石油ファンヒーターの構造について
石油ファンヒーターは、石油を燃料〔灯油を気化して燃焼〕として使用し、その熱を送風ファンで室内に送る暖房器具になりますが、どのような構造になっているのでしょうか…?
一般的な主要なパーツは以下のようになります。
- 灯油タンク…〔灯油を貯める部分〕
- 電磁ポンプ…〔灯油タンクから気化器へ灯油を送る部分〕
- 気化器…〔灯油を高温に加熱して気化させる部分〕
- バーナ(燃焼部分)…〔気化(噴霧して細かく分散)した灯油と空気を混合して燃焼させる部分〕
- 送風ファン…〔バーナで発生した熱を室内に送る部分〕
部屋が温まるまでの一連の流れ
【燃料供給装置】
灯油を適切な量で燃焼室に供給〔ポンプやノズルで燃料の噴射を制御する〕
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【点火装置】
石油を点火するための部分〔スイッチを操作することで燃焼が始まる〕
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【燃焼室】
灯油を噴射して点火、燃焼させる
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【熱交換器】
燃焼によって生じた熱を取り込み、空気を吸い込んでフィン(ひれ)により熱交換を効率的に行う
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【ファン】
熱交換器で暖められた空気を室内に送り出す〔ファンの速度の調節などで暖房の効果を調整〕
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【安全機能】
酸素不足や異常な燃焼を検知するためのセンサーや、過熱を防ぐ自動停止機能などにより安全性を保つ
これらの要素が組み合わさり、石油ファンヒーターは効率的で安全に部屋を暖めています。
石油ファンヒーターによる一酸化炭素中毒とは…?
石油ファンヒーターはとても暖かく便利なものですが、不十分な換気や使用場所が密閉されている場合、ヒーターの燃焼過程で一酸化炭素が発生し、中毒症状を起こす可能性があります。
【一酸化炭素中毒とは…?】
一酸化炭素( CO)とは、炭素と酸素から構成される化学物質で、〔無色・無臭・無味〕であることもあり人間の感覚では察知しにくいガスになります。
一酸化炭素は酸素と同じくヘモグロビン※と結合しやすく、血液中で酸素との競合が起き、酸素の運搬を妨げます。これにより、一酸化炭素中毒が引き起こります。
※正常な状態では、酸素は肺で血液中のヘモグロビンに結合し、酸素とヘモグロビンの相互作用により血液は酸素を効果的に運搬し体内の組織に供給します。
【どのように一酸化炭素は発生する?】
一酸化炭素は、不完全な燃焼が起こると発生します。
石油ファンヒーター以外にも、自動車の排気ガス、ガス暖房、暖炉、コンロなどからも発生します。
【一酸化炭素中毒の症状は…?】
低濃度の一酸化炭素でも、頭痛、吐き気、めまい、意識の混濁(こんだく)〔 意識がぼんやりする〕などの症状が現れることがあります。
高濃度になってしまうと失神、意識障害、死亡の可能性もでてきます。
【一酸化炭素中毒を予防するには…?】
換気不足の場合、一酸化炭素が蓄積しやすくなりますので、屋内では適切な換気が重要です。
簡単に設置できる一酸化炭素検知器も有効となります。
【もしも一酸化炭素中毒の被害者に遭遇したら…?】
もしも、一酸化炭素中毒が疑われる場合どうする…?
≪安全な場所への移動≫
- 一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくいため、まず安全な場所へ移動し新鮮な空気を取り入れる。
≪医療機関への呼びかけ≫
- 直ちに救急(119番)に電話をかけ医療機関の指示に従う。
一酸化炭素中毒は重篤な状態に進行する恐れがあるため、早急な医療対応が必要となります。
- 被害者の服薬や健康状態(持病、妊娠の有無など)が分かれば把握しておく。
医療機関ではこれにより、適切な医療対応を行うことができます。
医療機関での治療は一酸化炭素中毒の程度を確認するための検査、そして必要な場合は、酸素療法(高気圧酸素療法)が一般的となります。被害者に対して高濃度の酸素を供給し一酸化炭素を排除することが目的です。
一酸化炭素中毒は緊急の状況なため、速やかな対応が命を救う重要な要素となってきます。