遠い声が聞こえる不思議な技術
現代では、電話を使って遠くの人と会話をするのは当たり前のことのように感じますが、実はそこには多くのテクノロジーが詰まっています。
電話がどのようにして声を運び、遠くにいる人とリアルタイムでコミュニケーションができるのか、その仕組みについて詳しく見ていきましょう!
音声の発生と変換
電話を使うとき、まず最初に行われるのは「音声の発生」です。
私たちが話すとき、声帯が振動して音波を作り出しますが、この音波は空気中を伝わっていくことで音として耳に届きます。しかし、電話ではそれが出来ないので、電話機が特別な方法で処理しているのです。
まず電話のマイク〔音声を拾う部分〕は、私たちの声の振動を拾うと、それを「電気信号」に変換します。それは、音の波形を電気的な波に変える作業です。
この時点ではまだ、声は電気の信号として表現されているのですが、この電気信号は非常に微細な変化まで含まれており、音の細かいニュアンスまで再現できるようになっています。
電気信号を遠くに送る
次に、その変換された電気信号は電話回線を通じて送られます。
電話回線には主に2つの種類があり、一つは「固定電話回線」、もう一つは「携帯電話回線」です。
いずれも、音声を含む電気信号を遠くの相手に届ける役割を担っています。
固定電話回線
固定電話回線では、信号が物理的な銅線や光ファイバーを通って送られます。
銅線の場合、電気信号が電気回路を通じて伝わり、次第に相手の電話に届きます。
そして、光ファイバーの場合は、信号が光に変換され、光ファイバー内を光として伝わることで、より速く遠くに届きます。
電話の声は実際の音波の「コピー」
電話で相手の声が聞こえるのは、実際の声そのものではなく、電気信号に変換された「偽物の声」だとも言えます。私たちの声は、マイクロフォンによって振動を電気信号に変えられ、それが電話回線を通じて送信され、相手側で再び音に戻されます。
そのため、電話越しに聞こえる声は、実際の音波の「コピー」に過ぎないのです。それでも、私たちはまるで直接話しているかのように感じるのが不思議ですよね!
携帯電話回線
携帯電話回線では、情報を「無線信号」としてやり取りします。
まず、携帯電話が電波を発信し、その信号を近くの基地局が受信します。受信された信号は、基地局から次の基地局へと順番に送られ、最終的に相手の電話に届けられます。
つまり、携帯電話は、自分から送った信号を基地局に届け、その信号が相手の電話に伝わり、声やデータとして受け取られる仕組みになっているのです。
スマホの通話で聞こえる声は元の声を基に作った「合成音声」
仕組みとしては、スマホのマイクが音声を収録し、それを音声コーデック(音声圧縮技術)でデジタル信号に変換・圧縮します。この際、データを少なくするために、音声の中で「人間があまり気づかない部分」や「不要な情報」を削ぎ落とします。その結果、元の声そのもの(音波)ではなく、圧縮処理されたデータ(情報)をもとに再現された声が相手に届けられるのです。
つまり、スマホの通話で聞こえる声は、元の声を基に作られたデータ化された音声なのですが、私たちにはほとんど違いが分からないほど精巧に再現されています。特に最新の技術では、音質が高く、まるで本物の声を聞いているように感じます。
※ガラケー時代の音声はアナログに近い方式で音声を伝える仕組み〔アナログ信号を少し圧縮して伝えるデジタル形式(3G以降)が主流〕だった為、スマホに比べると、本物の音波を基に処理するので「加工が少ない、直接的な音声」と言った感じだったようです。
電気信号を音声に戻す
そして、電話の相手が受信した電気信号は、今度は「音声」に戻されます。
受信側の電話機にはスピーカーがあり、このスピーカーが電気信号を振動に変え、再び音として出力するのですが、この時、音声信号がどれだけ忠実に復元されるかは、電話機の性能や回線の状態によって変わり、現代の電話ではかなり高い精度で音声が再現されます。
例えば、携帯電話ではデジタル信号を使って音声を伝送しているため、通話中に声の質が途切れたり、音が小さくなったりすることがあっても、回線の質や圧縮技術が進化しており、通信が途絶えることは少なくなっています。
デジタル化で進化した電話の仕組み
昔の電話は音声をそのまま電気信号に変えて送るアナログ方式でしたが、現在では音声をデジタル信号に変換する方法が主流です。
デジタル方式では、音声が「0」と「1」の数字に変えられ、データとして送信されます。この仕組みによってノイズや劣化が抑えられ、高品質な通話が可能になりました。
インターネット回線「VoIP」
さらに、インターネット回線を使った「VoIP(ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル)」技術が普及し、コストを抑えながらクリアな音声通話が楽しめるようになっています。
この技術では音声データが小さなパケットに分けられ、インターネットを通じて送信されるため、ほぼ瞬時に音声が相手に届きます。
信号が遠く離れた相手に届くのにかかる時間はわずか数ミリ秒から数秒。私たちがリアルタイムで会話できるのは、これらの高速で正確な仕組みがあるからだったのです。
まとめ
電話がどうやって遠くの声を伝えるのか、その仕組みは意外と複雑で、音声を電気信号に変換し、物理的または無線的に遠くまで送るという工程を経ています。
日々の通話がこんなにもスムーズにできるのは、数十年にもわたる技術の進歩と、精密な通信インフラの発展のおかげです。
技術の進化によって、今ではどこにいても高品質な通話ができるようになり、私たちのコミュニケーションの手段はますます便利になっています。
次回、電話をかけるときには、是非その背後にある驚くべき技術をちょっと思い浮かべてみてくださいね!