視力が悪い人が年々増加中…
子供の視力低下が世界的な問題になっており、日本でも文部科学省の調査によると、ここ30年ぐらいの間に小学生で1.0未満が1.5倍以上、0.3未満は3倍以上に増えていると言われています。
2050年には世界の人口の半数が近視になるのではないかとの試算もあるようで、世界各国で近視に対する研究が急務とされているそうです。
目の構造
人間には五感〔視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚〕がありますが、
生活での情報の80~90%近くを視覚(目)で収集しているともいわれています。
それでは、この目はいったどんな構造をしているのでしょうか…?
【眼球の大きさと重さ】
成人の平均的な眼球の大きさを平面として表すと、10円玉ぐらいか、それより少し大きいぐらいで、
重さは、500円玉ぐらいか、それより少し重いぐらいになります。
ダチョウの眼球の大きさは直径約5cm! 自身の脳よりも大きい…
目の主な器官
角膜(かくまく)
- 眼球正面の1枚目の湾曲したレンズ。
- 光を取り入れる膜で涙によって守られている。
- 透明な膜で5層構造になる。
虹彩(こうさい)
- 角膜と水晶体の間の膜で、毛様体(もうようたい)という組織によって固定されている。
- 光の調整を司る。
- 中心にある瞳孔(どうこう)が明るければ小さく閉じ、暗ければ大きく開く。
水晶体(すいしょうたい)
- 眼球正面の2枚目の両凸レンズ。
- 主にピント調整の役割。ここで焦点を合わせている。
- 近くを見るときは厚く、遠くを見るときは薄くなる。
硝子体(しょうしたい)
- 眼球の約8割を占めており、眼球内に詰まっている透明なジェル状のコラーゲン(タンパク質)
- 目の弾力性を維持している。
網膜(もうまく)
- 眼球の一番内側の膜で厚さが約0.2~0.5mm。
- 多くの神経系の細胞が集まっており、光や色を感じ、脳へ伝える信号(電気信号)に変換する。
強膜(きょうまく)
- 眼球の一番外側の固く丈夫な膜。
- 白目と言われている部分で、正面の角膜とつながっている。
視神経(ししんけい)
- 網膜で変換された信号(電気信号)を脳へ伝える役割。
- 脳から直接出ている12対ある脳神経の1つ。
ホタテには目がある…?外敵から身を守るために宇宙望遠鏡のような眼を持っていた…
目が見える仕組み
ここからは目が見えるまでの流れを、上記の器官と共に見ていきたいと思います。
光の情報〔映像〕
↓
【角膜】から光の情報を取り入れる。
↓
【虹彩】の中心にある瞳孔の大きさによって光の調整をする。
↓
【水晶体】で情報の遠近で厚みを変え、光を曲げて〔屈折させる〕ピント調整をする。
↓
【硝子体】を通過。
↓
【網膜】の奥で焦点を結ぶ。光や色を感じ、脳へ伝える信号(電気信号)に変換する。
↓
網膜で変換された信号(電気信号)は、視覚を司る【視神経】から脳へ伝わる。
↓
見えると認識する
【2つの目の映像、反転画像を脳で補正】
このとき網膜に光の情報が映っている段階では、上下が反対〔反転画像〕になっています。
そして、人は2つの目で光を見ているので、別々の映像として認識されそうなものですが、脳によって補正されることによって、上下も元に戻され、1つのまとまった映像として認識することができています。
近視・乱視・遠視・老眼(老視)の違いとは
近視はなんとなく分かるような気がしますが、乱視と遠視、そして老眼…どう違うのでしょうか…?
【 近視 】
目の眼球が奥へ少し伸びるか、光の屈折が強いなどの原因で、ピントが正常な位置〔網膜の上〕より前で合わさってしまい、遠くを見るときにぼやけてしまう〔網膜上で像がぼやける〕症状。
ピントが前にずれる程、近視が強くなる傾向になります。
子供の場合は成長期〔眼球も大きくなる時期〕に視力を落とすことが多く、遺伝的な要因での近視もあるとは言われますが、環境的な要因も大きいといわれています。
身長はいつまで伸びるの…?一生のうちで特に急成長する時期とは…
【 遠視 】
何らかの原因で光の屈折が正常で無くなり、近視とは逆にピントが正常な位置〔網膜の上〕より後ろで合わさってしまい、近くを見るときも、遠くを見るときもぼやけてしまう症状。
生まれたばかりの赤ちゃんは、眼球の奥行きが短く、一般的に遠視の状態だということなのですが、だんだん眼球が成長するにしたがって調整されていきます。
しかし、様々な原因で眼球の成長に影響があると遠視になる可能性が出てくるようです。
そのため、特に小さいお子さんには早期発見での矯正が重要となり、あまりにも酷い遠視を放っておくと、弱視〔矯正しても視力が出ない〕になることもあるようなので注意が必要だということです。
【 乱視 】
主に角膜〔光を取り入れる膜〕と水晶体〔ピント調整の役割〕が原因で、
網膜の上でのピントにばらつきが出て、一点に合わずぼやけてしまったり、物が重なって見える現象になり、眼精疲労にもつながるような症状。
そのため遠視と同じく、特に小さいお子さんには早期発見での矯正が重要となり、あまりにも酷い乱視を放っておくと、弱視になることもあるようなので注意が必要だということです。
【 老眼(老視) 】
目の老化になるのですが、水晶体〔ピント調整の役割〕の弾力がなくなり、硬くなってくると、ピントの調整がうまくいかず、近いものを見るときにぼやけてしまう症状。
実は、20代からすでに年齢の増加と共にピントの調整力が弱まっているらしいのですが、40代当たりから老眼として自覚し始める人が増えるということです。
テレビ、パソコン、スマホなどで視力は落ちる…?
近年では、パソコンやスマホなどの普及により、画面を見ない生活をするのが難しくなっていますが、視力のことを考えると、子供には出来るだけ画面を見せたくない気がしてしまうのですが…
やはり視力に影響するのでしょうか…?
画面を見ることが視力に影響するのかどうかについては様々な意見があるのですが、その中でも、同じ距離で画面〔本なども含め〕を凝視し続けることが、目にとって良くないということに関しては多くの識者のなかでも共通していると言われています。
ダチョウの視力は20.0以上で動物界最強…?人間界最強マサイ族の視力10.0以上…
画面に集中して、じっと同じ距離で見続けてしまうと、眼球の周りにある筋肉の働きが悪くなり、ピント調整の機能が落ちてくることによって、視力に悪影響がでてくるということなのです。
そして、更に近い距離で画面を見ることに関していえば、ピント合わせのときに光の屈折が強くなり、目の筋肉にストレスがかかるので疲れ目の原因にはなると言われています。
ただし、視力に大きく影響するのは、やはり同じ位置から〔近くでも遠くでも〕長時間凝視することのほうが問題とのことなので、できるだけ遠くを眺めたり、目を寄せたりすることによって、
目の筋肉を動かし、目を休ませることが大切だといわれています。