昆虫には脳があるの?
あの小さい昆虫の頭部には、
哺乳類などのような脳は存在するのでしょうか…?
昆虫には人間の脳のような大きい処理能力はないですが、
脳があるということが明らかになってきています。
クモは体のほとんどが脳って本当…?クモは酒ではなくコーヒーに酔う…
更に、昆虫は哺乳類などの脳にあたる部分以外に、
頭部 → 胸部 → 腹部に連なる、人間でいえば脊髄(せきずい)のように
繋がっている神経節(しんけいせつ)〔胸部や腹部の神経節〕が存在します。
※脊髄… 脳から連続する中枢神経(ちゅうすうしんけい)〔脳と脊髄。全身から集まる情報を処理し指令を発信する〕背骨の中の空間に保護されるような形で存在する。
ここが体を動かすもう一つの脳のような働きをしており、
この神経節を独立に利用しながら情報を処理することによって
機敏な動きが可能となっているそうです。
そのため頭部をなくした昆虫が体だけ動いている…
なんてことがおこるというわけです。
もちろん頭部が無ければ餌も食べることができないため、
長くは生きることが出来ないのですが、
人間では考えられない生命力をもっているのです…
昆虫には血管はあるの…?
血液というと赤い血をイメージしてしまいますが、
昆虫はどうなのでしょうか…?
人間や動物の血液が赤いのは、血液中の赤色素のヘモグロビン〔赤色色素タンパク質〕
が含まれているからなのですが、そのヘモグロビンがほとんどの昆虫には含まれて
いないため、ほとんどの昆虫の血液は赤色ではないということになります。
※蚊柱で知られるユスリカの幼虫は数少ないヘモグロビンを持った昆虫になり血液が赤色になります。
(ユスリカ)
そのため、一般的な昆虫は薄黄色や薄緑色、薄青色などの
透明色に近い色のものが多いそうです。
昆虫は血管がない開放血管系(かいほうけっかんけい)※なので、
この血液のような体液は、動脈(どうみゃく)〔心臓から押し出される
血液の流れる血管〕から組織の隙間を流れ、静脈(じょうみゃく)〔血液が全身の
臓器から心臓に戻るときの血管〕に戻らず、直接心臓に戻ったりもします。
※開放血管系(かいほうけっかんけい)… 動脈と静脈が毛細血管によって連なっていない血管系。
そのため、リンパ液※や組織液なども混ざっているので
『血リンパ』と呼ばれています。
※リンパ液… 毛細血管から漏れ出した血液中の血漿(けっしょう)〔 血液に含まれる液体成分〕という成分や、たんぱく質が、全身にはりめぐらされた毛細リンパ管に再吸収されたもの。
※組織液(そしきえき)… 動物の組織の細胞間を満たす液体成分。
昆虫には感情や痛覚があるのか…
昆虫も人間のように、どこかにぶつかって痛かったり、
何かが楽しかったり、悲しかったりと、
色々な感覚や感情があるのでしょうか…?
研究者の中でも意見は割れているようなのですが、
現在のところ感情や痛覚がないというのが通説となっています。
しかし、昆虫の脳はそこまで発達をしていないとされているなかでも、
一部の昆虫では感情らしき行動が見つかっているのも事実のようです。
魚や昆虫は睡眠するの…?睡眠する生物としない生物の決定的な違いとは…
例えば、
ご褒美を与えることによって、喜びを表すしぐさのような
動きをするマルハナバチだったり、
(マルハナバチ)
親から子に口移しで餌を与えたりするエサキクチキゴキブリなどもいます。
けれども、実際に平気で親や子を食べてしまう昆虫もいるので、
昆虫と話すことの出来ない人間には判断は難しいようです…
しかし今後の研究次第でもっと昆虫の心理が
分かってくる時代が来るのかもしれませんね。
昆虫には匂いを嗅ぐ鼻の穴があるの?
昆虫には、哺乳類や鳥類のような鼻の穴みたいなものが
あるように思えないのですが、花や食べ物などの匂いに寄ってきます。
どういうことなのでしょうか…?
やはり、昆虫には鼻という器官はないようです。
けれども、触覚によって匂いを感知することはできるということです。
その触覚には、人間の鼻よりも遠くの匂いを嗅ぎ取る能力があり、
昆虫の種類によっては数㎞も離れた匂いや、フェロモン〔体内で分泌される同種の
他の個体の行動に影響を与える物質〕を感知することが可能なものもいると
いわれています。
昆虫のなかには、ゾウムシ↓のように鼻があるように見えるものもいるのですが…
これも鼻ではなく口吻(こうふん)といって、
口が突出しているだけなんだそうです。
そして、この伸びたゾウムシの口は、他の昆虫たちが届かないような
花の奥の種を食べるときや、枝に卵を産み付ける際の穴を開けるときなど
に使用しています。
昆虫はどうやって呼吸するの?
昆虫も勿論、呼吸をしているとは思うのですが、
人間のような肺があるようにも思えません。
どうやって呼吸をしているのでしょうか…?
昆虫は人や動物のように口から呼吸をしているのではなく、
通常は胸や腹についている気門〔体の側面の穴〕から空気を取り入れます。
※幼虫は分かりやすいのですが、黒い点が気門です。
そして、細い枝分かれした気管〔空気を取り入れるための管状の呼吸器〕
によって体全体に酸素を供給し、二酸化炭素を気門から排出しています。
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ただし、昆虫のなかでも特殊な呼吸法をするものもいます…
例えば、
水中で生活するゲンゴロウは、
空中にいるときに羽と胸部の間に空気を貯めその空気から呼吸をします。
そしてタガメは、おしりの管を空中に出して呼吸しているそうです。
なかなか器用なことをする昆虫もいるものですね…
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