熱中症はどうしてなるの?
暑くなってくると特に「熱中症」という言葉をよく耳にしますが、皆さんはどうして熱中症になるのかご存じですか?
今回は、そのメカニズムをわかりやすくお伝えします。
熱中症の原因とは?
1. 体温調節の失敗
私たちの体は、一定の体温を保つためにさまざまな機能が使われています。
暑いときには汗をかいて体を冷やし、寒いときには筋肉を震わせて熱を作り出します。それでも暑さがあまりにも過酷だったり長時間続いたりすると、この体温調節機能がうまく働かなくなります。
これが熱中症の始まりです。
2. 脱水症状
暑いときにはたくさん汗をかきますが、同時に水分と塩分も失われます。
水分と塩分を補給しないでいると、体の中の水分バランスが崩れ、体温を調節する機能が弱まってしまい熱中症のリスクが高まります。
そして脱水状態になると、血液の流れが悪くなり、体温を効率的に下げることができなくなります。
体の中にはどれぐらいの『塩分』が含まれている…?
体の中の塩分量は、成人で体重の約0.4%程度、子供で体重の約0.2%程度です。
そして、体液(血液やリンパ液など)の塩分濃度は約0.9% 〔1リットルに約9グラムの塩〕になります。
例えば、成人男性の体重が70kgの人なら、「70 × (0.4 ÷ 100) = 0.28」でおよそ280gの塩分が体内に含まれています。塩分は主にナトリウムとして存在し体液のバランスを保つ重要な役割を果たしています。
そのため、水分と塩分が汗で同時に失われた場合、水分だけの補給が塩分の濃度を低くしてしまい、かえって熱中症のリスクとなってしまうこともあるので注意が必要です。
3. 高湿度
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。
汗が蒸発するときに体から熱を奪ってくれているのですが、周囲の湿度が高く蒸発しないと体温が下がりにくくなります。
更に、気温が高いと体温の急上昇を引き起こし、熱中症になる原因となります。
湿度が高いと汗が蒸発しにくい理由をもう少し
湿度が高いと空気中に水分が多く含まれているため、汗が蒸発するスペースが少なくなります。それにより汗が肌の表面に留まり体温を効果的に下げることができなくなります。
4. 直射日光
直射日光に長時間さらされると、体が直接熱を吸収してしまいます。特に頭部に熱がこもると、体全体の温度が上がりやすくなります。
5. 激しい運動や活動
暑い日に激しい運動や力仕事などをすると、体が過剰に熱を作り出します。
熱が体にこもりやすくなり体温調節機能がうまくいかず、熱中症のリスクが高まります。特に夏場のスポーツや野外活動には注意が必要です。
6. 体の適応能力
年齢や健康状態によっても、体の適応能力が異なります。
子供や高齢者、また持病を持っている人などは、体温調節機能が低下していることもあり熱中症の危険性が高まります。
熱中症の症状
熱中症は軽度から重度まで様々な症状があります。代表的な症状は次のようになります。
軽度の症状
- めまい・立ちくらみ: 突然の立ちくらみやふらつきが生じることがあります。
- 大量の発汗: 体温を下げようとするため、異常な量の汗をかくことがあります。
- 顔のほてり: 顔が赤く熱くなることがあります。
- こむら返りがある: 足がつったりすることもあります。
- 集中力の低下: 頭がぼんやりとして、集中力が持続しなくなることがあります。
中等度の症状
- 頭痛: 脳への血流が減少し、頭痛が発生することがあります。
- 吐き気・嘔吐: 消化機能が低下し、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
- 体のだるさ・倦怠感: 全身が重く感じ、動くのがつらくなることがあります。
重度の症状
- 高体温(39度以上): 体温が急激に上昇し、39度以上になることがあります。
- 意識障害: 混乱、意識喪失などの意識障害が発生することがあります。※すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
- けいれん: 筋肉のけいれん、体のコントロールが難しくなることがあります。
- 呼吸困難: 息切れや呼吸が浅くなることがあります。
- 心拍数の増加: 心拍数が異常に速くなり、不整脈が発生することがあります。
熱中症は早期に発見し、適切に対処することが重要です。軽度の症状が現れた時点で対処を行い、重度の症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
また、予防策を講じて熱中症を未然に防ぐことも大切です。
熱中症の予防方法・対処法
予防方法
熱中症を予防するためには、以下のポイントを心がけることが大切です。
- こまめな水分補給
- 喉が渇く前に定期的に水分を摂るようにしましょう。
- スポーツドリンクや経口補水液で塩分も適度に摂取することが大切です。
- 適切な服装
- 通気性の良い軽い服や、締め付けのない服装を心がけ、体から熱を逃がしやすくします。帽子や日傘も有効です。
- 通気性の良い軽い服や、締め付けのない服装を心がけ、体から熱を逃がしやすくします。帽子や日傘も有効です。
- 休憩をとる
- 暑い中での作業や運動は無理をせず、適度に休憩を挟むようにしましょう。運動する場合は涼しい時間帯を選びましょう。
- 暑い中での作業や運動は無理をせず、適度に休憩を挟むようにしましょう。運動する場合は涼しい時間帯を選びましょう。
- 涼しい環境を確保
- エアコンを活用し、室温を適度に保つようにしましょう。
- エアコンを活用し、室温を適度に保つようにしましょう。
熱中症になった場合の対処法
熱中症の症状が見られた場合、迅速に対処することが重要です。
- 涼しい場所に移動
- すぐに日陰やクーラーの効いた室内など、涼しい場所へ移動しましょう。服をゆるめるなどして締め付けのない服装にし、体から熱を逃がしやすくします。
- すぐに日陰やクーラーの効いた室内など、涼しい場所へ移動しましょう。服をゆるめるなどして締め付けのない服装にし、体から熱を逃がしやすくします。
- 水分補給
- 水分をこまめに補給します。スポーツドリンクなど、塩分が含まれている飲料が効果的です。※スポーツドリンクなどがない場合、1Lの水に塩を1~2グラム溶かします。
ただし、意識がもうろうとしている人には無理に飲ませないようにしましょう。〔窒息の原因になります〕
- 水分をこまめに補給します。スポーツドリンクなど、塩分が含まれている飲料が効果的です。※スポーツドリンクなどがない場合、1Lの水に塩を1~2グラム溶かします。
- 体を冷やす
- 扇風機やうちわを使って風を当てたり、冷たいタオルで体を冷やします。
- 首、脇の下、太ももの付け根など大きな血管が通っている部分を冷やすと効果的です。
- 安静にする
- 体を安静にして、できるだけ体を動かさないようにする。
- 血流をよくするため足を少し高くして横になりましょう。
- 医療機関へ相談
- 症状が改善しない場合や重度の症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 症状が改善しない場合や重度の症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
最後に
熱中症は、体の体温調節機能〔体の冷却機能〕がうまく働かなくなることで起こります。
主な原因は、高温多湿での水分不足、直射日光や過度な活動などです。熱中症は放っておくと命に関わることもあるので、予防対策をしっかり行ってこの夏も健康で楽しく過ごしましょう!