実は、世界地図にだまされている…?

「ロシアって、地図で見るとめちゃくちゃ大きい!」
「オーストラリアって、意外と小さいんだね」
――でも、それ、本当の大きさじゃないかもしれません。
私たちが学校やテレビでよく見る“世界地図”には、ある「錯覚のトリック」が隠されています。
それが メルカトル図法(Mercator projection) です。
🗺️ メルカトル図法とは?──海の地図から生まれた便利な投影法

メルカトル図法は、16世紀にベルギーの地理学者 ゲラルドゥス・メルカトル が考案した地図の描き方。
本来は航海用の地図として作られました。
メルカトル図法の特徴

〔1569年にメルカトルが作成した地図〕
- 方位(角度)を正確に保つ
→ 船がまっすぐ進む航路を線で引ける。 - 緯度が高い地域ほど面積が拡大してしまう
→ 北や南の国が「実際より大きく見える」!

つまり、メルカトル図法は「方向を正確にする代わりに、面積をゆがめる」という性質を持っています。
なぜロシアはあんなに大きく見えるの?

地図の上の方(北側)にあるロシア。
この位置こそが、メルカトル図法の “膨張マジック” の影響を受けやすいのです。
- 実際のロシアの面積 ⇒ 約1,710万 km²
- メルカトル地図上では、アフリカ大陸と同じくらいか、それ以上に巨大に見える!
しかし、現実の面積で比べると――
アフリカ大陸(約3,030万 km²)の方が、ロシアの約2倍の広さがあります。
つまり、「ロシアは地図の上では2倍以上に膨張している」というわけです。
🦘 一方でオーストラリアは“縮小”されている!

赤道から離れていない南半球のオーストラリアは、逆に小さく描かれてしまう側です。
- 実際のオーストラリアの面積 ⇒ 約769万 km²(世界6位)
- 地図で見るとグリーンランドと同じくらいの大きさに見えることも。

ところが実際には――
オーストラリアの方がグリーンランドの約3.5倍も広い!
目で見る印象と、実際の数字はまるで違うのです。
面積の誤解を解く「正しい地図」もある
近年では、面積をできるだけ正しく表す「モルワイデ図法」や「グード図法」といった新しい地図も使われています。

〔モルワイデ図法〕

〔グード図法〕
更に、Google Earth などでは、地球を立体的に見ることで、より “リアルな世界の広さ” を実感できます。
メルカトル図法の地図は便利だけど、実はウソだらけ…⁉

| 比較項目 | 地図での見え方 | 実際の面積 |
|---|---|---|
| ロシア | アフリカより大きく見える | 実際はアフリカの約半分 |
| オーストラリア | グリーンランドと同じくらいに見える | 実際は約3.5倍広い |
👉 メルカトル図法の地図 = 面積は歪むが、航海には便利な “機能的ウソ”
👉 正しい広さを知りたいときは「地球儀」や「面積重視の地図」を見るのがおすすめ!
🌏 おわりに:地図は「世界の見え方」を変える

私たちは地図を通して「世界を知っている」と思いがちですが、実際には “地図の描き方” 次第で、世界の印象そのものが変わるのです。
ロシアが巨大に見えるのも、オーストラリアが小さく見えるのも、すべては “図法のマジック” によるもの。
ぜひ世界地図を見るときには、「この地図は、どんな見え方をさせようとしているのか?」と少しだけ意識してみてください。
きっと世界が今までよりずっと “広く” 感じられるはずです!








