国会議員が衆議院と参議院に分かれる理由…
国会議員には衆議院と参議院が存在するのですが、どうして2つに分かれる必要があるのでしょうか…?
日本の国会は、衆議院 と 参議院 の二院制(にいんせい)〔両院性(りょういんせい)とも〕ですが、この制度を採用している理由は一般的に、
- 多角的に国民の意見を反映するため。
- 権力を分割することで、衝動的な行動を防ぎ、慎重な審議を行うため。
というように言われています。
しかし、だからと言ってこの衆議院と、参議院は対等かといったら実はそうではなく、例えば、法案〔法律の原案〕、予算案、条約〔文書による国家間の合意〕の承認、内閣総理大臣の指名などは、『衆議院の優越 (ゆうえつ)』といって、もしも両議院で意見が相違した場合は、衆議院の意見が優先するというように定められています。
衆議院の仕組みについて
衆議院(しゅうぎいん)
- 任期 :4年
- 定数:465人 (小選挙区選出議員 289人、比例代表選出議員 176人)
※小選挙区(しょうせんきょく)制とは… 1選挙区〔地理的の区分〕から議員1名を選出する選挙制度。2名以上選出の大選挙区制に対する語。全国を289区に分ける。
※比例代表(ひれいだいひょう)制とは… 各政党(せいとう)〔共通の政治目的の人々が、その政策を実現するために組織する団体〕が獲得した投票数(投票率)に比例して、候補者に議席を配分する選挙制度。全国を11区に分ける。
- 解散: あり
※解散(かいさん)とは… 議会を構成する議員全員について、その任期満了前に議員の資格を失わせること。
- 被選挙権(ひせんきょけん)〔選挙に参加する権利〕:25歳以上の日本国民
- 選挙区:小選挙区比例代表並立制〔非拘束名簿式〕。議員が総入れ替えのため衆議院の選挙のことを『総選挙』という。
※小選挙区比例代表並立制(しょうせんきょくひれいだいひょうへいりつせい)とは… 小選挙区制と比例代表制の二つを組み合わせて行う制度。
※非拘束名簿式(ひこうそくめいぼしき)… あらかじめ政党側で、候補者の当選順位を決めた名簿を確定しておく方法(拘束名簿式)ではなく、議席を得た政党内での当選者は、各候補者の個人名での得票数により決定する。
※衆議院選挙は、小選挙区と比例代表の重複立候補が可能。そのため、小選挙区で落選した候補者が、比例代表で復活当選することもある。
- 内閣不信任決議案: あり
※内閣不信任決議案(ないかくふしんにんけつぎあん)とは… 現在の内閣を信任(しんにん)〔信頼、信用して物事を任せること〕できないという意思表示。退陣(辞職)を求めることを内容とする。51人以上(自分含む)いれば内閣不信任案を出せる。
- 特徴:任期が短い。解散あり。そのため民意を反映しやすい。
参議院の仕組みについて
参議院(さんぎいん)
- 任期:6年
※任期が長いこともあり、法案(法律案)などのチェック機能としての役割がある。
- 定数:248人(選挙区選出議員148人、比例代表選出議員100人)。3年毎に半数(選挙区74人、比例50人)参議院の選挙は、3年に1度必ず行われるため『通常選挙』という。
※選挙区選出は原則、都道府県単位で45区に分け(例外で人口が少ない、鳥取県と島根県の2県で1区、徳島県と高知県の2県で1区となる)、人口によって当選者の人数を調整する。
※比例代表選出は、全国を1区とする。
- 解散:なし
- 被選挙権:30歳以上の日本国民
- 選挙区:大選挙区、小選挙区比例代表並立制〔非拘束名簿式〕
※大選挙区制とは… 1つの選挙区につき2人以上を選出する選挙制度の総称。人口により当選者の人数を調整するため。
※衆議院と違い、選挙区と比例の重複立候補は不可。
※選挙区が広いため、知名度がある芸能人、スポーツ選手が当選しやすい。
- 内閣不信任決議案 : なし
- 特徴: 任期が長い。解散がない。そのため長期的な目線で調査、検討することができる。
議員バッジ〔議員記章(ぎいんきしょう)〕の違い
議員バッジ〔議員記章(ぎいんきしょう)〕は、直径約2cmぐらいで、衆議院議員バッジが【赤紫色】で、参議院議員バッジが【紺色】になります。
イラストでは分かりづらいのですが、この2つは色以外に少しだけ形状が違います。
衆議院議員バッジ(赤紫色)は、菊花模様が参議院のものより少し小さく【金メッキ】なのに対し、参議院議員バッジ(紺色)は、菊花模様が衆議院のものより少し大きく【金張り】となっているそうです。
そのため、衆議院議員バッジの値段はだいたい15,000円前後に対し、参議院のバッジの方が1,000円~2,000円ぐらい値段が高いようです。
どうして参議院のバッジの方が高価なのかは、はっきりとは分からないのですが、参議院は、元々貴族院(きぞくいん)〔明治憲法下で、世襲の貴族や皇族、高官などによって構成〕だったため、その名残ではないかと言われています。
そして、この議員バッジは本会議場〔本会議が開かれる場所〕に入場する際には、必ず着用が義務づけられているそうです。
※現在は、クールビズにより議員バッジの代わりに、本人の申請でカード式身分証が交付されるそうですが…
(新人は、本会議場の前のほうに…)
紛失しても買うこともできるし(なんかしらの印が付けられるとかいう話ですが…)、議員に当選するたびにバッジを貰うことができるそうで、議員を辞めてもバッジの返還義務はないので、当選回数分のバッジが議員の手元にはあるということになります…
国会議事堂は、日本一高いビルだった…
いまでも使用されている国会議事堂は完成当時、昭和11年(1936年)の時は、地上9階、高さ65.45mで、日本一高いビルだったそうです。
頂上のピラミッド型の中には大広間があり、
らせん階段で最上階の、展望室〔4畳ほど〕につながっているそうなのですが、現在は閉鎖されており、普段は国会議員であっても、許可なく立ち入ることができないようです。
当時は、そこからどこまでも遠くを見渡せたでしょうね…