なぜ世界の国々で顔立ちが違うのか?

今では、テレビ以外にもインターネットなどを通じて、世界のあらゆる国の人たちの顔を見る機会が増えたと思いますが、「国や地域によって顔の特徴が違うもんだなぁ」と感じたことがあるかもしれません。
例えば、ヨーロッパの人々は鼻が高く彫りが深い印象があったり、東アジアの人々は目が細く、柔らかい顔立ちが多いと感じるかもしれません。
南米やアフリカでは豊かな表情や力強い骨格が印象的な場合もありますよね。

では、なぜ地域ごとに顔の特徴がこれだけ違うのでしょうか…?
その理由は「進化」「環境」「文化」が大きく関係しているようです。
それではさっそく、その謎を解き明かしていきましょう!
環境による進化

人類は、長い年月をかけて少しずつ進化してきました。
約20万年前に私たちの祖先はアフリカで誕生し、そこから世界中に移動していったのですが、この過程で各地の「環境」に適応する形で顔の特徴も少しずつ変わっていったのです。
例えば、寒い地域に住む人々は「体温を逃がしにくい」顔の特徴を持つ傾向があります。鼻が小さめで丸くなることで、冷たい空気を温めてから体内に取り入れることができます。

反対に、暑い地域では「熱を逃がしやすい」顔が有利です。鼻が長くなることで空気の流れが良くなり、体温調整に役立ちます。

さらに、日差しの強い地域では、皮膚や目の色が濃くなることで紫外線から体を守るように進化しました。

このように、「環境」に適応した結果、人々の顔立ちは少しずつ変化していったのです。
「気候」と顔の特徴

〔1917年 イヌイットの家族〕
先ほどお伝えしたように、環境(特に気候)は顔の特徴と密接に関わっています。
例えば、寒冷地に住んでいるエスキモー(イヌイット)と呼ばれる人々は、顔全体が丸みを帯びています。それは、顔の表面積を減らすことで体温を逃がさないようにするためです。
一方、暑い砂漠地域に住む人々は、鼻が高く細長いことが多いのですが、それは、乾燥した空気を鼻腔(びこう・びくう)で湿らせてから吸い込むのに適しているためです。


〔ベドウィン族(砂漠地帯に住む遊牧民)1940年代〕
つまり、気候が「鼻の形」、そして「顔の輪郭」にも大きな影響を与えたのです。
目の形への影響

〔蒙古ひだ まぶたが厚くなることで逆さまつ毛になる傾向がある〕
また、「目の形」にも影響があります。
例えば、アジアの一部の地域に多い「蒙古ひだ(内眼角贅皮(ないがんかくぜいひ)」(目のまわりにある皮膚のひだ)は、寒い風や強い日差しから目を守るために発達したと考えられています。
世界の顔の特徴

地域ごとの顔の特徴を整理すると、以下のような傾向が見られるとされています。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんので、あくまで参考としてご覧ください!
1. 寒冷地域(例:北ヨーロッパ、シベリア)

- 顔の特徴: 丸顔、鼻が小さめ、目が大きめ
- 進化の理由
- 寒さから体温を守るため、顔が丸くなり、熱を逃がしにくくなる。
- 小さな鼻は、冷たい空気を吸っても体温を失わないように進化。
- 大きな目は、寒冷地での視覚的適応として目を保護するため。

2. 熱帯・亜熱帯地域(例:アフリカ、南アジア)

- 顔の特徴: 細長い顔、鼻が高く広い、唇が厚め
- 進化の理由
- 高温多湿な気候で、顔が細長く、熱を効率的に放出できる形に進化。
- 高い鼻は、温かい空気を吸う際に効率的に冷却し、体温を調整。
- 厚い唇は、乾燥した環境で水分を保つ役割。

3. 高地・山岳地帯(例:チベット、アンデス山脈)

- 顔の特徴: 鼻が大きめ、目が細長い
- 進化の理由
- 高地で酸素濃度が薄いため、鼻が大きくなることで酸素を効率よく取り入れる。
- 目が細長いのは、強い紫外線から目を保護するため。

4. 乾燥地域・砂漠地帯(例:アラビア半島、サハラ砂漠)

- 顔の特徴: 細長い顔、鼻が高く、頬骨(きょうこつ)〔頬(ほお)の高い部分にある骨〕が突出
- 進化の理由
- 乾燥した環境で、顔の形が細長く進化して熱を放出しやすくする。
- 高い鼻は乾燥した空気を湿らせる役割があり、保湿効果がある。
- 頬骨が突出しているのは、強風や砂嵐から顔を守るため。

5. 温暖湿潤地域(例:東アジア、東南アジア)

- 顔の特徴: 丸顔、目が細長い、鼻が控えめ
- 進化の理由
- 湿度が高いため、顔が丸く、熱を効率よく発散できる形に進化。
- 目が細長いのは、強い日差しや風から目を守るため。
- 鼻が控えめな形は、湿った空気を効率的に取り入れるため。

「文化」や「美の基準」も顔立ちに影響?

実は、環境(気候)だけでなく、人々の「文化」や「美しさの基準」も顔立ちの違いを生み出す要因の一つとなっています。
昔の人々は、特に他の人に好かれやすい特徴を持つ相手を選んで結婚したと言われます。その結果、「その地域ならではの顔立ち」が引き継がれていきます。

例えば、ある地域では「大きな目」が魅力的だとされると、大きな目の人が選ばれやすくなり、その遺伝子が広まっていきます。
別の地域では「鼻が高い方が美しい」とされれば、自然とその特徴が強くなっていく… という具合です。

遺伝の影響

顔の特徴は「親から子へ」と遺伝するため、同じ地域で長い間、同じような顔立ちの人々が暮らしていると、その特徴が強く残りやすくなります。
例えば、島国のように地理的に孤立している地域では、遺伝子の交流が少なくなるため、その土地ならではの顔立ちが残ることが多くなるのです。
現代の人類は「混ざり合う時代」に!

昔は地域ごとに独立して暮らしていたため、その場所に合った顔立ちや体の特徴が色濃く残っていました。しかし、今の時代はどうでしょう?
飛行機で世界中を簡単に移動できるようになり、国際結婚も増えています。それによって、世界中の人々の特徴が少しずつ混ざり合ってきています。

そのため将来的には「地域ごとの顔立ち」という違いが少なくなるかもしれません。
人類全体が、もっとバラエティ豊かな顔立ちになっていく可能性もあります。
実は、人類は一つの家族

どれほど顔立ちが違うように見えても、私たち人類はすべて「共通の祖先」を持っています。
科学的には、遺伝子の99.9%は世界中の人々で同じです。
つまり、顔立ちの違いはほんの「0.1%の違い」に過ぎないのです。
まとめ:『顔の違いは地球の歴史の証 』

世界の国々によって顔の特徴が違うのは、進化の過程で環境に適応し、気候や文化、遺伝によって変化してきたからです。
人類は地球上のあらゆる場所で生きていくために、それぞれの環境に合わせて少しずつ進化してきました。
「顔の特徴」は、単に見た目の違いだけではなく、その地域の歴史や自然環境を物語る大切な証でもあるのです。
そして、違いがあるからこそ、私たちは世界の多様性や美しさを感じることができるのではないでしょうか?
顔の特徴を通じて世界の歴史や文化を感じる―― そんな視点で人々を見てみると、もっと世界が面白く感じられるかもしれませんね!

