今回は、私たちが毎日使っている『電気』がどうやって作られるのかについてお話しします。
電気は私たちの生活に欠かせないもので、スマホ、テレビ、冷蔵庫など、ほとんどの電化製品は電気がないと動きません。
何気なく使っているこの電気が、どのようにして作られているのかを一緒に見ていきましょう!
【電気の作り方】3つの主要な方法
電気は主に「発電所」という場所で作られています。発電所とは、電気を作るための大きな工場のようなものなのですが、ここで働く機械はとても大きくエネルギーを電気に変えることができます。
発電所では、その機械的なエネルギーを電気エネルギーに変えるために「発電機」と呼ばれる装置を使います。
〔発電機〕
この発電機は、磁石と導線〔金属の線〕で出来ており、磁石の近くに導線を動かすと、導線の中に電気が流れるような仕組みになっています。
このことを「電磁誘導(でんじゆうどう)」というのですが、発電所では、磁石を回転させて、その周りにある導線に電気を作り出しています。
【電磁誘導(でんじゆうどう)を簡単に説明】
電磁誘導(でんじゆうどう)は、磁石の力で電気を作る方法です。
まず、磁石を使うと、磁場(じば)という目に見えない磁石の力が届く領域ができます。この磁場が変わると電気が流れます。
たとえば、コイルと呼ばれるぐるぐる巻いた導線〔電気を通す金属線〕の中に磁石を入れて磁石を動かすと、コイルの中の磁場が変わります〔コイルの中に小さな電気の波ができるようなイメージです〕
すると、導線の中を電気が流れます。これが電磁誘導というものです。
実際に発電所では、この原理を使って電気を作ります。まず、蒸気(火力)や風力、水力などの力で大きなタービンという車輪を回します。
このタービンは発電機とつながっていて、発電機の中には磁石とコイルが入っています。タービンが回ると、発電機の磁石も回り、それが磁場を変えて、コイルに電気を流します。
自転車のダイナモと同じ原理
今はだいぶ少なくなりましたが、考え方は自転車のダイナモ〔車輪の回転を利用して、内部の磁石を回転させ電気をつける〕とよく似ています。
そのため、発電所にはいくつかの種類が存在するのですが、どれも同じ基本的な原理に基づいて電気が作られています。
そして、その中でも代表的な発電所は次の3つとなります。
- 火力発電
- 水力発電
- 風力発電
それでは、一つずつ見ていきましょう!
1. 火力発電
『火力発電』は、化石燃料〔石炭、石油、天然ガスなど〕を燃やして電気を作ります。
〔LNG(天然ガスを液化したもの)のタンク〕
燃料を燃やすと熱が発生しますが、その熱で水を沸かして蒸気を作ります。そして、この蒸気がタービンという巨大なプロペラを回し、その回転で「発電機」を動かし、電気を作っています。
『火力発電』のメリット・デメリット
メリット:
- 安定した供給: 火力発電は天候や季節に左右されず、安定した電力供給が可能。
- 発電コストが比較的低い: 特に石炭を使用する場合、発電コストが比較的低い。
- 既存のインフラを活用できる: 既に広く利用されている方法なため、基盤が整っている。
デメリット:
- 環境への影響: 化石燃料を燃やすことで大量の二酸化炭素(CO2)が排出され、地球温暖化の原因となる。
- 資源の枯渇: 化石燃料は有限であり、将来的に枯渇する可能性がある。
- 公害の問題: 大気汚染物質〔例えば硫黄酸化物や窒素酸化物〕が排出されるため、公害の原因となる。
2. 水力発電
〔黒部ダム〕
次に、『水力発電』です。川やダムの水の流れを使って電気を作る方法なのですが、水が高いところから低いところに流れるときのその勢いでタービン〔巨大なプロペラ〕を回して発電機を動かし、電気が作られます。
自然の力を利用するので、クリーンエネルギーともいわれています。
水力発電の種類
水力発電の種類には次のようなものがあります。
1. ダム式(貯水池式)水力発電
大規模なダムを建設して水を貯め、その水を高い位置から落としてタービンを回す方法です。
2. 流れ込み式水力発電
川の自然の流れを利用してタービンを回す方法です。ダムなどの建設は必要なく水が流れる力だけで発電します。
3. 揚水式水力発電(ようすいしき)
電力需要が少ない時に余った電力を使って水を高い位置にある貯水池に汲み上げ(揚水)、電力需要が多い時にその水を放流して発電する方法です。
4. 波力・潮力発電
波力発電や潮力発電は、海の波や潮の満ち引きを利用して電気を作る方法です。海の動きを使ってタービンを回し、発電機で電気を作ります。
『水力発電』のメリット・デメリット
メリット:
- 再生可能エネルギー: 水の流れを利用するため、持続可能なエネルギー源である。
- 安定した供給: 風力発電などと比べ、安定して電力を供給できる。
- 長寿命: 水力発電所は長寿命であり、運転期間が数十年にわたることが多い。
デメリット:
- 環境への影響: ダムの建設は川の生態系に影響を与え、水質や魚類の生息環境を変えることがある。
- 建設コストが高い: ダムの建設には多大な費用がかかる。
- 場所の制約: 効率的に発電するためには、地形や水資源が適している場所が必要。
3. 風力発電
最後に、『風力発電』です。風によって風車〔タービン〕の羽が回ることで、その回転運動を利用して発電機を回します。
海の近くや山の高い場所など、風が強いところに設置されることが多いのですが、風さえあれば、どこでも電気が作れるのが魅力となっています。
風力発電には陸上風力発電、洋上風力発電〔海の上〕、垂直軸型マグナス式風力発電機〔風向に依存せず低風速でも効率的に発電できる垂直軸型の新しい風力発電方式〕などの種類があります。
『風力発電』のメリット・デメリット
メリット:
- 再生可能エネルギー: 風力発電は風を利用するため、無限に利用可能なエネルギー源である。
- 環境への影響が少ない: CO2を排出しないため、地球温暖化の防止に貢献できる。
- 運転コストが低い: 一度設置すれば、運転コストが比較的低く抑えられる。
デメリット:
- 不安定な供給: 風が弱い日や風のない日には発電量が減少する。
- 騒音や景観の問題: 風車が回ることで発生する騒音や、景観への影響が問題となることがある。
- 設置場所の制約: 効率的に発電するためには風が強く吹く場所が必要で、適した場所が限られる。
その他の発電方法
その他にも、電気はさまざまな方法で作られるようになってきています。
それぞれメリットとデメリットがあるのですが、バランスを取りながら利用されています。
太陽光発電
太陽光発電は、太陽の光を直接電気に変える方法です。太陽光パネルには、太陽の光を吸収して電気を作る特殊な材料が使われています。このパネルを建物の屋根や太陽のあたる場所などに設置して、太陽のエネルギーを電気に変えます。
原子力発電
原子力発電は、ウラン〔放射性金属〕などの核燃料を使って電気を作る方法です。核燃料が核分裂という反応を起こすと、大量の熱が発生します。この熱で水を蒸気に変え、蒸気の力でタービンを回して電気が作られます。
放射性金属とは?
原子核〔原子の中心部〕が不安定で放射線〔エネルギーを持った光や粒子〕を放出する金属になります。そのため過剰な被曝は健康に影響を与える可能性があります。
地熱発電
地熱発電は、地球の内部からの熱を利用して電気を作る方法です。地下深くにある熱い岩や水蒸気を使ってタービンを回し、発電機で電気を作ります。
バイオマス発電
バイオマス発電は、自然から得られる有機物〔例えば、木材や農作物の残り、家庭からの生ごみなど〕を使って電気を作る方法です。
燃焼したときの熱で水を沸騰させ、蒸気を作り出し、その蒸気を使ってタービンを回し、その動きで発電機が電気を作り出します。
日本の電力供給の割合
それでは、電力がさまざまなエネルギー源から成り立っていることが分かったとこで、近年の日本の電力供給の割合について見ていこうと思います。
1. 火力発電
火力発電は、石炭、石油、天然ガスなどの燃料を燃やして電気を作る方法を指して言います。
日本の電力供給の約70%を占めています。
- 天然ガス(LNG): 約30%
- 石炭: 約30%
- 石油: 約5%
- その他
2. 再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、自然の力を利用して電気を作る方法を指して言います。
日本の電力供給の約25%を占めています。
- 太陽光発電: 約10%
- 風力発電: 約1%
- 水力発電: 約8%
- バイオマス発電: 約3~5%
- その他
3. 原子力発電
原子力発電は、ウランなどの核燃料を使って電気を作る方法を指して言います。
2011年の福島第一原子力発電所事故以降、日本の原子力発電の割合は減少しましたが、2023年時点での電力供給の約5%を占めています。
日本の電力供給は、主に火力発電に依存していますが、再生可能エネルギーの割合も増加しています。
将来的には、再生可能エネルギーの拡大や、原子力発電の再稼働などが議論されているのですが、電力供給の多様化と持続可能なエネルギーの利用が、日本のエネルギー政策の重要な課題となっています。
まとめ
電気はさまざまな方法で作られ、自然の力〔風力・水力・太陽光など〕を利用する方法もあれば、燃料〔火力・原子力など〕を使う方法もあります。
発電所で燃料や再生可能エネルギーを使って発電機を回し作られ、その後、送電線を通って私たちの元に届きます。これが、私たちが普段使っている電気の仕組みです。
身の回りであったり、いろいろな施設の電気がどのようにして作られそこまでたどり着いているのか、探ってみるのも楽しいかもしれませんね!