大相撲の歴史

相撲は、日本の伝統的なスポーツとして、古代から続いている独特の文化です。
日本の相撲はスポーツとしてだけでなく、深い歴史や精神、儀式が組み合わさった特別な存在とされています。
それでは、大相撲がいつ誕生し、どのような歴史を歩んできたのかを詳しく見ていきましょう!
相撲の起源:神話から始まる

相撲の起源は、古代日本の神話や伝説にまで遡ることができます。
最も有名な神話は、『古事記』や『日本書紀』に登場する「天の岩戸(あめのいわと)」の話で、神々が集まり、天照大神(あまてらすおおかみ)を岩戸から引き出すために、神々同士が力を競うシーンが描かれているのです。
古事記・日本書紀…日本の神話や歴史を伝える最古の記録です。
天照大神(あまてらすおおかみ)…日本神話に登場する太陽の女神で、皇室の祖先としても知られています。
この力比べこそが、後の相撲の起源となったと言われております。
また、相撲はもともと神事〔神を祀るための儀式や行事〕の一環として行われていたため、神社や祭りで頻繁に行われました。
そして「八百万の神」を祭るための力比べ〔神々への敬意を表すために行われた相撲〕は、神聖な儀式として神々の前で行われることが一般的だったとされています。
「八百万の神(やおよろずのかみ)」とは?
日本の神道〔伝統的な宗教〕における神々の総称で、無数に存在するとされるすべての神々を指します。
自然界のあらゆるもの〔山、川、木、石、動植物など〕に神が宿ると考え、すべての存在に神性があるとされます。
平安時代の相撲:貴族と武士の間で人気

相撲の普及は平安時代にさかのぼります。この時期、相撲は宮中(きゅうちゅう)行事の「相撲節会(すまひのせちえ)」として定着し、貴族や武士の間でも盛んに行われていました。
宮中行事…天皇や皇族を中心に行われる伝統的な儀式や催しのこと。
また、地方の神社や寺社で奉納相撲が行われ、神事としても重要な役割をしていました。
平安時代後期には、相撲が競技としての形を整え始め、試合の形式も徐々に洗練されていきました。ただし、土俵が登場するのは江戸時代以降であり、この時期の相撲はまだ自由な形式で行われていたとされています。
江戸時代:相撲が大衆文化に

江戸時代になると、相撲は一般庶民の間でも広まり、今のような「大相撲」の原型が登場します。ここで、「角力(すもう)」という言葉が定着していきました。
「角力(すもう)」とは、力比べや組み合いを意味する、相撲の古い呼び名です。また、相撲を取り扱う世界やその関係者を指して「角界(かくかい)」という言葉も使われます。
この時代、相撲は劇場のように商業的に大規模に運営され、興行として大きな人気を集めました。江戸時代の大相撲は、スポーツというよりもエンターテインメントの一部として、庶民の娯楽となっていたのです。
また、江戸時代には相撲のルールや、技の名称、勝敗を決める基準が整備されました。それにより、相撲は現在のような形で行われるようになり、力士たちの栄光を競う場所としての地位を確立していったのです。
江戸時代に相撲の階級分けが始まる

この時期に「幕内」や「十両」といった階級分けが始まり、相撲の格闘技としての特徴が強調されました。
力士はその体格だけでなく、精神的な強さや礼儀、技術なども求められるようになり、勝者は名誉や賞金を手にすることができるようになったのです。
明治時代以降:近代化と国際化

〔両国国技館の土俵(1910年)〕
明治時代以降、日本が近代国家としての歩みを進める中で、相撲もまた時代の流れに応じて変化を遂げました。
この時期には、政府の後押しを受けて相撲はスポーツとしての地位を確立し、社会的な評価も高まっていきます。さらに、国際交流の進展により、相撲は日本の伝統文化の一つとして海外にも紹介されるようになりました。
相撲界では組織体制の整備が進み、現在の「日本相撲協会」の設立へとつながります。
こうした背景のもと、相撲は国内外で広く知られる存在となり、国際的なスポーツイベントにおいてもその名を馳せるようになったのです。
現代の相撲:伝統とエンタメの融合

現代の相撲はスポーツを超え、日本の伝統文化を色濃く体現する存在となっています。年間6回行われる大相撲の『本場所』では、力士たちが技術・体力・精神力を競い合い、多くの人々を魅了しています。
そして、相撲の魅力は競技そのものにとどまらず、そこに息づく儀式や伝統にも見られます。
たとえば、土俵入りや神事、塩を撒く所作には、それぞれ意味や歴史があり、神聖な雰囲気を演出しています。
近年では、相撲観戦を楽しむ外国人観光客も増加し、相撲は日本文化を象徴する存在として、海外にもその魅力を発信し続けています。
まとめ

相撲は、神話の時代にその起源を持ち、現代に至るまで受け継がれてきた、日本が誇る伝統文化のひとつです。
もともとは神事として行われていた相撲は、やがて庶民の娯楽として広まり、現在ではスポーツとして国境を越えて親しまれる存在となりました。
その魅力は勝敗を競う競技性にとどまらず、長い歴史に裏打ちされた伝統や、神聖な儀式の数々にも見て取れます。相撲を通じて、日本文化の奥深さや精神性に触れられることは、日本人にとって大きな誇りとも言えるかもしれません。

