社長、代表取締役、CEOの違いとは?
近年になり日本でも、企業の代表などが社長ではなくCEOという言葉を使用するようになってきましが、社長とCEOは何が違うのでしょうか…?

日本の会社の法律に『社長』という文言はない…

日本での企業のトップとしてよく使われている『社長』という言葉ですが、実は日本での会社に関する法律である会社法には、社長という文言はありません。
会社法上の企業代表〔会社の責任者〕は、『代表取締役(だいひょうとりしまりやく)』と表記され、社長とは会社内での役職名(社内用語)ということになります。
また、社長の他、副社長や専務、常務、部長、課長…などの肩書や権限に関しても、個々の会社で定めたものということになるのです。

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そのため、社内で社長と呼ばれている人が、会社の代表権を持っているとも限らなく、代表権を持つ人が複数人いる場合もあります。
「会社法」を少し詳しく

会社法では、会社の規模などに応じて、以下の役職が定められています。
- 代表取締役
- 会社を代表する立場で、業務執行の責任を持つ
- 取締役の中から選ばれる(会社法362条)
- 取締役
- 会社の業務執行に関する意思決定を行う
- 株主総会の決議で選任される(会社法329条)
- 監査役
- 取締役や会社の業務・財務の監査を担当
- 不正や法令違反がないかをチェックする
- 株主総会(株式会社の最高意思決定機関)
- 代表取締役・取締役・監査役の選任を決議
- 会社の重要事項を決定
また、以下の点も会社法で定められています。
- 取締役の権限(会社法363条)
- 取締役の任期(会社法332条)
このように、会社の運営に関わる役職や権限は、法律に基づいて決められています。
「CEO」とはどんな役職?

近年になり、日本企業でもよく耳にする、
『CEO(Chief Executive Officer)』〔最高経営責任者〕
という肩書ですが、アメリカの制度を参考としたもので、このCEOという役職に関しても、社長と同様、明確な法律であったり規定などはありません。
そのため、CEOの肩書や権限に関しては、個々の会社で定めたものとなります。
CEOの他に、米国型にはどのような役職があるの?

『COO(Chief Operating Officer)』〔最高執行責任者〕
CEOと COOの両方が存在する企業では、CEOに次ぐ企業のナンバー2として用いられる役職。CEOが決定したことに関して、組織を動かす役割を担う。
CEOが『経営方針』の全責任を負うのに対して、COOが『業務執行』に対して全責任を負う。
『CFO(Chief Financial Officer)』〔最高財務責任者〕
経理、財務部門に関する責任者。
『CTO(chief technology officer)』〔最高技術責任者〕
技術開発、研究開発部門の責任者。
『CIO(Chief Information Officer)』〔最高情報責任者〕
情報戦略部門における責任者。
などなど…
日本の企業でも上記のような『CxO』〔最高x責任者〕「Chief(責任者、長)」「x(業務)」「Officer(役員、執行役)」という役職が増えているようです。

このような制度を導入することにより、従来の日本の形式のような社長が「経営と執行」すべての責任を負うというものではなく、「経営(CEOが担当)」と「執行(COOが担当)」というように分離してそれぞれの責任を明確化しています。
更に、グローバル(世界規模)な組織運営を促進するという意味も持ち合わせているため、『代表取締役兼CEO』であったり『社長兼CEO』などと称することにより、海外の企業から会社のどのような責任者であるかということを認識しやすくしているということなのです。

日本で初めて米国型の制度を導入した会社は?
ちなみに…
日本で初めてこの米国型の制度を導入したのは、SONY〔1970年の頃に導入〕だったようです!

