皮膚、爪、髪(体毛)の役割と違い
皮膚に接して、爪や髪、体毛が生えていますが、どのような構造をしているのでしょうか…?
体毛や爪は皮膚の一部が変化して、肌の一番表面にある、表皮(ひょうひ)〔厚さ約0.2ミリのとても薄い膜〕という膜から生じたもので、
ケラチン(角質)〔細胞の骨格に存在するタンパク質の一種〕という成分で形成されています。
皮膚の構造
皮膚は、軟ケラチンといい、その名のとおり軟らかく、垢(あか)として剥がれ落ちるのも特徴です。
髪の毛や爪の構造
髪の毛や爪は、硬ケラチンといって、硬いため熱にも比較的強いのですが、頭部に関して言えば、人間にとって一番大事な脳がある為、その部分を守るために硬ケラチンである髪の毛が生えています。
そして、この髪の毛というものは、もともとは皮膚の軟ケラチンだった毛穴が、硬ケラチン〔髪の毛〕に変化し、押し上げられることによって頭を保護する役目をするようになったといわれます。
昔、シャンプーのCMで「髪の健康は頭皮から…」みたいなことを耳にしたことがあるのですが…
これで納得できたような気がしますね(笑)
髪の毛や体毛の役割とは
硬ケラチンである髪の毛や体毛には、どんな役割があるのでしょうか…?
大昔、人類の祖先がまだ動物だった時代、体をケガや外敵から身を守るために全身が体毛で覆われていたということなのですが…
ゴリラの頭はなぜ尖ってる?オラウータンの頬の広がりは…?ニホンザルの顔はなぜ赤い?
環境の変化に対応するため進化した結果、直立歩行することにより、直射日光を多く防ぐ部分が頭部だけになるなど、必要のない部分の体毛はどんどん少なくなり今に至ったのです。
逆に言えば、今存在する頭髪や体毛は必要だから残っているともいえます。
機能としては…
- 身体の保護 〔衝撃を和らげ、紫外線や摩擦からの保護〕
- 感覚機能 〔毛が触れることによる感覚機能〕
- 皮膚のバリア 〔毛根の毛穴から出る、皮脂による皮膚のバリア機能〕
- 体温調整
など、実は体毛には色々な役目があったのです。
皮膚が日焼けする仕組み
日差しを浴びると日焼けをしますが、体はどんな変化をしているのでしょうか…?
実は、日焼けで皮膚の色が変わるには意味があったそうで、紫外線から身を守るための働きだったのです。
体の中にはメラノサイトという細胞があるのですが、紫外線に反応しメラニンを作ります。
そして、そのメラニンにより紫外線を吸収することによって皮膚を守っていたのです。
そのため、太陽の日差しが強い時には、黒色のメラニン色素が大量に増えることにより、皮膚が黒く見えているということです。
皮膚が焦げているわけではなかったのですね…
日焼けをして赤くなる人は、特に皮膚の色が白い人に多いということなのですが、
それは、先程のメラニンの生成が少ないため、黒くならない傾向にあるそうです。
日焼けとホクロの関係 ほくろとシミとの違い
【シミの構造】
シミの場合は、メラノサイトによって作られたメラニン色素が皮膚に色素沈着したものを指します。
【ほくろの構造】
そして、ほくろの場合は、メラノサイトが変化して母斑細胞(ぼはんさいぼう)が一点に集中したものを言うそうです。
ただし、一点に集中してしまう原因はまだはっきりとは分かっていないようです。
ホクロになる原因には、他にも外部からの刺激や、生まれ持った遺伝的な部分もあるのですが、やはり、紫外線は大きい原因の一つだと言われています。
日焼けで皮膚がポロポロはがれる理由
日焼けをすると、皮膚がポロポロと剥がれて来ることがありますが、これはどうしてなのでしょうか…?
それは強い日差しを浴びることによって、皮膚の表面が乾燥し、細胞が死んでしまうからということで、やけどをした状態と同じなんだそうです。
まだ新しい皮膚が出来上がっていない状態で無理に剥がしてしまうと、シミの原因にもなるということなので、そのような時はしっかり肌を保湿して無理に剥がさないことを心掛けたほうがよさそうです。
人種や体質で髪や皮膚の色が違うのはどうして?
人種や体質により皮膚や髪の毛の色が違いますが、それはどうしてなのでしょうか…?
それは、メラニン色素の種類と量によって変わってくるということなのです。
このメラニン色素というのは、皮膚や毛髪にあるメラノサイトという色素細胞で生成されるのですが、
一般的に太陽光の強さ、紫外線の強さにより分泌量が変わるそうで、日差しの強い地域ほど活発になるといわれています。
そして、メラニン色素にはユーメラニン〔黒色、こげ茶色など〕と、フェオメラニン〔金色、黄色、赤色、栗毛色など〕があるのですが、人種や遺伝、個人差によってこの割合が変わり、肌の色や髪の色が様々になるというわけです。
日本人に関して言えば、黒髪の人が多いことからユーメラニンが多く含まれている人が多いということになりますね。
皮膚は人間最大の臓器
臓器というと内臓のイメージがありますが、内臓は特に胴体の内側にあるものを指し狭義的に使用され、皮膚も立派な働きのある臓器で、器官とも言われています。
そのため、皮膚は実に体重の15%近くを占めている人間の中で最大の臓器ということになります。
皮膚の機能は、温度調整、外部からの刺激や細菌などの防御、感覚機能、体内の不要な物質の排泄などさまざまです。
【皮膚で一番厚い部分、薄い部分】
そして、皮膚で一番薄い部分は、目の周辺で、
一番厚い部分は足の裏になります。
皮膚が乾燥するとなぜ痒い?
正常といわれる皮膚は水分と皮脂の油で覆われているため、クリームを塗ったように外部の刺激もバリアされているような状態になっているそうです。
しかし紫外線やストレスなどで、乾燥してしまった皮膚はバリアがなくなるため、ちょっとした刺激〔ほこりや汗など〕に対しても敏感になりかゆみとなってしまいます。
そして、そのかゆみはヒスタミン〔動物組織内の化学物質でアレルギー症状を起こす〕という物質が原因で引き起こされているといわれています。
皮膚に刺激を受けると、皮膚に存在する細胞からヒスタミンが分泌し、かゆみとして脳に伝達されるそうです。
そのため、身に着けている服の素材が、化学繊維だったりウールなどだったりすると、余計に摩擦や刺激が多いため、かゆみに繋がってしまうというわけです。
【皮膚の仕組み】お風呂で手足の皮膚がふやける理由
お風呂につかっていると手や足がふやけてくると思いますが、どうしてなのでしょうか…?
実は、皮膚というものは何層にもなっています。
大きく分けると外側から、
表皮(ひょうひ)、真皮(しんぴ)、皮下組織(ひかそしき)
そして、皮膚の一番外側の表皮(ひょうひ)もさらに細かく分かれ、
表面から、
- 角層(かくそう)
角質層とも。死んだ細胞。身体のバリアの役目や水分保持機能など、人間が生きるためにとても重要な役割を担っている。
-
淡明層(たんめいそう)
角質の一部として数えられることもある。指先、手のひら、足の裏のような厚い皮膚にある皮膚層で、角質層と顆粒層の間の細胞構造のない部分。
-
顆粒層(かりゅうそう)
2~3層。紫外線などの外的刺激から皮膚を守る働き。角層に必要なセラミ〔保湿成分をつくる。
-
有棘層(ゆうきょくそう)
5~10層になる、表皮で最も厚みがある部分。表皮の下の真皮から酸素、栄養素など受け取る働きがある。
-
基底層(きていそう)
基底細胞1層。表皮の下の、真皮と接合している薄い層になる。メラノサイト〔色素細胞〕があり、メラニンを合成し、紫外線から体を守っている。
となっていきます。
基底層で作られた細胞は表面に押し出されて、最後に角層となるのですが、角層は死んだ細胞でできており、角層だけでさらに10層以上の層〔かかとなどの厚い場所では50層ぐらい〕になっています。
美容などで角質を取り除く、みたいな話を聞いたことがあるかもしれませんが、アカ(垢)がその角層〔角質層〕の一部となるのです。
そしてここから本題になりますが…
お風呂などに長く入ると、角層は死んだ細胞であるため水分を含んでしまい膨張します。
そして角層の下の層は、水分を含まないので、角層は膨張し伸びたものの、下の層はそのままなので、体積の差でシワシワになっていきます。
そして、そのなかでも手足は角層が厚いため、水分が含みやすいということと、指先は爪があることで、余計に膨張した皮膚が行き場をなくし、余計にシワになりやすくなっていたということだったのです。
ちなみに…
私たち人類は進化の過程で、陸上に上がってきましたが、その際に乾燥から免れるために発達したのが角層〔角質層〕なんだそうです…