アルミ缶は何度でも生まれ変わる
私たちが日常的に飲み物などで使っているアルミ缶。リサイクル率が非常に高いことをご存じですか…?
リサイクル率とは?
使用済みの製品や材料のうち、再利用される割合を示す指標です。
例えば、使用済みの100個のアルミ缶のうち90個がリサイクル(再利用)された場合、リサイクル率は90%となります。
このリサイクル率は資源の有効活用や環境保護の指標として使われます。
アルミ缶の最大の特長は、何度でもリサイクルできることなのですが、リサイクルされたアルミ缶は、品質を損なうことなく新しい缶や製品に生まれ変わります。
このサイクルは無限に続けることができ、使い捨てで終わることがありません。
そのため飲み終わったアルミ缶が、数か月後にはまた別の飲み物を運んでいるかもしれないのです!
原料を抽出するに比べ約95%のエネルギーを節約
アルミニウムの製造には非常に多くのエネルギーが必要です。
アルミニウムの原料のボーキサイトからアルミニウムを抽出するのに必要なエネルギーは、リサイクルによってすでに存在するアルミニウムを再利用するよりもはるかに多くなります。
例えば、
原料から新しいアルミニウムを作るエネルギーを「100」とした場合、リサイクルで同じ量のアルミニウムを作るにはそのわずか5%、つまり「5」のエネルギーしか必要ないとされています。
つまり、リサイクルは大幅にエネルギーを節約でき、温室効果ガスの排出も大きく減らすことができるということなのです。
原料「ボーキサイト」から「アルミニウム」抽出までの工程
- 採掘(さいくつ)
ボーキサイトを地面から掘り出す。
種類や産地によって異なるがボーキサイトにはアルミナ(アルミニウムの原料)が約30%~60%含まれている。
〔ボーキサイト〕
- 精錬(せいれん)〔鉱石から純粋な金属を取り出す〕
掘り出したボーキサイトを小さく砕いて、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)というアルカリ性の薬を混ぜ溶かし、アルミニウムの酸化物(アルミナ)に変える。
〔アルミナ〕
- 電気分解(でんきぶんかい)
アルミナを溶かし、電流を流すことでアルミニウムを取り出す。 - 鋳造(ちゅうぞう)
取り出したアルミニウムを冷やして固め、インゴット(アルミニウムの塊)や部品にする。
これらの過程により、ボーキサイトからアルミニウムが抽出されます。
日本における飲料用アルミ缶の需要量
日本における飲料用アルミ缶の需要量は、ここ数年では年間約210億缶前後とされています。
環境への配慮や持続可能な資源利用の観点から、近年までの数十年で大きく増加傾向にあったようです。
特に、リサイクル率が高いことが広く利用される理由の一つともなっているのですが、使用済みの缶は迅速に回収され、新しい製品として再生される仕組みも整っています。
また、健康志向などによるノンアルコール飲料の増加なども、アルミ缶の需要を押し上げる要因となりました。
まとめ
アルミ缶のリサイクル過程は非常に迅速です。
使用済みのアルミ缶は回収され、洗浄、粉砕、そして溶解されて再加工されるまでのすべての工程が短期間で行われます。
この効率的なシステムのおかげで、わずか60日ほどで新しいアルミ缶として市場に戻り、消費者の手に渡ることが可能となります。
こうして、アルミ缶のリサイクルは、資源を効率的に活用し、環境への負担の軽減に大きく貢献していたのです。