草食ゴリラはなぜ、筋肉質?
ゴリラは草食性の動物で、主に果物や葉っぱ、茎を食べます。それにもかかわらず、その体は非常に筋肉質で力強いです。なぜなのでしょうか…?
それには、いくつかの理由があるようです。
ゴリラの腸内とアミノ酸の関係
ゴリラが草食性にもかかわらず、筋肉質な体を持つ理由の一つには、腸内環境とアミノ酸〔筋肉や臓器、酵素など、体を作る基本的な物質(たんぱく質)〕の処理方法があります。
ゴリラの食事は主に葉っぱ、果物、茎などの繊維質が豊富な植物ですが、これらの植物を効率的に消化し、必要な栄養素を吸収するために特化した腸内環境を持っています。
なんと、成体のゴリラは1日に約30~40キログラムの食物を摂取します!これも筋肉が発達している理由の一つです。
ゴリラの腸は長く、大きな盲腸(もうちょう)〔腸の一部で食物の消化や吸収を助ける役割を持つ袋状の器官〕を備え、消化酵素の分泌が活発です。
この腸内環境がアミノ酸の吸収に重要な役割をしています。
ちなみに人間の盲腸は、消化にはほとんど関わっていない退化した器官です。今では主に免疫を助ける役割があると考えられています。
腸内に共生する微生物群
ゴリラは筋肉の構成に欠かせないアミノ酸を効率的に利用しているわけなのですが、さらに特徴的なのが腸内に共生する微生物群です。
ゴリラが食べるものは食物繊維が多いため、単純な消化器系だけでは十分な栄養を吸収できません。ここで活躍するのがその腸内の微生物なのです。
これらの微生物は、食物から取り入れた繊維質を分解し、アミノ酸やその他の栄養素を生成してくれます。
このような仕組みによって、ゴリラは草食中心の食事からも十分な栄養を取り込み、その結果、ゴリラは大きな体と強力な筋肉を維持することができるのです。
筋肉を鍛える運動量と生活習慣
野生のゴリラの場合、運動量も筋肉に関係しています。
ゴリラは一日に数時間をかけて食物を探し、森の中を歩き回るのですが、この運動量は葉っぱや果物を探すためには必要不可欠となり、筋肉を維持するためにもとても役立ちます。
そして、この鍛え上げられた筋肉は、特に腕と胸が発達しているのですが、木の枝をつかんで移動したり、縄張りを守るために必要とされているのです。
幼少期には筋肉が十分に発達していない
こんな筋肉質なゴリラも、もちろん幼少期には筋肉があまり発達していません。
とはいっても、遺伝的に母親にしがみつくほどの握力はあるようなのですが、体重は数キロほどしかありません。
赤ちゃんゴリラは母親に依存して生活し、主に授乳を通じて成長します。成長するにつれ、木の枝をつかむ練習をしたり、遊びながら身体を動かすことで筋肉を鍛えます。
食事も成長に合わせて変化し、特に繊維質の多い植物から栄養を摂取することで、筋肉の成長が促されます。
このように、ゴリラは進化の過程で草食性でありながらも筋肉質な体を持つように適応してきたのです。
まとめ
ゴリラが筋肉質である理由は、腸内環境、食事とその量、筋肉の使い方と運動量、遺伝的な要因によるものとされてます。
草食性でありながら、ゴリラの腸内環境は繊維質の植物を効率的に分解し、アミノ酸や栄養素を最大限に吸収できるように進化しています。
また、長い腸と豊富な腸内微生物が、草食中心の食事からアミノ酸を効果的に利用し、ゴリラの力強い筋肉質な体を作り上げています。
これらの要素が組み合わさることで、ゴリラは自然界で非常に力強い存在となっているのです。