梅・桃・桜の違いとは?
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春の訪れとともに、日本の風景を華やかに彩る梅(ウメ)、桃(モモ)、桜(サクラ)
それぞれの花が咲くタイミングや特徴を知っておくことで、春の花見が一層楽しくなります!
今回は、開花の時期や花の違い、そしてその背後にある文化的な背景について、わかりやすくご紹介したいと思います!
🌸 開花時期の違いは? 〜 どの花がいつ咲くの?
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まずは、それぞれの花が咲く時期を整理してみましょう。
花の名前 | 開花時期(目安) |
---|---|
梅(ウメ) | 1月下旬〜3月上旬 |
桃(モモ) | 3月中旬〜4月上旬 |
桜(サクラ) | 3月下旬〜4月中旬 |
最も早く咲くのが梅、その後に桃、そして桜で春のピークを迎えます。開花時期が異なるため、順番に楽しむことができますね!
🌺 花の特徴を見分けるポイント!
1. 梅(ウメ) 🌿
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〔メジロは梅の花の蜜が大好物!〕
梅(ウメ)の特徴
属する分類:バラ科サクラ属(桜と同じ)
花びらの形:
・丸みを帯びていて、先も丸い。
・桜や桃と違い、花びらの形が均整の取れた丸形に近い。
花の特徴:
・一重咲き(5枚の花びら)や八重咲き(花びらが多い)の品種がある。
・花色は白、ピンク、赤があり、品種によって異なる。
花のつき方:
・枝に直接つくように見える(花柄が非常に短いため、茎がほぼ見えない)
・桜や桃と違い、花が密集してつく。
香り:
・甘くて濃厚な香りが強い。(特に白梅は香りが強い傾向がある)
・桜はほぼ無臭、桃はほのかに甘い香りがあるが控えめ。
葉:
・花が散った後に葉が生えてくる。(花が咲いているときは基本的に葉がない)
・桜は品種によって葉と同時に咲くものもあるが、梅は花が先に咲くのが特徴。
代表的な品種:
・白梅(白い花を咲かせる梅)
・紅梅(赤や濃いピンクの花を咲かせる梅)
・しだれ梅(枝が垂れ下がる観賞用の梅)
梅の花は、開花時期が桃や桜よりも早く、冬の終わりから春先にかけて咲くのも特徴です。
枝に直接くっつくように咲き、一般的に花びらは5枚で、丸みがあり可愛らしい印象。香りが強いので、遠くからでも梅の花が咲いていることが分かります。
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〔白梅〕
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〔しだれ梅〕
⇒「春の訪れ」を告げる花!寒さの残る時期に咲き、香りが強いのが特徴です!
梅の実の成長と収穫時期: 梅干しは白梅が多い
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開花:冬の終わりから早春(1月下旬~3月上旬)にかけて花が咲く。
結実:花が散る頃に葉が出はじめ、受粉が成功した花の部分がふくらみ、青梅になる。
成熟:5月~6月頃に実が成長し、完熟すると黄色みを帯びる。
収穫:品種によるが、一般的に青梅は5月下旬~6月上旬、完熟梅は6月中旬頃に収穫される。
白梅系の品種(白加賀や南高梅など)は梅干しに向いていると言われます!
2. 桃(モモ) 🍑
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桃(モモ)の特徴
属する分類:バラ科モモ属
花びらの形:
・丸みを帯びているが、先がやや尖ることもある。
・桜や梅に比べて少し厚みがある。
花の特徴:
・一重咲き(5枚の花びら)や八重咲き(花びらが多い)などの品種がある。
・花色は淡いピンクから濃いピンク、白色までさまざま。
花のつき方:
・枝に短い茎(花柄)があり、やや離れてつく。(※桜のように長い柄ではなく、梅よりは少し離れてつく)
香り:
・ほのかに甘い香りがあるが、強くはない。(梅は比較的香りが強く、桜は品種によってはほぼ無臭)
葉:
・花と葉がほぼ同時に生える(花の近くに小さい葉がある)が、花が満開のときは葉がまだ小さい。(梅は花が先に咲き、桜は種類によって異なる)
代表的な品種:
・白桃(果実用:白く甘い果肉)
・赤桃(果実用:果肉が赤みを帯びる)
・花桃(観賞用:特に花を楽しむ品種で、赤・白・ピンクの花が咲くものがある)
桃の花は桜とよく似ていますが、枝に対する花のつき方や葉の生え方などで見分けることができます。
梅と違って枝から少し離れた位置に咲き、花びらは先が尖っていて、梅よりもシャープな印象を与えます。
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〔白桃〕
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〔花桃〕
⇒ 「ひな祭り」にも登場する桃の花は、可愛らしい印象!果実がなる品種と観賞用の品種があります。
桃の実の成長と収穫時期
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開花: 春(3月~4月頃)に花が咲く。
結実:開花時には小さな葉が芽生え、花が散ると葉が茂り、受粉した花の部分がふくらみ青桃になる。
成熟:6月~8月頃に実が大きく成長し、完熟すると赤みや黄色みを帯びる。
収穫: 品種によるが、一般的に6月~9月頃が収穫期。
白桃や黄桃は生食向きで、花桃の品種は観賞用が多いです!
3. 桜(サクラ) 🌸
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桜(サクラ)の特徴
属する分類:バラ科サクラ属
花びらの形:
・先が少し割れており、ハート形にも見える。(※梅や桃にはこの特徴がないため、見分けるポイントの一つ)
・品種によって割れ方が異なり、八重桜などは丸みが強いものもある。
花のつき方:
・長い花柄(茎)の先に、数輪ずつまとまって咲く。
・枝に花が集まって咲くこともあり、特にソメイヨシノは密集して咲く傾向がある。
・梅と異なり、花柄が長いのが特徴。
香り:
・ほぼ無臭だが、品種によってはほんのり香ることがある。
・八重桜やヤマザクラはわずかに甘い香りがする場合があるが、梅ほど強くはない。
葉:
・ソメイヨシノなど:花が散った後に葉が出る。
・ヤマザクラなど:花と葉が同時に出る品種もある。(品種によって葉の出方が異なる)
代表的な品種:
・ソメイヨシノ(日本で最も一般的な桜、淡いピンクで満開時は白っぽく見える)
・八重桜(花びらが多く、華やかでピンクが濃い品種)
・しだれ桜(枝が垂れ下がる桜で、風情がある)
桜は種類が多く、品種によって咲き方や葉の出るタイミングが異なりますが、花びらの先端が少し割れていて柔らかな雰囲気を持ちます。
また、梅や桃に比べると花が房のようにまとまって咲くのが特徴です。
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〔八重桜〕
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〔ソメイヨシノ〕
→ 「花見」といえば桜!ふんわりとした見た目が特徴で、日本の春を象徴する花です。
食用の「サクランボ」は桜の実とは種類が異なる…⁉
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〔山桜の実〕
桜にも実はできますが、一般的に食用には適さないことが多いです。観賞用の桜の実も「サクランボ」と呼ばれることがありますが、スーパーなどで販売されている食用のサクランボとは異なり、味が酸っぱく、渋みや苦味があるものが多く、種が大きくて食べにくいのが特徴です。
実の成長:
桜の花が咲いた後、受粉が成功すると実ができます。実は小さく、赤色や黒紫色に熟すことがあります。特にヤマザクラやオオシマザクラの実は黒紫色に熟し、鳥に好まれます。一方、ソメイヨシノはほとんど結実しないか、できても小さいうちに落ちてしまうことが多いです。
味:
一般的には酸味が強く、渋みや苦味があるため、人がそのまま食べるのには適しません。ただし、ヤマザクラやオオシマザクラの実は渋抜きをすれば食べられる場合もあります。
食用のサクランボは?
市場に流通している食用のサクランボは、「西洋実桜(セイヨウミザクラ)」や「酸果桜(スミミザクラ)」といった品種のもので、甘くて食べやすいのが特徴です。
これらの品種はヨーロッパやアメリカで主に栽培され、日本では「佐藤錦」などの品種がよく知られています。
つまり、桜の花が咲いた後に実ができるのは確かですが、桜の実そのものは食用には適していないことが多いようです!
🎎 日本文化における「梅・桃・桜」
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梅(ウメ)— 「学問・長寿」:格式高い花
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〔菅原道真〕
梅は奈良時代(8世紀頃)に中国(唐)から伝わり、当時の貴族の間では「花といえば梅」とされていました。
特に『万葉集』には梅を詠んだ和歌が多く残されています。しかし、平安時代中期以降になると、桜が好まれるようになり、「花といえば桜」へと移り変わりました。
また、菅原道真〔学問の神様として知られる平安時代の政治家・学者〕が梅を愛したと伝えられ、これが「学問の象徴」として広く親しまれるようになりました(※太宰府天満宮の飛梅伝説)
さらに、寒さに耐えて美しく咲くことから「忍耐」「気高さ」の象徴とされ、中国の影響もあり「長寿」の意味を持つ縁起の良い木としても知られています。
桃(モモ)— 「魔除け・幸福」の象徴:女の子の成長を祝う花
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〔桃の力で邪気を払った桃太郎〕
桃の花は、ひな祭り(3月3日)と深い関わりがあります。
ひな祭りは「桃の節句」とも呼ばれますが、これはもともと旧暦の3月3日(現在の4月頃)に桃の花がちょうど咲く時期だったことに由来しています。
また、古代中国では「桃は邪気を払う力がある」と信じられ、道教では「不老不死の象徴」とされていました。
この影響を受け、日本でも「厄除け・長寿・繁栄」の意味を持つ花として親しまれています。
昔話にも登場し、特に『桃太郎』では、桃が生命の源として描かれています。さらに、日本神話では、黄泉の国から逃げるイザナギが桃の実を投げて鬼を追い払ったとされ、これも桃の魔除けの力の象徴とされています。
桜(サクラ)— 「儚さと美しさ」の象徴:お花見文化の主役
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桜は日本で最も親しまれる花であり、「花は桜木、人は武士」という言葉のように、散る姿まで美しいとされています。 これは、桜の儚くも華やかな花の命が、武士の潔さと重ねられてきたためです。
平安時代には貴族の間で桜が愛され、和歌や文学に多く詠まれました。
鎌倉・室町時代には武士の美学と結びつき、桜の散る様が「無常観」の象徴とされました。
江戸時代に入ると、徳川吉宗が桜を植えて庶民も楽しめるようにしたことで、「お花見」が広まり、桜は人々にとってより身近な存在となりました。
現在、日本で最も多く植えられているソメイヨシノは、江戸時代末期に染井村(そめいむら)〔現在の東京都豊島区〕で作られた品種です。
明治時代以降、日本各地に広まり、現代では桜の象徴的な存在となっています。
ソメイヨシノの桜は、実はクローン…
梅・桃・桜の絶景スポット|日本の代表的な花の名所を紹介!
🛤️ 梅を楽しむなら…
観賞用の梅が美しい名所として有名な場所を2か所紹介します!
茨城県 水戸偕楽園(みと かいらくえん)—「日本三名園」の一つ
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〔水戸偕楽園 日本三名園〕
水戸偕楽園は「日本三名園」の一つとして知られ、約3,000本の梅の木が広がる梅の名所です。
特に2月下旬〜3月上旬には「梅まつり」が開催され、色とりどりの梅の花が咲き誇り、香りに包まれます。
園内からは水戸市街を一望できる絶景スポットもあり、観光にも人気です!
京都府 北野天満宮(きたのてんまんぐう)— 梅の名所として有名
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北野天満宮は梅の名所として有名で、「天満宮梅苑」には約1,500本から2,000本の梅の木が植えられています。
特に2月中旬から3月頃の梅の季節に多くの観光客が訪れ、境内全体が梅の花の香りに包まれます。
また、梅の花と共に、学問の神様である菅原道真公をお参りできるのも北野天満宮の大きな魅力の一つです!
🎎 桃を楽しむなら…
観賞用の桃が美しい名所として有名な場所を2か所紹介します!
山梨県 笛吹市(ふえふきし)— 日本一の桃源郷
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山梨県笛吹市は「日本一の桃源郷」と称され、毎年春には約30万本もの桃の花が一面をピンク色に染めます。
特に、「御坂町」「一宮町」「春日居町」周辺が見どころで、桃畑の向こうに富士山が見える絶景スポットも点在しています。
毎年3月下旬〜4月上旬には「笛吹市桃源郷春まつり」が開催され、桃の花を楽しむ観光客で賑わいます。お祭りでは、桃の花観賞とともに、地域の特産品やグルメも堪能できます!
南信州阿智村 (あちむら)— 日本一の花桃の里
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南信州・阿智村は、「花桃の里」として有名な花桃の名所です。
特に「阿智村の花桃の里」では、毎年4月中旬から5月上旬にかけて、約10,000本の花桃が咲き誇り、美しい景色を楽しむことができます。中央アルプスを背景に、ピンク・白・赤の色とりどりの花桃が咲き乱れる光景はまさに絶景で、春の風物詩となっています。
また、阿智村は「日本一の星空」としても知られ、昼間は花桃の美しい景色を、夜は星空を楽しめるという魅力的な場所です。
花桃の見頃は3月下旬から4月上旬で、春の訪れを感じながら、桃の花と自然の美しさを堪能できます!
🌸 桜を楽しむなら…
全国の桜の名所として有名な場所を2か所紹介します!
奈良県 吉野山(よしのやま) — 世界遺産の桜
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〔吉野山の千本桜〕
吉野山(奈良県)は、日本を代表する桜の名所で、約200種・3万本の桜が咲き誇ります。
「下千本・中千本・上千本・奥千本」とエリアごとに開花時期が異なるため、長期間にわたって桜を楽しめるのが特徴です。
特に、山全体がピンク色に染まる絶景は圧巻で、「吉野の桜」として広く知られています。
また、吉野山は「紀伊山地の霊場と参詣道(きいさんちのれいじょうとさんけいみち)」として世界遺産に登録されており、修験道の聖地でもあります。
お花見だけでなく、山道を散策しながら、金峯山寺(きんぷせんじ)などの歴史的な建造物とともに自然と歴史が融合した美しい景色を堪能できます。
東京都 上野公園 — 都会の中で桜を楽しむ
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上野公園は東京都内でも有名な桜の名所の1つで、毎年春には約1,000本以上の桜が咲き誇ります。
特に、ソメイヨシノが主流で、春になると多くの観光客や地元の人々に親しまれており、「東京の花見スポット」として、毎年大勢の人々が訪れる人気の場所です。
満開の桜の下でのお花見はもちろん、毎年行われる夜桜ライトアップでは、昼間とは違った美しい景色が楽しめます。
特に、上野東照宮や東京文化会館、博物館の周辺では、桜の花と共に歴史的な建物も堪能でき、風情ある美しい景観を楽しむことができます!
まとめ 🌿:梅・桃・桜の違いを覚えよう!
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比較ポイント | 梅 | 桃 | 桜 |
---|---|---|---|
開花時期 | 1月下旬~3月中旬 | 3月中旬~4月上旬 | 3月下旬~4月中旬 |
花びらの形 | 丸みがある | 少し尖っている | 先端が割れている |
花の付き方 | 枝に直接咲く | 小さな茎がある | 房状に咲く |
香り | 強い甘い香り | ほんのり甘い香り | ほとんど香らない |
文化・象徴 | 学問・気高さ | 厄除け・ひな祭り | お花見・儚さ |
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梅・桃・桜は、それぞれ異なる魅力を持つ春の花です。開花時期や花の特徴を知ることで、春の訪れをより深く楽しむことができますね!
今年の春は、梅・桃・桜の違いを意識しながら、順番に季節の移り変わりを感じてみてはいかがでしょうか?🌸
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