「出世払いでね!」この言葉に効力は…?
家族や知人などに、冗談交じりで言うことがほとんどだと思いますが、「出世払いでいいよ~」という言葉は、法律的には効力があるのでしょうか…?
過去の裁判に以下のような判例(はんれい)があります。
【判例(はんれい)】とは…?
類似した事件について、過去の裁判において裁判所が示した判断。最高裁判所〔大審院(だいしんいん)現在の最高裁判所〕の判例は、実務上とくに重要とされている。
【最高裁判所(さいこうさいばんしょ)】とは…?
司法権(しほうけん)〔もめ事に対して法を適用し、解決することを目的とする国家の権利〕を担当する国家の最高機関。
《大審院大正4年3月24日判例》
出世払いは、不確定期限(ふかくていきげん)〔いつかは確実に到来するが、いつかは分からない期限)付きの債務(さいむ)〔借りた者が貸し手に返還をしなければならない義務〕となる。
これは、出世払いという言葉にはしっかりと返済義務があるということになり、
【不確定期限の債務】=【返済時期の定めのない債務】という考え方になるのですが、次のような民法が適用されます。
≪民法591条≫(返還の時期)
1.当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間※を定めて返還の催告をすることができる。2.借主は、いつでも返還をすることができる。
つまり、相当な期間があれば貸主はいつでも返済を請求できるということになります。
相当な期間とは、出世ができれば【出世した時点】、もしくは出世が出来なければ【出世できないと分かった時点】ということになるようです。
そして、人によって出世できた、出世できない、の感覚は違いますので相当な期間があれば、貸主(貸した人)がそう判断できたときに、返済期限がきたとういうことになるとも解釈できると言われています。
売る気のない物を冗談で「売るよ!」相手を本気にしてしまったら断れない…?
ほとんどの場合は、おごってあげるよという言うことをを冗談交じりでいう場面なのかもしれませんが、あくまで法律上の話では、「出世払いでいいから!」なんて簡単に相手に言われたとしても、常に返済の覚悟を持っておかないといけないということにもなってしまうのですね…