黒はなぜ熱を吸収する…?
日差しが強い日に黒い服を着ると、他の色よりも熱を吸収して熱さを感じると思いますが…
なぜ、白ではなく、黒なのでしょうか…?
それは、黒色は光を反射しないからということになります。
色は光の反射や吸収に影響を与えるのですが、黒色は光を反射せず、ほとんどの光を吸収してしまいます。そのため、黒い物体は周囲の光を吸収することにより熱を生じやすくなります。〔=光が吸収されてしまうので黒色に見えるともいえます〕
一方で、白色はほとんどの光を反射してしまうので熱が吸収しづらくなります。〔=光を様々な方向に反射する(乱反射)ので白く見えるともいえます〕
この違いが熱さに大きな影響を与えていたのです。
物体が光を吸収すると、光のエネルギーは物体の分子〔物質を構成する最小単位〕や原子〔物質を構成する基本粒子〕の振動エネルギーに変換されます。
この振動エネルギーが熱として感じられるのですが、黒い物体は多くの光エネルギーを吸収するので、その結果、熱を生じる傾向が強くなります。
【熱振動(熱運動)】とは?
物質内部の分子〔物質を構成する最小単位〕や原子〔物質を構成する基本粒子〕が熱エネルギーを受け取ったり放出したりする振動のことをいいます。温度が上がると物質の分子や原子は活発に振動し、温度が下がると振動は鈍くなります。
構造や素材によって『紫外線』も影響
その他、色よりも物の構造や素材によって異なるのですが、赤外線の吸収率も影響しているといえます。
赤外線は可視光線〔目に見える光〕よりも波長が長く、目には見えない光の一部なのですが、物体の熱を伝える役割をし、物体が赤外線を吸収するとそのエネルギーは物体内部で熱に変換されます。そのため、赤外線を強く吸収する物体は熱を吸収しやすくなります。
黒でも熱を吸収しない方法
黒い物体でも熱吸収をできるだけ最小限に抑える方法はいくつかあるそうです。
- 遮熱塗料の使用
物体の表面に遮熱をする塗料を使用することで、太陽光や他の熱源からの熱を反射しやすくすることができます。このような材料は建築や自動車などでも広く使用されています。
- 近赤外線を反射する塗料を使う
近赤外線を反射する塗料を塗ることで赤外線が蓄積せず熱を吸収しないようにできるそうです。
- 断熱材の利用
断熱材は熱を効果的に遮断する性質を持っています。そのため物体の内部に断熱材を組み込むことで、外部からの熱の侵入を抑えることができます。
- 表面の設計
物体の表面を特定の形状や構造に設計することで、光を反射する効果を高めることができます。例えば、鏡面加工や凹凸を利用することで、光の反射率を向上させることができるそうです。
これらの方法を組み合わせることで、黒色でも熱の吸収をある程度は抑えることができるのですが、完全に熱を吸収しなくすることは難しいと言われています。