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人間の脳の記憶できる容量はどれくらい?記憶の種類とメカニズム。記憶と忘却。他

生物・生態

人間の脳の記憶できる容量はどれくらい?


本などを読んでいて、1度読んだら全部頭に入ってしまったらどれだけ楽なのに…

なんて思ってしまうわけですが(笑)

人間の脳にはどれだけの容量をインプットすることができるのでしょうか…?



近年の研究結果によると1ペタバイト(1PB)の容量があるといわれています。



ペタバイトという言葉はあまり聞きなれないのですが、近年市販されているパソコンハードディスクの容量ですと、ギガバイト(GB)の上の単位であるテラバイト(TB)もでてきていますが、そのもう一つ上の単位がペタバイト(PB)になります。




1KBの1,024倍 (1,024KB) = 1MB (メガバイト)

1MBの1,024倍(1,024MB)= 1GB (ギガバイト)

1GBの1,024倍( 1,024GB)= 1TB( テラバイト)

1TBの1,024倍(1,024TB) = 1PB (ペタバイト)


※パソコンなどのデータは2進法(0、1)によって成り立つため、ピッタリ1,000にはならなく1,024になります。〔例:2の10乗=1,024〕



マイクロソフトのワードで全角文字の入力をすると、


512文字(半角だと1,024文字)=1キロバイト

1,024文字で=2キロバイト

102,400文字で=200キロバイト


になります。


一生分の新聞朝刊を余裕でインプットできる容量…⁉



先ほどの数字を元にワードの文字数として計算すると…


新聞の朝刊で200,000~300,000文字ぐらい(=新書2冊ぐらい)といいますので、


例えば:

300,000文字 × 365日〔仮に毎日だとして〕 × 100年〔仮に100歳生きたとして〕

約109億5000万文字〔一生分の朝刊の文字〕


になります。



そして、ざっくりになりますが脳に記憶できる容量を文字数にすると、

1ペタバイト = 1兆キロバイトなので、

= 全角で約500兆文字(半角で約1,000兆文字)としたら…⁉



一生分の新聞朝刊余すところなくインプットしても全然余裕で、とにかく桁外れな容量だということがわかります…





脳の容量はたくさんあるのになぜ暗記ができない…



これだけ容量があるのに、なぜこんなに暗記が大変なんだよ~

と、思ってしまう訳ですが…



どんなに記憶の容量があっても海馬(かいば)に生命の維持に必要だと思わせないと、情報が捨てられてしまうということなのです。

海馬とは?… 脳の記憶や空間認識能力を司る器官。



そのため多くを暗記するには、いかに脳をだましながら記憶していくかが重要なポイントとなるのかもしれません。

それは、生きていく上で重要なことほど記憶に残るということなので、興味を持てるように工夫してみたり、感情が加わるようにして覚えるなどで、脳に定着しやすくなるそうです。


脳のほとんどは休止している…?



脳の容量を見てもわかるように、脳の1割ぐらいしか働いていなく、脳のほとんどが活動を休止しているなんて話を聞いたことがあるかもしれませんが…


近年では、脳の特定された1割だけではなく、休止していると言われていた残り全部の脳も人間が活動する為には必要物事の本質を見抜くことだったり、計画や決断するときなどにとても重要な働きをしているということが分かってきているようです。



そのため、無駄に容量があるだけではないということのようです…





『記憶のメカニズム』人間はどのように記憶する…?



脳を使って記憶していることは分かるのですが、この生身の体にどうやって記憶として残すことができるのでしょうか…?


順を追って見ていきたいと思います。


脳内の伝達


脳内のニューロン〔神経系細胞〕



何らかの情報が入ると、まず脳内のニューロン〔神経系細胞〕のネットワーク内に拡散されるのですが、そのニューロンとニューロンの接合部である、【シナプス】伝達物質を放出することによって情報の入力、出力をしています。

(ニューロン)

(シナプス)



このニューロンの数はおおよそ100億~1,000憶個ぐらいあるといわれているのですが、この伝達を頻繁に行うことによって、神経細胞どうしのつながりが強くなり、それと同時に記憶も向上すると言われます。

【一口メモ】

加齢と共に細胞の数も減るので、伝達頻度も必然的に下がり記憶力も低下してしまうのですが、できるだけ脳を使い、運動などもして血の巡りをよくして、ストレスのない生活を心掛けることによって、記憶の低下を遅らせることは可能と言われています。



海馬(かいば)…『新しい記憶』


そして、人が記憶をするときは、まず新たに入った情報を【海馬(かいば)】という器官に『新しい記憶』として取り入れます。

【 海馬(かいば)】

  • 短期的な記憶
  • 耳の奥のほう左右にある
  • タツノオトシゴ(別名:海馬)に形が似ており、長さは5cmぐらい
  • 海馬が完成するのは2~3歳ぐらい

〔3歳頃までの記憶が無い理由のひとつといわれる〕




このとき、生命を維持するのに、必要な情報不必要な情報整理不要な情報は捨てられます



大脳皮質(だいのうひしつ)…『古い記憶』


更に、必要な情報に関しては【大脳皮質(だいのうひしつ)】という器官に移動し保管され、長期的な『古い記憶』となっていきます。

【 大脳皮質(だいのうひしつ)】

(大脳皮質上面)

  • 長期的な記憶。
  • 大脳の表面で、脳の40%近くを占める
  • 厚さは約1.5cm~4cmシワを伸ばした表面積は新聞紙一面相当になる
  • 大脳皮質の神経が他の神経につながれており記憶、感覚、推理、言語、本能、自分の意志による運動など高い水準の機能を司る




例えば、

勉強などで覚えたことは、一度だけではすぐに忘れてしまいがちですが、繰り返し勉強すると記憶として定着していくと思います。


それは、繰り返すことによって生命を維持するのに必要な情報だと海馬が騙されて長期的な古い記憶として保管されるからということなのです。



記憶の種類




自転車の乗り方だったり、泳ぎ方などは、久しぶりでも体が記憶していますが、



なぜか、教科書などで暗記した記憶はあっという間に忘れてしまいます



どうしてなのでしょうか…?



記憶というものは大きく3つの種類分かれるそうです。

【感覚記憶】


  • 意味もなく覚えている記憶1秒以内で消える。
  • 風景だったり、普通に生活していてただ単に目に入ってしまうものなど。


【短期記憶】


  • 人間が瞬時に覚える一次的な記憶数十秒から数分で消える。
  • 電話番号などのように一時的に覚えるがすぐに忘れてしまうような記憶。
  • 容量は7個ぐらい


【長期記憶】


  • 長い期間記憶しておける、二次的な記憶
  • 何度も繰り替えすなどして、比較的長いあいだ覚えていられる記憶。
  • 記憶容量はとても大きい



記憶の階層【5つの記憶】



そして、これらの記憶階層に分けることができます


⑤ エピソード記憶   (経験した記憶)

④ 短期記憶      (瞬時に覚える一次的な記憶)

↑ 

③ 意味記憶       (知識による記憶)

② プライミング記憶   (無意識の記憶)

① 手続き記憶      (身体で覚えた記憶)



上記の①②③④⑤の記憶は、①→⑤に向かって、階層が上がっていくのですが、進化の進んでいる生物ほど、階層の高い⑤に近い記憶が発達し、逆に、進化が進んでいない生物ほど、階層の低い①に近い記憶が発達しているといわれています。


それでは、この5つの記憶につい見ていきます。

潜在(せんざい)記憶 ①②③ 


【 意思とは関係なく思い出す記憶 】


① 手続き記憶 


  • 長期記憶
  • 身体で覚えているような記憶
  • 言葉で表せない記憶〔非宣言的記憶〕



例えば、自転車に乗るピアノを弾く泳ぐなど


② プライミング記憶 


  • 長期記憶
  • 先行の刺激によって影響する無意識の記憶
  • 言葉で表せない記憶〔非宣言的記憶〕


例えば、動物の名前を呼んでみたとします。

ゾウ、キリン、カバ、ライ〇〇  ←この〇〇には(オン)がなんとなく入りそうな気がしますが… 


このような、先行した刺激により、無意識に知っていることを思い出のがこの記憶です。



③ 意味記憶  


  • 長期記憶
  • 一般的な知識による記憶
  • 言葉で表せる記憶〔宣言的記憶〕




例えば、勉強して記憶した歴史の年号や、地名、漢字などなど…




顕在(けんざい)記憶④⑤


【 思い出す意思がある記憶 】

④ 短期記憶 


  • 数十秒から数分で消える、人間が瞬時に覚える一次的な記憶
  • 容量は7個ぐらい




例えば、この記憶を利用したのが電話番号で、一気に数字を並べると7桁を超えてしまうため、ハイフンで分けることによって数を少なくし覚えやすくしています。



⑤ エピソード記憶 


  • 長期記憶
  • 自分が経験した記憶
  • 言葉で表せる記憶〔宣言的記憶〕




例えば、「昨日ハイキングに行ったとき、にわか雨が降ってきたんだ…」

のような感じです。



チンパンジーの記憶力と人間の記憶力の違い




賢いと言われるチンパンジーは、④の短期記憶〔思い出す意思がある記憶(顕在記憶)〕が人間に近いところまで発達しているという研究結果があります。

人間の場合は、生まれてから①→⑤に向かって成長していき、一番上層階の⑤エピソード記憶〔思い出す意思がある記憶(顕在記憶)〕が発達します。

一般的に3歳頃までの記憶がほとんどないと言われていますが、その理由のひとつが、エピソード記憶がまだ発達していない段階だからということもあるようです。


そして、歳を重ねることによって物忘れが多くなりますが、それは逆に、エピソード記憶が衰えてきた証拠だともいえるようです。



記憶した事はどのくらいの時間で忘れるの?



何かを覚えようとして記憶していたはずの情報も、時間と共にだんだん薄れていくわけですが…

いったいどのくらいの時間、脳に記憶しておくことができるのでしょうか…?


『エビングハウスの忘却曲線』


練習量反応時間を表す曲線、エビングハウスの忘却曲線というものがあります。



ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが発見したのですが、これによると、興味のないことだと復習など何もしなければ、記憶したことは初めのうちは急速に忘れてしまいます。

そして半分近く4時間以内記憶から消えてしまうそうです。

そこから緩やかに忘却していくのですが、1日経過すると6~7割ぐらい、2日経過したときには7~8割ぐらい忘れてしまいます。

そして、1か月後には、よっぽど記憶に残ることでなければほとんど忘れてしまうそうです。


ちょっと残念な話のような気もしますが…

暗記などで記憶に定着させるには、なるべく興味を持てるように工夫し、面倒なのですが早い段階で繰り返し行い脳をだましながら覚えていくことが遠回りしているようで、実は効率的な暗記方法なのかもしれません。


『ラーニングピラミッド』


ちなみに、『ラーニングピラミッド』という学習の定着率を表すピラミッドがあるのですが、それによりますと以下のようになるようです。


これは、ある研究機関の内容で、実証的な根拠はなく数値に関しては賛否あると言われていますが…


参考にはなるかもしれませんね。





人間の記憶を自由に操ることはできないの…?



脳がパソコンのように自由に操作できたら、どんなに勉強が楽なことかなんて、ぐうたらな妄想をしてしまうのですが…(笑)

現在ではどんな脳の研究がされているのでしょうか…?

昔の忘れた記憶は取り戻せる? 



近年では、薬〔めまい系の薬を増量で服用するなど〕によって忘れた記憶を取り戻すという研究もしているようです。

それはヒスタミン〔脳の情報伝達に必要な物質〕を増やすことによって、記憶に関係する神経細胞が活性化され、一度忘れた記憶を回復する効果があったということなのです。

これにより、認知症などの治療に役立つ可能性が出てきたといわれています。


コンピューターのように記憶を操れる? 



海馬〔記憶の司令塔〕の機能に似せたチップによって、記憶の出し入れコピー外部のコンピューターによる操作などが可能になるための研究が進められているそうです。



このチップ脳の海馬に埋め込むことによって、脳の病気損傷による記憶障害などを補助できるということで商品化に向けているということです。




すでにサルやネズミなどでは効果があり、人間に対してもすでに臨床実験を行っているといわれています。



脳のシワが多いほど頭がいいの?



脳のシワが多い方が、なんとなく頭が良いイメージが勝手にありますが、やっぱり賢い人ほど脳のシワが多いのでしょうか…?

大脳〔大脳皮質〕には、不規則な形でシワがあるように思えますが、実は規則があるようで、ニューロン〔脳を構成している神経細胞〕の引きの強さによって〔ニューロンの結びつきが強い部分〕になったり、隆起〔ニューロンの結びつきが弱い部分〕したりしながら、大きい表面積のある大脳皮質が頭の中にギュッと納まっています。

一般的に自然界の生物では、脳の大きさ〔脳の重量と体重の比率〕が一部を除き関係しているとは言われているのですが、それ以外だと、シワの数というよりは、ニューロンの数であったり脳の構造によって知能指数が変わってくるといわれています。

そのため、一つの統計だけで知能指数を測るのは難しいようです。


ちなみに鳥類では、カラス脳のサイズとは関係なく知能が高いといわれ、


哺乳類でいえば、学習能力が高いといわれるネズミには脳のシワがないということです。




そして、イルカ大脳皮質は人よりニューロンの数が多いという推計もあります。




私たち人間はというと、ある特定の疾患によってシワが減ったり、増えたりすることはあるのですが、


成長過程で大脳や脳のシワが形成がされており、知能の違いなどで、シワの数や脳の重さが変わるような例は、今のところ見つかっていないということです。


【天才アインシュタインの脳】


ちなみに、かの有名な天才アインシュタインは、現在でも博物館などに保存されているのですが、

平均的な男性の脳の重さより軽いということが分かっているようです。




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