〔生物の分類〕きのこはどこに分類される?キノコは植物?
現在生物は、
【 ドメイン>界>門>綱>目>科>属>種 】
というように分類されています。
例えば、ヒトをこの分類に当てはめた場合、
[ドメイン> 界> 門> 綱> 目> 科> 属> 種]
真核生物>動物界>脊索動物門>哺乳綱>霊長目>ヒト科>ヒト属>ヒト
というようになっていきます。
地球上の生物(動物)の分類方法。いったい地球上には何種類の生物がいる…?
【ドメイン】
ドメインとは、生物を一番大きい枠で分けた分類方法になるのですが、現在は3つの枠【3ドメイン】あります。
- 細菌(さいきん)… バクテリア
- 真核生物(しんかくせいぶつ)… 動物、植物、菌類など
- 古細菌(こさいきん)… 細菌とは異なるものでメタン菌、高度好塩菌など
この大きな分類では、ヒトも植物も菌類も〔細胞核がある〕ため、細胞核がある生物はすべて真核生物(しんかくせいぶつ)として分類されます。
【界(かい)】
そして、生物を2番目に大きい枠で分類した少し馴染みのある【界】によって、【5界】に分かれるのですが、ここでキノコは【菌界】に分類されていきます。
① モネラ界
〔大腸菌、藍藻類(ミトコンドリア他)、乳酸菌など〕
② 原生生物界
〔菌界、植物界、動物界にも属さない、アメーバ、ゾウリムシなど〕
③ 植物界
〔コケ植物、種子(裸子、被子)植物、シダ植物など〕
④ 菌界 ←【きのこはココ】
カビ、キノコ、酵母など
⑤ 動物界
(1)脊椎動物… 哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類など、背骨がある動物
(2)節足動物… 昆虫類、甲殻類など、背骨が無く、体節〔体に節〕がある動物
(3)軟体動物… イカ、タコ、貝類など、背骨が無く、体が軟らかい動物など
このように、キノコは植物ではなく、カビや酵母〔ビール酵母、パン酵母など〕と同じく菌界(菌類)に分類されます。
ちなみに、しいたけを生物の分類に当てはめると、
[ドメイン> 界> 門> 綱> 目> 科> 属> 種]
真核生物>菌界> 担子菌門> 菌じん綱> ハラタケ目 >キシメジ科> シイタケ属> シイタケ
というようになります。
【キノコ】と【植物】の違い
それでは、キノコと植物では何が違うのでしょうか…?
植物の細胞内には葉緑体〔葉緑素を含む色素体〕という器官があり光合成※をするのですが、キノコにはそのような細胞が存在しないので光合成をしません。
光合成とは?
光エネルギー〔主に太陽光〕を用いて、二酸化炭素と水から炭水化物〔デンプン〕などを合成、酸素を放出する働き。
また、植物は根を通じて土壌から水分と栄養素を吸収しますが、キノコは落ち葉や腐った植物、虫の死骸などを『分解(ぶんかい)』して栄養を摂取します。
分解(ぶんかい)とは?
落ち葉や腐った植物、死骸などの有機物(ゆうきぶつ)〔動植物を構成している物質〕を分解し、無機物(むきぶつ)〔有機物以外(水、空気、鉱物など)〕にする働き。
その為、キノコは分解者として森をきれいにしてくれる役割、植物は酸素を放出してくれるなど、生態系において重要な存在でもあります。
きのこの生態について
キノコの主要な部分は地中や朽木などに存在し、菌糸体(きんしたい)〔菌糸の集合体〕と呼ばれています。
菌糸体は細長い菌糸〔菌類の体を構成する糸状のもの〕から構成されているのですが、落ち葉や腐った植物、死骸などに広がりこの菌糸体が栄養分を吸収し、地上に見えている傘上のキノコ(=菌糸の塊)となっていきます。
このキノコの傘状の部分のことを子実体(しじつたい)といい、主に繁殖するために胞子(ほうし)〔生殖細胞〕を形成、飛散するためにつくられた部分になります。
傘の裏側にある特殊な構造〔ひだや管状のもの〕に胞子が形成されるのですが、風や動物などの接触によって胞子が散布されることとなります。
また、一部のキノコは、植物との共生関係を持つものもあります。
菌根(きんこん)〔マツタケ、しめじ等〕といわれ、生きている植物の根に寄生し共存するのですが、その際、植物に栄養素を供給して引き換えに植物がキノコに糖分を提供するという仕組みとなり森林生態系では重要なはたらきともなっています。