世界の国の数が「約200ヵ国」といわれる理由

世界地図を見ると、たくさんの国がカラフルに塗り分けられていますよね。
よく、「世界には約200か国ある」と言われますが、実はこの数字、教科書や資料によって少しずつ違うのをご存じですか?
「なんで国の数が違うの? どれが正しいの?」
そんな国の数の疑問を分かりやすく解説していきます!
そもそも “国の数” は決まっていない⁉

結論からいうと、「世界の国の数はひとつに決められない」のです。
理由はとてもシンプルで、「国とは何か」という定義が状況によって変わってしまうから、ということになります。
● 国連加盟国は193ヵ国

世界共通でよく使われるのが、国連に加盟している国の数=193か国。
これは最も分かりやすいですが、実はこの数字は “世界の全部” ではありません。
国際連合(国連)とは?

国際連合(国連)とは、世界の平和と安全を守り、国際協力を進めるためにつくられた国際機関です。
第二次世界大戦後の1945年に設立され、現在は190か国以上が加盟しています。
主な役割は以下のようになります。
- 紛争の防止・解決
- 人権の保護
- 貧困・教育・環境などの国際問題への取り組み
- 国と国の協力を促進すること
簡潔に言うと、世界が協力してより良い未来をつくるための組織です。
国連では国+地域を含めると250近くになることも
また、国連が採用している統計分類「UN M49」では、主権国家だけでなく、地域区分や海外領土などもまとめて扱うため、全体の数が200を超えることもあります。
これは、国として独立していなくても “統計上は別の地域” としてカウントされる仕組みになっているためです。
日本政府が承認している国は「196ヵ国」

日本は国連加盟国以外にも、独立した国として承認している国があります。
そのため、日本の外務省のデータでは196ヵ国と数えられています。
日本が承認している & 国連未加盟の国・地域一覧
| 国・地域 | 日本の承認 | 国連加盟 | 補足 |
|---|---|---|---|
| バチカン市国 | 承認している | ✖ 未加盟 | 国連オブザーバー国家(発言はできるが投票権はない)。宗教国家のため加盟しない方針。 |
| コソボ共和国 | 承認している | ✖ 未加盟 | 独立は広く承認されているが、ロシアなどの反対で国連加盟が不可。 |
| クック諸島 | 承認している | ✖ 未加盟 | 自治権が強い「自由連合国」。国連加盟資格はあるが申請していない。 |
| ニウエ | 承認している | ✖ 未加盟 | クック諸島と同じく「自由連合国」。国連加盟はしていない。 |
日本が承認していない & 国連未加盟の国・地域(代表例)一覧
| 国・地域 | 日本の承認 | 国連加盟 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国) | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | 国連加盟国にも見えるが、正式には「未加盟」。北朝鮮は国連に加盟していません。 |
| 台湾(中華民国) | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | 日本は国家承認していない(1972以降)。台湾は国連から脱退したまま。 |
| パレスチナ国 | ✖ 承認していない | ✖(加盟国ではない)※オブザーバー国家 | 日本は国家承認せず。国連では「非加盟オブザーバー国家」。 |
| 西サハラ(サハラ=アラブ民主共和国) | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | 独立を主張するが承認国が限定的。モロッコと領有権争い。 |
| ソマリランド共和国 | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | 実質的に独立国家に近いが、どの主要国も承認していない。 |
| アブハジア共和国 | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | ジョージアからの分離地域。ロシアなど一部のみ承認。 |
| 南オセチア共和国 | ✖ 承認していない | ✖ 未加盟 | こちらもジョージアからの分離地域。 |
“教科書”によって国の数が違う理由

それではここからが本題ですが、教科書で数字が違うものを扱うにはきちんとした理由があります。
【理由①】どの基準で数えるかが違うから
先ほどもお話しした通り、教科書によって次のどれを基準にするかが異なります。
- 国連加盟国を基準にする
- 日本が承認している国を基準にする
- 国+地域をまとめて説明しやすいように整理する
どれも間違いではなく、目的によって数字が変わるわけなんです。
【理由②】学びやすさを優先しているから
中学・高校の教科書は、難しい政治的な議論より “生徒が理解しやすい分類” を優先します。
「日本が承認している国の数」で説明するものもあれば、「国連加盟国の数」で教えるものもあるため、掲載される数字が異なるのです。
【理由③】世界情勢が変化するから
国は時代とともに独立したり、統合されたり、国際的な扱いが変わることがあります。
そのため、教科書が改訂されるタイミングでも数字が変わることがあるのです。
“約200か国”はイメージを伝えるための “便利な目安”

「約200か国」という表現は、世界の国のおおまかなイメージを伝えるための“便利な目安” です。
- 国連加盟国 → 193か国
- 日本が承認 → 196か国
- 国+地域で扱う → 200を超えることも
これらをざっくりまとめて、
「世界にはだいたい200くらいの国があるよ!」
という意味で使われています。
厳密な数字ではありませんが、子どもでも理解しやすい便利な表現なんですね。
国の数の違いを知ると世界をもっと知れる!

国の数が違う理由を知ると、世界地図やニュースをもっと深く理解することが出来ます。
● 地理の理解が深まる
「国」と「地域」の違いが分かるようになります。
● 国際ニュースが読みやすくなる
「新しく独立した」「国として承認された」などのニュースの背景が理解しやすくなります。
● 国際情勢の移り変わりが読み取れる
国の数は固定ではなく、国際社会がどのように変化してきたのかのヒントにもなります。
まとめ

- 世界の国は「約200」と言われるが、これはあくまで目安!
- 国連加盟国は193か国、日本が承認している国は196か国
- 教科書によって数が違うのは「基準の違い」と「学びやすさのため」
- 国の数は変化するため、時代によって数字がズレることがある
世界はいつも変化しています。
だからこそ “国の数が食い違う理由” を理解しておくと、ニュースや地図が一段と興味深く映るかもしれませんね!





