日本最古の酒。日本人はいつから酒を飲んでいる?
世界中で親しまれているお酒ですが、
日本ではいつの時代から酒を飲むようになったのでしょうか…?
所説あるのですが、縄文時代の前期~中期に使われていた
縄文土器のひとつである、※有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)が、
実は酒造に使われる道具だったのではないかと考えられています。
※土器の縁下側に小さい穴が横一列になって開けられ(有孔)、中央にツバ(鍔)の帯がついている
というのも、その土器の中から山ぶどうの種が検出されたようで、
いっきに造酒道具であったという説が有力になったということです。
それにより縄文時代にはすでに果実酒を飲んでいたのではないかと推測されています。
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日本酒のはじまり
現在確認されているものでは、日本で初めてのお酒は日本酒ではなく果実酒いうことに
なりますが、それでは日本酒はいつ頃から飲まれていたのでしょうか…?
古い話ですので、はっきりとしたことは分からないのですが、
米が原料の日本酒は、稲作が定着してきた弥生時代からというのが定説としていた
のが、近年になり疑問を持つ研究者が増えてきているようです。
それは、縄文時代前期〔紀元前6000年頃〕の貝塚〔岡山県〕からイネの細胞成分や、
縄文時代中期〔紀元前4500年頃〕の土器〔熊本県〕から稲モミの跡が
見つかったことなどもあり、縄文時代の間には日本酒も造られ、
西日本から東日本のほうへと伝わっていったのでは?
という説が有力になりつつあるということなのです。
そして文献として確認できるものは、ずっと後のことになります。
大隅国風土記(おおすみのくにふどき)〔奈良時代の713年頃、現在の鹿児島県東部を
中心とした旧国の歴史などを記した書籍〕に記されており、
そこには口噛み酒(くちかみざけ)といって、口の中で米を噛み唾液で糖化させ、
吐き出し溜めておくことによって発酵させる酒のことが書かれています。
この口噛み酒は、儀式で造るときなどは神社の巫女(みこ)のみが出来るという
言い伝えもあるようで、神聖なものとしても扱われていたそうです。
ちなみに、今使われている醸造する意味の醸す(かもす)は、
当時の醸造する意味の噛む(かむ)が語源ではないかと言われています。
日本人で初めてビールを飲んだ人は…?
本当に飲んだかどうかは定かではありませんが…
日本人で初めてビールを飲んだかも?なんて言われる有名人がいます。
その名も、江戸幕府の八代将軍である徳川吉宗(とくがわよしむね)其の人です。
※時代劇、暴れん坊将軍の人
何故かというと…
日本が鎖国中〔※〕の1724年、貿易が許されていたオランダ商船の使節団
〔国の代表として訪れる団体〕が入府した際の献上品〔身分の高い人に物を
差し上げること〕にビールが含まれていたということなのです。
※鎖国(さこく)とは… キリスト教を禁じる目的などで、中国とオランダ以外の外国交流を極度に制限し、国際的に孤立した状態。
そして、同じ年である(1724年)にオランダ語の通訳者であり幕府の役人である、
今村市兵衛( いまむらいちべえ)などが記したとされる
和蘭問答(おらんだもんどう)という書籍にビールの味のことが記されており、
「なんの味わいもない…ビイル…」
とのことが書かれてあるそうです。
これが、日本で初めてビールの味に関して書いてある文献になります。
しかし、
いきなり殿様が初めて見た物を口にするのは考えづらいので、
一番最初にビールを飲んだのは誰なのか…
はじめてビールを飲んだ人はいったい…
ここからは憶測で実際のところはわかりませんが、
例えば、
徳川吉宗の時代では台所人(だいどころにん)と呼ばれる、
総勢約100人の料理する人、異物を入れていないか監視する人などがいて、
米粒一つ一つ確認したといわれています。
そして、更に間違いのないよう将軍と正室(本妻)だけのために
10人前ずつ用意していたそうです。
もちろん毒見役もいましたし、もし異物や気に入らないものが見つかったら、
台所人全員が切腹との話もあります。
その為、もしも飲んでいたとしたらその辺りの人の
誰かが初めてビールを口にしたのではないかと思われますが、
いかがなものでしょうか…
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世界最古の酒
今ではお店に行けば買うとも飲むこともできますが、
いつから人々はお酒を飲むようになったのでしょうか…?
紀元前7000年頃〔日本では縄文時代早期〕
【蜂蜜酒(ミード)】
今現在確認されているお酒で、世界最古といわれています。
中国の賈湖(かいこ)遺跡〔中国河南省〕で発見された陶器片から検出され、
米、果実、はちみつから造った醸造酒〔発酵させて造った酒〕だということです。
この蜂蜜酒の誕生についてはいくつかの説があるようですが、
偶然の産物だったのではないかと言われています。
例えば、
ミツバチの巣に雨がたまり、
はちみつと混ざり合って自然発酵したものを
偶然、狩人が飲んだことからは始まったなどの言い伝えもあるようです。
そのため、確認されているものは紀元前7000年頃ですが、
それ以前にも飲まれていた可能性は十分にあるということです。
紀元前6000年〔日本では縄文時代前期〕
【ワイン】
近年になって、ジョージア〔東ヨーロッパ〕で発掘された陶器から、
紀元前6000年頃と思われるワイン醸造の痕跡が見つかっています。
これが現在発見されているワインでは世界最古のものだと言われています。
それまでは、ハッジ・フィルズ・テペ遺跡〔イラン北部〕で発見された壷の中から
紀元前5000年頃のワインのカスが発見され、これが世界最古と言われていました。
文献では古代メソポタミア、
シュメール人〔紀元前3000年頃、世界最古の都市文明を築いた民族〕の
伝説的な王(ギルガメッシュ)の物語である、ギルガメシュ叙事詩(じょじし)
〔紀元前1300年頃、粘土板に記された文学作品〕にもワインのことが記されています。
ただしワインに関しても、実際には自然発酵により造られる可能性も
あるため、更にもっと昔から誕生しているのではないかとされています。
お酒の醸造酒〔ビール、日本酒、ワイン〕と蒸留酒〔ウイスキー、焼酎〕の違いとは…?
紀元前3000年頃〔日本では縄文時代後期〕
【ビール】
文献として残っているビールで最古のものは、
古代メソポタミア〔現在のイラク、クウェート南部〕のシュメールで、
ビールの造りの模様がモニュマン・ブリュー〔紀元前3000年頃の粘土板〕
に記されています。
ビールも、それより数千年前には誕生していたと言われており、
やはり偶然の産物で、何らかのかたちで自然発酵したことから始まったのでは
ないかと言われています。
そしてビールはそこからエジプトのほうへと伝わっていったとされています。
その頃のエジプトではワインも飲まれており、
ビールに比べるとワインは高級なものだったようで、
ツタンカーメン〔紀元前1300年頃の古代エジプト少年王〕と共に
埋葬されていた壺の中からはワインが検出されています。
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