雲の高さってどれくらい?
時季によって雲の形や大きさの特徴がかわってきますが、あの近いようで遠くにある雲は、いったいどれくらいの高さの雲なのでしょうか…??
雲の種類は国際的な基準〔世界気象機関〕で、大きく10種類に分類されているのですが、そのことを十種雲形(じゅっしゅうんけい)と呼ばれています。
① 巻雲(けんうん) 通称:すじ雲、しらす雲
② 巻積雲(けんせきうん) 通称:うろこ雲、いわし雲、さば雲
③ 巻層雲(けんそううん) 通称:うす雲
④ 高積雲(こうせきうん) 通称:ひつじ雲、まだら雲、だんだら雲、むら雲
⑤ 高層雲(こうそううん) 通称:おぼろ雲、どんより雲
⑥ 乱層雲(らんそううん) 通称:雨雲、雪雲
⑦ 層積雲(そうせきうん) 通称:くもり雲、うね雲、まだら雲、むら雲
⑧ 層雲(そううん) 通称:きり雲
⑨ 積雲(せきうん) 通称:わた雲
⑩ 積乱雲(せきらんうん) 通称:にゅうどう雲、雷雲
それでは、それぞれの雲の特徴を高度の高い方から順にみていきたいと思います。
上層雲 高度5,000m以上
① 巻雲(けんうん) 通称:すじ雲、しらす雲
位置:
- 高度5,000~13,000mあたりでみられる。
特徴:
- 絹糸や羽毛が散らばったような形、ハケで擦ったようにも見える。
- 上空に強い風があるときに出現しやすい。
- 春、秋によくみられる。〔日本の中緯度地域〕
- 氷晶〔微小な氷の結晶〕の雲。
天候:
- 晴天の場合が多いが、かぎ状に曲がると天候が傾く可能性がある。
② 巻積雲(けんせきうん) 通称:うろこ雲、いわし雲、さば雲
位置:
- 高度5,000~13,000mあたりでみられる。
特徴:
- 小さな雲の塊が群れているような空で、魚のうろこだったり海辺のさざ波のようにも見えることがある。
- 白色の雲で、影がない〔黒く見えない〕場合が多い。
- 雲がすぐに消えることも多い。
- 春、秋によくみられる。
- 氷晶〔微小な氷の結晶〕の雲。
天候:
- 雲が消えずにまとまってくると、天候か傾きやすくなる。
③ 巻層雲(けんそううん) 通称:うす雲
位置:
- 高度5,000~13,000mあたりでみられる。
特徴:
- 薄いベール状の白い雲。
- 空全体や半分ぐらいを覆うことが多い。
- 太陽や月にかかると、暈(かさ)を生じることが多い。※暈とは、太陽や月などの周囲に見える輪状の光
- 氷晶〔微小な氷の結晶〕の雲。
天候:
- 天気が崩れる前兆で、雨になりやすい。
中層雲 主に高度2,000~7,000mぐらい
④ 高積雲(こうせきうん) 通称:ひつじ雲、まだら雲、だんだら雲、むら雲
位置:
- 高度2,000~7,000mあたりでみられる。
特徴:
- 雲の塊が規則正しく並んでおり、ヒツジの群ように見える。
- 白や灰色の雲で、影がある〔黒く見える〕場合もある。
- 巻積雲よりも高度が低くて、雲が大きな塊となる。
- 主に水滴の雲で、一部は氷晶〔微小な氷の結晶〕の場合もある。
天候:
- この雲はあとには、雨が降る可能性がある。
⑤ 高層雲(こうそううん) 通称:おぼろ雲、どんより雲
位置:
- 高度2,000~7,000mあたりでみられる。
特徴:
- 灰色の厚みがある雲が、空全体を覆うことが多い。
- 層が重なる場合が多い。
- 高層雲が厚みをまして、乱層雲となることが多い。
- くもりガラスでみたような雲で、雲が薄い時は太陽や月がぼんやり見える。
- 主に水滴だが、一部氷晶の場合もある。
天候:
- 雨が降ることが多い。
太陽はどうやってできたの…?太陽の温度はどれくらい?もしも太陽がなくなったら…
⑥ 乱層雲(らんそううん) 通称:雨雲、雪雲
位置:
- 高度2,000~5,000mあたりにみられる。
特徴:
- 全天を厚く覆っている灰色の雲。
- 雨を降らせる雲といえば、乱層雲。
- 断片的なちぎれ雲が多くみられる。
- 高層雲が厚く低くなってくると乱層雲になりやすい。
- 下部は暗い雲〔影がある〕のことが多く、雲底は乱れている場合が多い。
- 水滴と氷晶からなる。
天候:
- 連続的な雨、雪になりやすい。
下層雲 地上近く~高度2,000mぐらい
⑦ 層積雲(そうせきうん) 通称:くもり雲、うね雲、まだら雲、むら雲
位置:
- 主に高度500~2,000mあたりでみられる。
特徴:
- 大きい雲の塊が群れをなしていたり、雲の層が規則正しく重なって空を覆いかぶせたりする。
- 畑のうね〔作物を植え付けるのに細長く直線状に土を盛り上げた所〕に似ているため、うね雲ともいう。
- 灰色か白色の雲で、下部のほうに一部暗い雲〔影〕がある。
・日中に発達しやすく、夕暮れに向かって消えやすい。
- 冬に多くみられる。
- 水滴の雲。
天候:
- 一時的な雨はあるが、雲の上は晴れている場合が多い。
⑧ 層雲(そううん) 通称:きり雲
位置:
- 主に地上近く~600mあたりで多く見られる。
特徴:
- 灰色の層や霧状になっている。
- 雲の中で最も低い位置でみられる。
- 層雲が地上近くまで来ると『霧』といわれる。
- 雲底が平らになりやすい。
- 乱層雲との違いとして、層雲は霧雨である。
- 水滴の雲。
天候:
- 霧雨が降っていることが多い。
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対流雲 高度500~15,000mぐらい
⑨ 積雲(せきうん) 通称:わた雲
位置:
- 主に高度500~2,000mあたりでよくみられる。
- 大きく発達した雄大積雲だと、高度10,000mを超える高さになる。
特徴:
- ワタのような形の雲で、垂直に発達しやすい。
- 上昇気流があるときに発達し、大きくなると雄大積雲となる。更に発達し、氷晶が発生すると積乱雲になる。
- 高度が高いと、高積雲になる。
- 雲底は平らでそろった高さにになることが多い。
- 夏の日中に発達することが多く、夕方には消えてしまうことが多い。
- 水滴の雲。
天候:
- 晴れているが、雲が大きく発達するとにわか雨を降らせるときがある。
⑩ 積乱雲(せきらんうん) 通称:にゅうどう雲、雷雲
位置:
- 高度500~15,000mあたりでみられる。
特徴:
- 垂直に発達した、巨大な雲。
- 山や大きな塔ような形になりやすい。
- 雲底の形は乱れ、暗くなる。
- 積雲が発達して、雷が伴うようになると積乱雲となる。
- 空気の温度差によって、大気が不安定になり乱層雲となる場合が多い。
- 乱気流や強い上昇気流の際に発達するため、高度の高い場所に存在することも多い。
- 上部は氷晶雲〔微小な氷の結晶〕。
天候:
- ほぼ雷雨を伴う。突風、ひょう、雪など