抗菌加工、除菌・殺菌・滅菌・消毒

「抗菌加工」などの言葉を目にすると、なんとなく安心した気分になりますが…
実際、どのような処理が施されているのでしょうか?
抗菌加工とは?

経済産業省の抗菌加工製品ガイドラインによりますと、『製品の表面における、細菌の増殖を抑制する』というようにと定められているそうです。
抗菌の部分は製品の表面のみで、抗菌は細菌に対してのみ、そして、細菌の増殖の抑制のみというのがポイントのようです。
※経済産業省… 民間の経済活力の向上、経済、産業の円滑な発展、鉱物資源とエネルギーの安定供給を任務とする国の行政事務を行う機関。
※細菌(バクテリア)とは… 一つの細胞しか無い単細胞生物。ウイルスに比べ大きく、栄養があれば自ら分裂し増殖することができる。
除菌、殺菌、滅菌、消毒の違い
次に、除菌、殺菌、滅菌、消毒のそれぞれ意味になりますが、次のように定められています。
除菌
菌やウイルスなどの微生物を取り除いて減らす。
殺菌
菌やウイルスなどの微生物を殺す。 ※「医薬品、医薬部外品」のみに使用可能な言葉。
滅菌
殺菌よりも、菌やウイルスなどの微生物を限りなくゼロ〔100分の1以下〕になるまで死滅させる。
消毒
菌やウイルスなどの微生物を死滅〔無毒化〕させ、感染を防止する。※「医薬品、医薬部外品」のみに使用可能な言葉。
抗菌加工製品の歴史

1970年代、もともとは繊維の抗菌処理された製品として始まりました。
そして、1980年代になり、抗菌防臭加工の靴下により抗菌という言葉の知名度が上がり、それにより様々な商品に抗菌加工、抗菌処理などの文言が入るようになります。
しかし、いろいろな抗菌剤が出てくると、抗菌加工と呼ばれる物のなかには、皮膚に炎症を起こすなどの人体へ悪い影響を及ぼす製品が出回ったり、抗菌作用が実際には何もない製品など、様々な問題が判明してきます。
こうして経済産業省(当時の通商産業省)が、抗菌加工製品ガイドラインというものを策定することとなります。
O-157をきっかけに抗菌に対する関心が再び高まる

その後…
1990年代の腸管出血性大腸菌O-157の集団食中毒をきっかけに、抗菌に対する関心が再び高まります。
更に、2000年代の中国のSARS(サーズ)の発生もあり、アジア諸国にも抗菌製品が広まって行くこととなるのです。
※SARS(重症急性呼吸器症候群)… SARSコロナウイルスにより重症の肺炎を起こす感染症。
そして、現在では繊維以外の製品に対しても抗菌加工が承認されるようになり、日本はこの業界で世界をリードしている立場となっています。
抗菌の方法と種類

抗菌と一言でいっても、沢山の種類の抗菌剤が使用されているですが、製品の原材料に抗菌剤を混ぜ込んだり、製品にコーティング加工したりといった方法で施されているそうです。
例えば、昔ながらの殺菌作用があるといわれる、お茶の成分であるカテキン、ワサビやカラシなどの辛味成分。
ビールでおなじみのホップなどの天然系であったり、アルコール系、ヨーソ(ヨード)系の抗菌剤を使用されたり、銀や銅など、細菌を寄せ付けない金属を原材料に混ぜ込むなど、会社独自の手法で抗菌作用をもたらしているそうです。
抗菌製品についているマークは2つ
ちなみに、現在、抗菌製品についているマークは2つあります。
SEKマーク〔繊維製品の抗菌防臭加工〕
※SEKマーク内に細かい種類あり
SIAAマーク〔繊維製品以外の抗菌加工〕
※SIAAマーク内に細かい種類あり
抗菌と認証された製品には、この2つのどちらかが記されています。

