台風、ハリケーン、サイクロンの違いとは?
自然災害の一つである「台風」「ハリケーン」「サイクロン」。
これらの言葉は天気予報などで耳にしますが、実際のところ何が違うのでしょうか…?
実は、場所と呼び方が異なるだけでこれらは同じ現象を指しています。
台風、ハリケーン、サイクロンはすべて「熱帯低気圧」と呼ばれる激しい嵐の一種になるのですが、風速がある一定の基準を超えると「台風」「ハリケーン」「サイクロン」のように呼ばれるようになります。
熱帯低気圧(ねったいていきあつ)とは?
熱帯低気圧は、熱帯地方で発生する強い風や雨を伴う低気圧〔周囲より気圧が低い部分〕のことです。
簡単に言ってしまうと、海の上で発生する大規模な渦巻きで、風と雲が集まってできる現象となります。
熱帯低気圧は、暖かい海水が蒸発してできた水蒸気が空に上がり、冷やされて雲ができるときに発生するのですが、このとき水蒸気が熱を放出して空気を温めるため〔水蒸気は水に戻るときに熱が放出される〕、暖かい空気が軽くなり、さらに上昇。
それにより周りの空気も巻き込んで風が強くなっていきます。
この上昇する空気が渦を巻き、中心に向かう風が強まり、熱帯低気圧が形成されます。
「台風」「ハリケーン」「サイクロン」 風速の定義
まず、「台風」「ハリケーン」「サイクロン」と呼ばれるようになる風速の定義は、簡潔にまとめると次のようになります。
【台風】
最大風速が約17メートル毎秒以上。
【ハリケーン】
最大風速が約33メートル毎秒以上。
〔最大風速が約17~33メートル毎秒のことを「トロピカル・ストーム」などという〕
【サイクロン】
最大風速が約17メートル毎秒以上。
発生場所による名前の違いについて
台風(Typhoon)
東経180度(日付変更線)より西で東経100度まで、北西太平洋および南シナ海の地域で発生する熱帯低気圧を「台風」と呼びます。
具体的には、日本、フィリピン、中国、台湾、韓国などの地域で影響を与える嵐が「台風」と分類されています。※赤道より下になるとサイクロンになります。
台風は通常、7月~10月の間に発生し、その規模や進路は日本にとって重大な影響を与えることがあります。
ハリケーン(Hurricane)
ハリケーンは、大西洋と北東太平洋で発生する熱帯低気圧に対して使われる言葉で、主にアメリカやカリブ海の島々に影響を与えます。
〔ハリケーン・イザベル〕
ハリケーンに名前がついている理由
ハリケーンに名前を付けるようになったのは、複数の嵐が同時に発生した際に混乱を避け、効率的に情報を伝えるためと言われます。
名前を付けることで、予報や警報を簡単に発信することができ、住民が危険を認識しやすくなったそうです。
〔ハリケーン・カトリーナ〕
ハリケーンの名前はどうやって決める?
各海域には6年分の名前リストがアルファベット順に予め決められており、6年ごとに繰り返し使用されます。
大きな被害をもたらしたハリケーンの名前はリストから外され、新しい名前が追加されます。それにより、過去に起こった大災害と同じ名前が再び使用されるのを防いでいます。
サイクロン(Cyclone)
〔サイクロン・ガフィロ〕
サイクロンは、インド洋や南太平洋で発生する熱帯低気圧に対して使われる言葉です。
※赤道より上で東経100度から東経180度(日付変更線)までは台風になります。
インドやバングラデシュ、オーストラリアなどに影響を与えることが多く、特にインド洋では非常に強力なサイクロンが発生し、甚大な被害をもたらすことがあります。
越境台風(えっきょうたいふう)とは?
越境台風とは、ハリケーンやサイクロンが発生した地域を超えて、台風に分類されたり、逆に台風がハリケーンやサイクロンとされる地域に超えていったものを指して言います。
ちなみに例えば、ハリケーン → 台風に変わったとしても、既にハリケーンに名前が付けられていた場合、その名前は越境後も引き続き国際名として使用されます。
まとめ
台風、ハリケーン、サイクロンはすべて強い熱帯低気圧で、発生する地域によって異なる名前が付けられます。
「台風」は西太平洋で、「ハリケーン」は北大西洋と北東太平洋で、「サイクロン」はインド洋や南太平洋で発生します。
地域により異なる名称が使われるものの、どれも猛烈な風、豪雨、高潮を伴い、甚大な被害をもたらす危険な自然現象となります。