風速とは?
風速とは、文字通り「風の速さ」のことを指しているのですが、実は気象学や私たちの日常生活で重要な役割を果たしています。
たとえば、天気予報で「風速○○メートル…」と聞いたことがあるかもしれませんが、その数値が具体的に何を意味するのかを理解することで、日々の生活に役立てることができます。
それでは、詳しく見ていきましょう!
風速の測り方と単位「メートル毎秒(m/s)」について
風速は通常、「風速計(アネモメーター)」と呼ばれる装置で測定されます。
この装置には、風を受けるプロペラやカップが付いており、それが回転する速さをもとに風速が計算されます。
そして、風速は「メートル毎秒(m/s)」という単位で表され、1秒間に風が何メートル進んだかを示しています。
日本では1886年(明治19年)に気象観測に関する基準が定められ、その中で風速を秒速(m/s)で表記することが正式に採用されました。
風速の国際的な単位「ノット(kt)」とは?
風速の国際的な単位にノット(kt)〔1ノット(1海里)=1.852 km/h(キロメートル毎時)〕という言葉があるのですが、主に海上や航空機の速度を表す際に利用されます。
ただし気象学ではメートル毎秒(m/s)が標準的な単位となっています。
ちなみに、1kt=0.514m/sになります。
風速計の種類
風杯型風速計
3つまたは4つのカップ(風杯)が水平に取り付けられた装置で、風がカップを回すことで回転速度が変化し、その回転数から風速を測定します。気象観測で広く使われており、シンプルで信頼性の高い風速測定が可能です。
風車型風速計
風車のような羽根が風を受けて回転し、その回転速度から風速を測定する装置です。構造がシンプルで、正確な風速測定が可能なため、気象観測や産業分野などで広く利用されています。
熱線式風速計
風による冷却効果を利用して風速を測定する装置です。加熱された細い金属線(熱線)が風にさらされると、風によって冷却されます。この冷却の度合いを電気的に測定し、その変化から風速を計算します。高精度で敏感な測定が可能なため、低風速の測定や研究用途に広く使われます。
ピトー管風速計
流体(空気や水)の流れに対する圧力差を利用して風速を測定する装置です。ピトー管〔アンリ・ピトーが発明した〕には前方に向けた開口部があり、ここで流体が押し込まれることで動圧が生じます。そして、この動圧と静圧との差から風速を計算します。
主に、航空機や風洞(ふうどう)実験〔人工的に風を作り出して物体に当て、その空気の流れや力を調べる実験〕で使用され、正確な風速測定が可能です。
ベーン式風速計
プロペラのような形状の羽根(ベーン)が風を受けて回転し、その回転速度から風速を測定する装置です。羽根は風に対して自動的に向きを変え、風向も確認できます。ベーン式風速計は、正確で広範囲な風速を測定できるため、気象観測や環境モニタリング、工業用途などで広く利用されています。
日常生活での風速の影響
それでは、風速が強いと私たちの日常生活にどのような影響があるのでしょうか…?
例えば、風速が5m/s程度だと、木の枝が揺れたり、傘が差しにくくなったりします。
風速10m/sを超えると、帽子が飛ばされたり、歩くのが大変になることも。
さらに、20m/s以上になると、看板が倒れたり、建物の屋根が吹き飛ばされる危険も出てきます。
また、台風や竜巻などの自然災害では、特に風速が重要な指標となってきます。
台風の風速は非常に強く、場合によっては50m/sを超えることもあります。
こうした強風は、建物を破壊したり、木を倒したりするほどの力を持っているため、早めの対策が求められます。
観測史上最大の瞬間風速
観測史上最大の瞬間風速〔風速計を用いた測定〕は、1996年4月10日にオーストラリアのバロー島で記録された113.3メートル毎秒(m/s)です。
この記録は、サイクロン「オリビア」によるものでした。
海や山での風速の影響
風速は、海や山のレジャーにも大きな影響を与えます。
海での強風は波を高くし、海で泳いだり、サーフィンなどを楽しむのことが危険になることがありますし…
山では、風速が強いと寒さが増し、体温が急激に下がるリスクがあるため、注意が必要です。
最後に
風速は私たちの日常生活に深く関わる自然現象で、多くの分野で活用されています。
気象予報では風速を測定して天候の予測や災害の警告を行い、航空機や船の航行では安全のために風速を把握して進路や速度の調整をします。
このように、風速の測定は生活の多くの側面で役立っているのです。