春になると桜の花が一斉に咲き一斉に散る理由とは。
桜は、桜前線〔開花予想日をつないだ線〕のように気候の変化で
全国的に開花のズレはあるものの、
同じよう場所での桜並木などを見ると、たとえ何百本もの桜があったとしても、
同じようなタイミングで一斉に咲き、合わせたように一斉に散っていくことが多い
ような気がします…
たとえ気候が同じだとしても、木々にも個性がありそうなものですが、
どうしてここまで揃うのでしょうか…?
『ソメイヨシノ』はクローン…
私たちが毎年この季節になると開花予想が気になる桜は、
『ソメイヨシノ』という種類の桜になります。
※一部、北海道内の特に寒い地域や、沖縄のような温かい地域ではソメイヨシノ以外の桜で開花観測をしているそうです。
この綺麗なソメイヨシノ、実はクローンなんです…
※クローンとは… 一個の細胞(個体)から増えた細胞群(個体群)。同じ遺伝子(いでんし)〔設計図のようなもの〕を持っている。
近年の研究結果により、明らかとなってきたようなのですが、
エドヒガンという種の桜と、オオシマザクラ という種の桜を、
(エドヒガン)
(オオシマザクラ)
接ぎ木(つぎき)〔違う品種の個体の一部分(枝、芽、根)を接着させ1つの
個体にする方法〕によって人口的に組み合わせ、観賞用に全国に広げたものが
ソメイヨシノという桜だったのです。
(接ぎ木)
※(注意)写真は桜の接木ではありません。
このソメイヨシノは、江戸時代後期頃、染井村(そめいむら)〔現在の東京都豊島区
駒込辺り〕の植木屋によって全国に向けて売られたのがはじまりと言われています。
そして、昭和の高度成長期(1955年~1973年頃)頃に、
多くのソメイヨシノが全国中に植え付けられました。
現在でも、接ぎ木(つぎき)や 挿し木(さしぎ)〔個体の一部分(枝、芽、根)を
土などに挿し、根を出して独立した個体を作る方法〕などによる
(挿し木)
人工的な方法(クローン)でしか増やすことができないため、ソメイヨシノは全て
似た性質となり、同じような気候や環境では、一斉に咲き、一斉に散っていくという
ようなことが起こりやすくなっていたのです。
日本の桜の種類について
日本には現在、自生(じせい)〔栽培ではなく植物が自然に生え育つこと〕している
桜の種類は、10種類ぐらいと言われていいるのですが、これら固有種から
自然交配(しぜんこうはい)〔自然に他の種類の花粉が付き生まれた個体〕によって
派生したものが100種類以上、そして人為的なものを含めると何百種類もの
桜があるのではないかと言われています。
【日本に自生する桜(野生の桜)】
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ヤマザクラ【山桜】
昔は花見といえば、ソメイヨシノではなくヤマザクラだったそうです。
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オオヤマザクラ【大山桜】
ヤマザクラに似ていますが、少し紅色(べにいろ)が濃いものが多いのが特徴です。
そのため、ベニヤマザクラとも呼ばれます。
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カスミザクラ【霞桜】
ヤマザクラの一種。
葉や花に毛があるのでケヤマザクラとも呼ばれます。
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オオシマザクラ【大島桜】
桜餅を包む葉でよく使われている桜になります。
そのため、モチザクラ(餅桜)とも呼ばれます。
もともと伊豆諸島に多く生えていたことから、伊豆大島が名前の由来となって
いるそうです。
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エドヒガン【江戸彼岸】
長寿の桜として有名で、日本の三大桜はエドヒガンの老木になります。
《日本三大桜》
山高神代桜(やまたかじんだいざくら) 樹齢2,000年ぐらい
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら) 樹齢1,500年以上
三春滝桜(みはるたきざくら)※江戸彼岸の変種 樹齢1,000年以上
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チョウジザクラ【丁字桜】
名前の由来は、花を横から見たとき香料植物のチョウジ(クローブ)に似ていること
からと言われています。
(クローブ)
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マメザクラ【豆桜】
特に、富士山のふもとに自生していることからフジザクラとも呼ばれます。
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タカネザクラ【高嶺桜】
主に北海道や本州中北部の高山帯に生える桜になります。
そのため、ミネザクラ(峰桜)とも呼ばれます。
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ミヤマザクラ【深山桜】
その名の通り、奥深い山(深山)に生えている桜になります。
花が白いこともありシロザクラとも呼ばれます。
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クマノザクラ【熊野桜】〔100年ぶりの国内新種〕
2018年(平成30年)に約100年ぶりの国内新種と判断されました。
日本の紀伊半島南部が原産。
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カンヒザクラ【寒緋桜】〔沖縄で野生化したといわれる種類〕
台湾と中国南部などに多く自生している桜になります。
そのため、人為的に日本に持ち込まれたものなのか、日本で野生化したもの
なのかははっきりとしていない、とも言われています…
ちなみに、少し話が変わってしまうのですが…
サクランボ(桜ん坊)も、桜と関係しているように思いますが、
セイヨウミザクラ(西洋実桜)の実〔ヨーロッパ、西アジアに自生〕の
ことを指してそう呼ばれているそうです。
(セイヨウミザクラ)
サクランボ(セイヨウミザクラの実)
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