なぜ秋のスズメバチは危険なのか?
秋はスズメバチが最も攻撃的になる季節です。
夏の間に巣を大きくして繁殖したスズメバチは、秋になると巣を守るために警戒心が強くなるからです。
特に9月から11月にかけては、女王バチを守るために働きバチが活発になり、少しの音や振動などの刺激にも敏感に反応して攻撃することがあります。
秋のスズメバチが危険! 主な理由3つ
- 巣の最大化
春から夏にかけてスズメバチの巣は徐々に大きくなり、秋には巣の中に多数の働きバチ、そして新女王バチが誕生します。
そのため、この時期は巣を守るために非常に攻撃的になります。近づく人や動物に対して敏感に反応し、巣を守ろうと集団で襲ってくることも。 - 食糧不足
秋になると、餌となる昆虫の数が減り、スズメバチたちは人間の食べ物に興味を持つことがあります。例えば、バーベキューやピクニックで出す肉や甘い飲み物に引き寄せられ、刺される危険性が増すのです。 - 巣の移動や新女王バチの準備
秋はスズメバチが次の世代の準備を始める季節です。新しい女王バチが飛び立って新しい巣を作る準備をするため、働きバチは一段と警戒心を高めます。
スズメバチの9割はメス。刺すのもメス。
スズメバチの巣にいる個体の約90%がメスになります。働きバチとして巣を作り、食料を集め、巣を守る役割を担っています。オスは繁殖シーズンにのみ存在し、その後は巣を離れて死んでしまいます。
ちなみに、スズメバチのメスの刺針は卵管の変化したもので、そこが攻撃するための器官となります。そのため、オスにはこの器官がないため刺すことができません。
スズメバチの生活:年間を通じた活動
スズメバチは普段どのような生活しているのでしょうか…?
年間を通じた活動を知るとスズメバチの行動や秋に攻撃的になる理由も理解しやすくなるかもしれません。
ここでは、スズメバチの季節による生活スタイルを見ていきたいと思います。
春から夏: 巣作りと食料集めが中心
- 巣作りの季節
春になると、越冬した女王バチが目を覚まし、新しい巣を作る準備を始めます。最初は小さな巣を一匹で作り始め、卵を産んで働きバチが育つと、その働きバチたちが巣作りを手伝うようになります。巣は木の枝や建物の軒下など、比較的安全な場所に作られることが多いです。 - 餌集め
働きバチたちは、幼虫を育てるために昆虫を捕まえて巣に持ち帰ります。スズメバチは肉食性で、ハエやアブ、他の昆虫を捕食して幼虫に与えます。実は、これがスズメバチの自然界での重要な役割でもあり、この活動は害虫を減らす一面も持っています。 - 甘いものも好物
成虫のスズメバチは昆虫を狩るだけでなく、植物の樹液や花の蜜、果物などの甘いものも好みます。夏になると、甘い匂いを放つ植物や果実に引き寄せられることも多いです。
秋:【もっとも危険な時期‼】 巣の防衛と食料の確保
- 巣の防衛本能が高まる
秋になると、巣は最大規模になり働きバチの数がピークに達します。女王バチや次世代の新女王バチを守るため、働きバチたちは外敵に対して非常に敏感になり、巣に近づく者に対して攻撃的になります。 - 次世代の準備
秋は新しい女王バチが巣の中で育つ時期でもあります。これらの新女王は冬の間、別の場所で越冬し、翌年に新しい巣を作る準備をします。そのため、秋はスズメバチの巣全体が活発で攻撃的になる時期なのです。 - 食料不足との戦い
秋になると、昆虫が減少してスズメバチたちが食料を見つけるのが難しくなります。そのため、人間の食べ物や飲み物に引き寄せられやすくなります。特に甘い飲み物や食べ物は、スズメバチたちにとって魅力的な餌です。
冬: 女王バチだけが生き残る
- 働きバチの死
冬になると巣の働きバチたちは死んでしまい、巣自体も使われなくなります。越冬するのは女王バチのみで、木の隙間や土の中などで冬眠し、春が来るのを待ちます。 - 新しい世代へ
越冬した女王バチは、翌年の春に目覚め、新しい巣を作り始めることで新しいサイクルが始まります。そして、このようなサイクルは毎年繰り返されます。
スズメバチから身を守る方法
- 巣に近づかない
秋はスズメバチの巣が多く、見つけにくい場所にもあります。気づかずに巣に接近すると、スズメバチに攻撃される危険が高まるため、巣を発見した際は近寄らないように注意しましょう。 - 香りや明るい色に注意
スズメバチは強い香りや明るい色に引き寄せられやすいです。例えば、香水や甘い匂いのするシャンプーなどでも引き寄せてしまう場合があります。そのため、野外で活動する際には黒や茶色などの地味な服を着るのがベストです。 - 食べ物や飲み物を放置しない
スズメバチは肉や甘いものが大好きです。外で食事をする際は、食べ物や飲み物を放置せず、特に甘い飲み物には注意を払うようにしましょう! - 刺激しない
スズメバチを見かけても、刺激せず静かにその場を離れることが大切です。急に手を振り回したり、走って逃げたりすると、逆にスズメバチを刺激してしまいます。
もしも、スズメバチに刺されたらどうする?
万が一スズメバチに刺されてしまった場合は、すぐに応急処置を行いましょう。
- すぐに安全な場所へ避難
刺された場所から速やかに離れましょう。巣が近い場合、スズメバチが何度も攻撃してくる可能性があります。 - 傷口を確認
基本、スズメバチは針は残らない〔そのため何度も刺してくる〕のですが、もしも針が残っていたらゆっくりと引き抜きます。
強く引っ張ると、毒袋が破れて毒がさらに注入される可能性があるため注意が必要です。 - 毒を絞り出す
傷口を押して毒を出し水で洗い流します。ただし、口で吸い出すのは避けてください。※口の中に毒が入ると粘膜から吸収されて体内に広がる恐れがあります。 - 冷やす
針や毒を取り除いた後は、すぐに傷口を冷やして腫れを抑えます。冷却材や氷をタオルで包んで当てると効果的です。 - 抗ヒスタミン薬を使用
かゆみや腫れが出たら、市販の抗ヒスタミン薬やステロイド軟膏を使用しましょう。 - 重症時はすぐに病院へ
息苦しい、めまい、全身の腫れなどのアナフィラキシーショックの症状が出た場合、すぐに救急車を呼びましょう。
アナフィラキシーショックの主な症状
アナフィラキシーショックとは、重篤なアレルギー反応で、急激な呼吸困難や血圧低下を引き起こす危険な状態です。
- 呼吸困難
気道が腫れたり、筋肉が収縮したりするため、呼吸が難しくなることがあります。 - 循環器系の変化
血圧が急激に下がり、心拍数が速くなります。それにより、めまいや失神を引き起こすことがあります。 - 皮膚症状
じんましん、かゆみ、腫れなどが全身に現れることがあります。 - 消化器症状
吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が出ることもあります。
特に複数回刺された場合や、過去にアレルギー反応を経験している場合は、緊急対応が必要です。
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まとめ
秋のスズメバチは、巣を守り、食べ物を探すために非常に攻撃的になります。
巣に近づかない、香りや色に注意する、食べ物を放置しないといった対策をしっかり行うことで、ぐっと刺されるリスクを減らすことができます。
秋のアウトドアを楽しむためににも、スズメバチの危険性を理解し安全な行動を心がけたいものですね!