なぜ、睡眠が必要…?
人は睡眠しなければ生きていけません。

症例数は多くありませんが、「致死性家族性不眠症(ちしせいかぞくせいふみんしょう)」という病気があります。
これは脳神経細胞が障害を受けることで、不眠や幻覚といった症状が現れるもので、多くの場合、発症から1年も経たないうちに衰弱し、意識を失って亡くなるとされています。
この病気の恐ろしさからも分かるように、睡眠は心身の回復に欠かせないものであり、次の活動に備えるために極めて重要な役割を果たしているといえるでしょう。

睡眠の主な役割について

睡眠の主な役割は、成長ホルモンを分泌させることになるのですが、これにより新陳代謝(しんちんたいしゃ)※を整え、免疫力を高めながら、内臓、筋肉など体の修復や成長を促しています。
成長ホルモンとは…?
成長ホルモンとは、体内でつくられる物質で、体の働きを整えたり成長を助けたりするために必要なものです。
新陳代謝とは…?
新陳代謝とは、体が生命を保つために必要なエネルギーや栄養を取り入れ、いらなくなった老廃物を体の外に出す働きのことです。また、古い細胞が新しい細胞に生まれ変わることも含まれており、こうした働きによって私たちの体は常に健康な状態を保っています。
睡眠中にみる夢の正体とは…

毎日ぐっすり眠って、夢を見ないと思っている人も、実は、忘れているだけで誰でも夢を見ていると言われています。
それでは、この夢というのはいったい何なのでしょうか…?
夢の正体は、全て記憶

夢の正体は、全て記憶だということです…
人は寝ている間も脳の一部は働いているのですが、昔の記憶や最近の記憶など、いつの記憶か分からないものが繋ぎ合わさって夢ができあがっているということです。

そのため、自分の体験したことに加え、テレビや日常生活で偶然に目にしたちょっとした記憶などが混ざりあい、あたかも自分のことのように映し出されたり、内容が支離滅裂な夢になったりもしてしまいます。

テレビが白黒だった世代の人は夢も白黒になりやすい⁉

そして、幼少期に白黒テレビを見て育った世代〔日本では1950年代後半~1970年代前半〕の人は、夢も白黒で見る傾向があり、現在でもカラーテレビ世代に比べて白黒の夢を見る割合が高いという調査結果もあります。
このことから、テレビの映像体験が夢の色彩にも影響を与えている可能性があると考えられています。
睡眠時間の「長い動物」と「短い動物」

生物によって睡眠時間もいろいろだとは思いますが、どんな感じなのでしょうか…?
睡眠時間の長い動物から見ていきましょう!
特に睡眠が「長い動物」
- コアラ 約22時間

- ナマケモノ 約20時間
- ライオン、トラ 約15時間


なぜコアラは長く眠るのか?低カロリー・高毒素の植物と睡眠の関係

ユーカリを主食とするコアラや、セクロピアなどを食べるナマケモノのような草食動物は、栄養価が低く毒素を含む植物を食べているため、エネルギーの消費を抑えて体力を温存する必要があります。
また、こうした毒素を含む食べ物は消化に時間がかかるため、睡眠時間が長くなる傾向があります。

このような動物たちは、食物の競争を避けるために、他の動物が好まない植物を食べる方向に進化したと考えられています。
野生の大型肉食動物はというと、獲物を簡単には捕まえられないことが多いため、エネルギーを無駄に使わないように長く眠ってカロリー消費を抑えているのです。
特に睡眠が「短い動物」
- キリン 約2時間

- ウマ 約3時間

- ゾウ、ウシ 約3~4時間


草食動物は他の動物に狙われないように、比較的短い時間の睡眠になります。
動物園で飼われている動物の睡眠時間は例外…
ちなみに…
動物園で飼われている動物に関しては、


餌の事情や安全な場所に居ることもあり、睡眠時間に変化がでてしまうということです。
動物も人間と同じで怠けてしまうわけですね…(笑)
動物も夢をみるの…?

それでは、睡眠をする動物たちも人間と同様に夢を見ているのでしょうか…?

動物のなかでも、脊椎動物(せきついどうぶつ)〔連なる背骨、脳、脊髄、赤い血がある動物〕であり、脳が発達している、恒温動物(こうおんどうぶつ)〔体温を一定に保つ〕の哺乳類と鳥類は、夢を見ている可能性がかなり高いといわれています。


【 ノンレム睡眠とレム睡眠 】

その理由として、ノンレム睡眠〔深い眠り〕とレム睡眠〔浅い眠り〕が、動物でも繰り返し行われていることが研究により分かっています。
一般的に脳は起きていて、体は寝ている、浅い眠りのレム睡眠時に夢をみているとされている為、レム睡眠をする動物に関しては夢も見ているのではないか…? と言われています。
魚は睡眠するの…?

次に魚類です。
魚は常に泳いで活動している印象があるのですが、水中にいる魚も、陸上の動物のように睡眠をしているのでしょうか…?

実は、脳がある生物は皆睡眠を取らなくてはならなく、もちろん魚類にも脳があるため睡眠をしています。
そけども、魚の種類によって睡眠の方法や時間帯は様々なようです。
回遊魚〔環境に合わせて泳ぎ続ける魚〕の中でもカツオ、マグロなどは、

〔カツオ〕

〔マグロ〕
自分でエラぶたを動かせないため、酸素が足りなくならないように、常に泳いで水中の酸素を取り込んでいます。
そのため、脳の左脳右脳を交互に使う半球睡眠という方法によって、低速度で泳ぎながら睡眠をしています。
そして回遊魚でも、エラぶたを使って酸素を取り入れできる魚類に関しては、泳ぎながら睡眠したり、停止して睡眠している場合もあります。
【 独特な睡眠をする魚 】
その他、独特な睡眠をする魚もいます。
砂で睡眠する魚、キュウセン。
泥で睡眠する魚、ドジョウなど。
横になって睡眠する魚、クラウンローチ。
更には、水草、サンゴ、岩などに隠れて睡眠をとったり、夜行性で昼に睡眠する魚、うなぎ、アナゴなど、睡眠の仕方もさまざまなようです。


昆虫は睡眠するの…?

いびきをかいて寝ているとは思えませんが…
それでは、昆虫も睡眠をしているのでしょうか?

実は、昆虫も人と同じで睡眠しているようです。
ただし、まぶたがないので、目をつむらないで止まった状態で睡眠しています。


昆虫も魚類と同じで、脳がある生物におこる生理機能〔自分の意志とは関係なく起こる現象〕なため、小さな脳があると言われている昆虫は、睡眠をしているといえるようです。
睡眠をしない生物はいないの…?
逆に、睡眠をしない生物はいないの?思ってしまいますが…
脳がないといわれる生物であるクラゲ、イソギンチャク、サンゴなどの毒針を持つ刺胞動物(しほうどうぶつ)。



そして、植物、菌などに関しては睡眠をしないということになります。



