温度計の仕組みとは?
今回は、私たちが日常的に使っている温度計の仕組みについてお話しします。
温度計は、気温や体温など、温度を測るためにとても便利な道具です。けれども、どのようにして温度を測っているのでしょうか…?
ここでは代表的な3つの温度計について説明していこうと思います!
温度計のはじまり
温度計は、1593年頃にガリレオ・ガリレイの発明によって始まったといわれます。
ガリレオは最初の温度計であるサーモスコープ〔温度の変化を示す装置〕を発明したのですが、水の膨張と収縮を利用して温度を測定しました。
ガリレオ温度計
〔ガリレオ温度計〕
ガリレオ温度計は、液体の温度によって浮かぶ球の位置が変わるのですが、仕組みは以下のようになります。
- 温度計には液体が入っています。
- いくつかの小さな浮球が入っておりそれぞれ異なる重さです。
- 液体の温度が変わると、その液体の密度が変わり浮球の浮かぶ高さが変わります。
高温になると液体の密度が低くなり浮球が下に沈み、低温になると密度が高くなり浮球が上に浮かびます。
ガリレオはこのようにして、浮力の変化を利用して温度を読み取ることを発見しました。
その後、さまざまな学者によって改良が加えられ、現在のような精度の高い温度計が誕生していきます。
液体温度計
まず、最も一般的な液体温度計について説明します。
液体温度計には、水銀やアルコールが使われています。この温度計の仕組みは、液体が温度によって膨張したり収縮したりする性質を利用しています。
現在は、水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀法)により、2021年1月1日以降の水銀使用製品の製造と輸出入は禁止されています。
水銀温度計
仕組み
- 水銀温度計はガラスの管の中に水銀が入っています。温度が上がると水銀が膨張して上昇し、温度が下がると水銀が収縮して下がります。
- 管には目盛りが付いており水銀の高さを読むことで温度を知ることができます。
ポイント
- 水銀の膨張と収縮は非常に正確なので精度が高いです。
- しかし、壊れると有害な水銀が漏れるため、扱いには注意が必要です。
- 現在は水銀法によって製造と輸出入が禁止されています。
アルコール温度計
仕組み
- アルコール温度計は、水銀の代わりにアルコールを使用します。原理は水銀温度計と同じで、アルコールが膨張・収縮することで温度を測定します。
- アルコールは染料で着色されているため液柱が見やすくなっています。
ポイント
- 水銀よりも安全で、低温でも凍らないので冷凍庫などの低温測定に適しています。
- ただし、精度は水銀温度計に比べるとやや劣ります。
デジタル温度計
次に、デジタル温度計を見ていきましょう。
デジタル温度計は電子技術を利用して温度を測定します。
デジタル温度計
仕組み
- デジタル温度計には、温度を感じるセンサーが内蔵されています。このセンサーは、一般的にサーミスタや熱電対(ねつでんつい)と呼ばれる材料で作られています。
- センサーは温度が変化すると電気抵抗が変わります。この変化を利用して温度を測定します。
- そして、測定された温度はデジタルディスプレイに表示されます。
ポイント
- 簡単に正確な温度を測定でき読み取りが容易です。
- 電池が必要ですが、使用範囲が広く衛生的です。
【サーミスタ】とは?
サーミスタは温度を測るための小さな部品です。
温度が変わるとサーミスタの中を通る電気の流れが変わります。この変化を使って温度を知ることができます。
例えば、電子レンジや冷蔵庫、デジタル体温計などに使われています。
【熱電対(ねつでんつい)】とは?
熱電対は温度を測るための特別なワイヤーです。
2種類の金属のワイヤーを一緒にくっつけて、その接点が温度によって電気を作り出します。そして、この電気の量を測ることで温度が分かります。
熱電対はオーブンや工場の機械など、いろんな場所で使われています。
放射温度計(ほうしゃおんどけい)(赤外線温度計)
最後に、放射温度計(赤外線温度計)について説明します。
すべての物体は温度に応じて赤外線を放射しているのですが、放射温度計(赤外線温度計)はこの赤外線を検出して温度を測ります。
この種類の温度計は、遠くからでも(非接触で)温度を測ることができるのが大きな特徴です。
放射温度計(ほうしゃおんどけい)(赤外線温度計)
放射温度計(赤外線温度計)は、物体が放つ目に見えない赤外線を使って温度を測る道具です。
仕組み
- すべての物体は温度に応じて赤外線を放射しているのですが、放射温度計はこの赤外線を検出し強さを測定します。
- 測定された赤外線の強さを基に電気信号に変換します。
- その電気信号を温度に変換してディスプレイに表示します。
ポイント
- 人や物に触れずに温度を測れます。
- 瞬時に温度を測定できます。
- 危険な物や遠くの物の温度も安全に測れます。
まとめ
温度計にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる仕組みを利用しています。
- 液体温度計: 液体の膨張と収縮を利用する。
- デジタル温度計: 電子技術を使う。
- 放射温度計(赤外線温度計): 物体が放つ赤外線を検出する。
温度計と一口に言っても、いろいろな仕組みがあるんですね!