『石油』と『原油』の違いとは…?
石油と原油は、同じように使用されたりもする言葉ですが、若干意味合いが違うようです。
『石油』は、地下の鉱床(こうしょう)〔資源として利用できる原油や天然ガスなどが濃縮している場所〕から採掘された後、『原油』(crude oil)〔精製されていない未加工(crude)の石油〕となります。
そのため、『石油』は原油だけでなく、天然ガスやさまざまな炭化水素化合物を含む、地下の自然なエネルギー源を指す総称的な言葉となります。
炭化水素化合物とは
炭素(Carbon)と水素(Hydrogen)が結びついてできた化学物質。燃料として使用されるだけでなく、薬品、プラスチックなどさまざまな製品の原料として利用されている。
原油は地下からくみ上げられ、採取されたままの状態では燃料としては使用できません。
精製〔原料や物質から不純物を取り除いて純粋な状態にするプロセス〕をすることによって【灯油、ガソリン、ディーゼル燃料、航空燃料、石油ガス、潤滑油など】さまざまな石油製品に変えていきます。
2つの違いを簡単に言いうと、『石油』は天然のエネルギー源全体を指し、『原油』はその中で具体的に地下からくみ上げられた液体そのままの状態を指します。そして、この原油は精製されて初めて私たちが使う燃料や製品に変換されるということになります。
『ガソリン』『軽油』『灯油』の用途、成分、臭いの違い
ガソリン、軽油、灯油は、それぞれ異なる用途に使用される石油製品となります。
それでは、どんなことに利用されているのでしょうか…?
ガソリン(Gasoline)
【主な用途】
自動車などのガソリンエンジンで使用される燃料。
ガソリンは揮発性〔蒸発しやすい性質〕が高く、急速に燃焼する特性があります。
そのためガソリンエンジンは急速に燃焼し高速で回転しやすく、急激なパワーを発生させることができます。
また、ガソリンは低温でも揮発性が高いため、冷えた状態のエンジンでもガソリンが速やかに気化して燃焼し車両がスムーズに始動します。
【臭いの特徴】
ガソリンは揮発性が高いため、特有の強い匂いが広がります。
ガソリンの臭いはガソリンスタンドなどで感じたことがある人も多いと思いますが、通常、少しだけ甘い刺激臭〔炭化水素の混合物(ベンゼン)の臭い〕になります。
軽油(ディーゼル燃料 Diesel Fuel)
【主な用途】
トラック、バス、船舶、建設機械などのディーゼルエンジンで使用される燃料。
ディーゼルエンジンで軽油を使用する理由は、ディーゼルエンジンの高い圧縮比により軽油が高温、高圧で自己着火しやすいためです。
これにより、効率的な燃焼が可能でエネルギー密度が高い力強い出力が得られます。
そして、軽油は抽出しやすいその特性から商用車や重機などでの使用に適しています。
【臭いの特徴】
軽油の臭いは一般的にはガソリンの臭いを重くしたような感じで、油脂や化学物質のような匂いがします。
灯油(Kerosene)
【主な用途】
家庭用の暖房器具(ストーブなど)や照明(ランプなど)、一部ジェット燃料としても使用される。
灯油は他の液体燃料に比べ、揮発性〔蒸発しやすい性質〕が低いということもあり、一般的に安定した燃焼特性を持っているともいえます。
そして、比較的精製されている状態のため硫黄などのや不純物が取り除かれ、煙や臭いが少ないのも特徴となり、屋内での使用に適しています。
【臭いの特徴】
灯油は油性の臭いですが、比較的においが穏やかでガソリンや軽油よりも臭くありません。
そして灯油は揮発性が低いため、臭いが充満しないこともあり室内で使用されることが多いです。