体が小さいため少量の血液しか吸えないので、大量出血とはなりませんが、噛まれたりすれば狂犬病などを媒介する可能性もあるので、注意が必要とされています。
コウモリはぶら下がっていて頭に血がのぼらない?
もしも、人間がコウモリのようにずっと逆さにぶら下がっていたら、頭に血がのぼって大変ですが…

どうしてコウモリは平気なのでしょうか?
コウモリは見た目以上に軽い!
それは、コウモリの重量が大きく関係しているのです。
コウモリは見た目以上にとても軽く、日本の家屋にも住み着いてしまう「アブラコウモリ」でしたら、大きいものでも10g程度〔塩小さじ2杯ぐらい〕しかありません。
(アブラコウモリ)
世界で最大級のオオコウモリは、翼を広げると1.5m以上にもなるのに、それでも体重は1.5㎏ぐらいしかないと言われます。
(インドオオコウモリ)
例えば、ワシのような鳥類で翼が1.5mを超えるようなクラスだと5㎏ぐらいはあるそうなので、コウモリがとても軽いということが分かります。
人間では重力に逆らえないが…
人間の場合ですと、体重の13分の1ぐらいに値する量の血液が循環しており、重力に逆らえばもちろん血液が集中してしまうのですが、コウモリぐらいに軽量になってしまうと、血流が重力に影響しないということなのです。
そのため、足で立つことを苦手としているコウモリの場合は、特殊なフックのような足でぶら下がっている時が、逆にリラックスしている時といえるのです。

そして高い位置にいることにより天敵からも身を守ることができ、飛び立つときにも足を離して翼を広げるだけなので利点も多いといわれています。
その為、コウモリは死んでからもずっとぶら下がったままのことがあるそうです…
コウモリは昼間どこにいる…?

夕暮れ時にパタパタと飛んでいるものをよく見るとコウモリだったなんてことがあるかもしれませんが…
昼間はいったいどこにいるのでしょうか?

日本に生息する、街中などで見かける小さいコウモリのほとんどが『アブラコウモリ』↓という種類なのですが、

別名『イエコウモリ』とも言われ、その名のとおり日中は家の屋根裏や倉庫などの建物、そのほか橋の下やトンネル、洞窟などの薄暗い場所に住み着いており、50~60匹単位の集団で生活している場合もあるようです。
そして、夜行性であるアブラコウモリは夕方になると活発に活動を始め、ユスリカや蚊、小さい昆虫を捕食するために飛び立っていたのです。
コウモリには寄生虫や雑菌がたくさん…

日本でよく見かけるこのアブラコウモリは、先ほどもお話しした通り蚊やユスリカ、小型の昆虫などを餌として食べてくれるので、益獣〔人間にとって利益のある動物〕でもあるのですが、実は、やっかいなのが寄生虫と雑菌なのです。
日本では現在、コウモリが直接的な原因での病気はないとされていますが、寄生虫〔ダニ、ノミなど〕などがついていたり、ウイスルを保有していることもあり、感染症を媒介する可能性はあるそうです。
さらにフンは、昆虫を捕食しているため乾燥して崩れやすいので、空気中に舞い上がりやすく、カビや雑菌、ダニ、ノミなども含んでいることもあり、アレルギーの原因になったりもします。
そのため、見つけても素手で直接触ったりはしないほうがよさそうです…
ちなみに海外での場合、コウモリによる病原菌によって高熱を出したり、肺炎や脳炎、感染症による出血などに見舞われることもあるので、人間にとって害をもたらす動物〔害獣〕として扱われていることも多いといわれています。
100万円の罰金も…⁉ 知っておくべきコウモリ保護の法律

害獣ともいわれてしまう、そんな厄介なコウモリが法律で保護さているとはどういうことなのでしょうか…?
コウモリ退治で罰金…?
実は、コウモリは害虫などの虫とは違って、野生の鳥類や哺乳類と同じように法律上では保護されています。
その為、たとえ日本でコウモリが家に住み着いてしまっても、野生のコウモリを許可なく飼育目的で捕獲したり、駆除するために殺傷したりしてしまったら、法律によって罰せられる可能性があります。
※家屋に住み着くのはほとんどの場合、アブラコウモリ(イエコウモリ)です。
(アブラコウモリ)
鳥獣保護法で一年以下の懲役又は百万円以下の罰金も…⁉
これらは鳥獣保護法というもので定められているのですが、これに違反したものは、なんと一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するとなっています。
その為、被害がひどい場合でも、専門業者などにお願いしてコウモリを追い払うことしかできません…

