レントゲンの仕組み
病院でレントゲン撮影を一度は経験したことがある方も多いのではないでしょうか…?
腰や骨のあたりが痛むとき、歯の治療の際に「骨(歯)の様子を確認しましょう。」と言われ、レントゲンを撮ることがあるかも知れません。
レントゲン撮影は、体の中を可視化するための技術ですが、どうやって私たちの目に見えない「骨の内部」が映し出されるのか?
その仕組みを一緒に見ていきましょう!
レントゲン撮影の「X線」って何?
レントゲン撮影に使用される「X線」は、電磁波の一種です。ただし、X線は目に見える可視光よりも波長が短く、エネルギーが高いため、人体などの物体を透過しやすい性質を持っています。
つまり、X線は皮膚や筋肉などを通り抜け、硬い骨などにのみ反応し、骨の構造が影として映し出されるのです。
X線が骨を映し出すしくみ
X線が体内の一部を通り抜けたり、吸収されたりするのは物質の密度によって異なるためです。
体の中で骨は非常に密度が高い組織であるため、X線が骨に当たると、エネルギーが吸収され、骨の部分に濃い影ができるのです。
一方で、皮膚や筋肉など密度の低い組織はX線を透過しやすいため、フィルムやデジタルセンサーに写りません。
このようにして、骨などの密度の高い部分だけが白く映り、体内の構造が可視化されているのです。
どんなときに「レントゲン」が使われる?
レントゲンは、体内の構造や異常をチェックするための検査として幅広く活用されています。例えば以下のような場面でよく使われます。
- 骨折や捻挫
骨の状態をチェックするため - 肺や胸部の検査
肺炎や肺がんの早期発見
〔肺は空気を含んでいるため、X線が通過しやすく肺が白く映ります。一方、腫瘍などはX線を吸収しやすく濃く映し出されます。〕 - 歯科治療
虫歯や歯周病、親知らずの位置確認など
〔密度の違いを利用して、虫歯の位置などを映し出します。〕 - 胃の検査
バリウムを飲んで胃の異常を調べる際など
〔患者がバリウムを飲むことで、胃の内部がコーティングされ、X線が通過しにくくなります。それにより、胃の形や異常が映し出されます。〕
このように、レントゲンは日常的な医療診断に欠かせないツールとして、多くの場面で使われています。
「レントゲンフィルム」と「デジタルレントゲン」の違い
従来のレントゲン装置では、X線が当たると反応する特殊なフィルムが使用されていました。フィルムにX線が当たると、そこに濃淡のある画像が浮かび上がります。
X線を通しやすい筋肉や空洞部分は黒く、X線を通しにくい骨などの硬い部分は白く映ることで、骨の形や異常が一目でわかるようになっています。
デジタル技術による進化「デジタルレントゲン」
最近の医療現場では、デジタルレントゲンが普及しています。
デジタルレントゲンでは、X線がデジタルセンサーに当たり、そのデータがコンピュータに取り込まれることで画像を生成します。
この方法により、撮影後すぐに画像を確認できる上、フィルムを使わないため環境にも優しいのが特徴です。
また、デジタル画像は解像度が高く、細かい部分も鮮明に表示できるため、医師はより正確に診断を行うことができます。
レントゲンの安全性は?
「X線」と聞くと放射線〔高エネルギーの粒子や電磁波〕というイメージが強く、「体に悪いのでは?」と心配する方も多いでしょう。
実際、X線は高エネルギーの電磁波で、過度な被ばくは細胞にダメージを与える可能性があります。
しかし、医療用レントゲンでは極めて少量のX線を使用しているため、短時間であれば人体への影響は最小限に抑えられています。
さらに、レントゲン技師が被ばくを管理し、適切な撮影範囲や頻度を設定することで安全に行われています。
レントゲンと「CTスキャン」「MRI」 との違い
医療現場では、レントゲンのほかにもCTやMRIといった画像診断がありますが、これらは異なる特徴とメリットを持っています。
CTスキャン
X線を使って体を断層ごとに撮影し、3D画像として表示します。複雑な骨折や内部臓器の詳細な検査に向いています。
MRI
磁気とラジオ波を使い、主に軟組織を撮影する技術です。脳や筋肉、関節など、骨以外の組織の詳細な検査が可能です。
一方、レントゲンは手軽で費用も安く、主に骨の診断に使われます。検査の目的に応じて、最適な診断法が選ばれます。
未来のレントゲン技術
医療技術は日々進化しています。今後はさらに被ばく量を減らし、より高精細で迅速なレントゲン画像が撮影できる技術が開発されると期待されています。
また、AI技術と組み合わせることで、レントゲン画像から自動で異常を検出するシステムが実現する日も近いかもしれません。
それにより、医師の診断をサポートし、早期発見・早期治療がより実現しやすくなるでしょう!
まとめ
レントゲン撮影は、X線を利用して体内の構造を観察する医療技術で、体内の密度差を利用して画像を生成します。
骨や歯の状態を確認したり、肺や胸部の異常を診断するために広く使われており、健康管理には欠かせない存在です。
そして従来のフィルムからデジタル技術への移行が進んでおり、安全性も十分に確保されているといわれ、今後も医療現場での活用が期待されています!