野生のラクダはほとんどいない…
ラクダは約3,000年以上も前から人に飼いならされ、砂漠がある地域では『砂漠の船』と言われるほどに重宝されている動物なのですが、現在ではヒトコブラクダの野生は絶滅しており、すべて家畜化〔約1,300万頭〕されているということです。
フタコブラクダも野生は世界に1,000頭未満〔家畜は約150万頭〕といわれ、野生ではほとんど見ることができない絶滅危惧種となっています。
それほどまでに家畜化され重宝されるには訳があるようで、他の動物にはない特殊な能力がラクダには隠されているからなのです…
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ラクダの特殊な能力とは…?
実は、ラクダには特殊な能力がいくつもあるようです。
それでは、順に見ていきましょう!
ラクダのコブに大量のエネルギー
ラクダといったら背中のコブが特徴的ですが、この中には水ではなく、大量の脂肪が含まれています。
重たいコブとだと、1コブで50㎏以上にもなるそうなのですが、この脂肪分を使ってエネルギーとして変換できるおかげで、水や餌も少ない砂漠などでも長距離移動することが可能なのです。
そのため、長旅で脂肪を使い果たしてしまうと、
このようにコブが横に倒れてしまいます… 大変だったようですね。お疲れさま(笑)
そして、また沢山食べ、沢山飲んで復活し、再び旅に出るのです。
ちなみに、ラクダのコブはエネルギー供給以外にも活用されているのですが、背中のコブにより太陽による熱を遮断する、断熱材としての役目まであるそうで、そのおかげで体温が上がりづらくなっています。
ラクダの血液は貯水タンク
ラクダは旅前には、体に水分を貯えるために大量の水を飲むのですが、その量はなんと100ℓにも及ぶそうです。
私たち人間もそうですが、もし他の哺乳類がそのような大量の水を一気に摂取してしまったら、血液中のナトリウム〔ミネラルの一種〕の濃度が急激に低下し、血液が薄まった状態になって命にもかかわりますが、ラクダはぜんぜん平気なのです。
そして、血液中にその水は吸収されていき、貯水された状態で循環※します。
勿論、これも普通の動物には出来ません…
※一般的な動物の場合、血液中の水分量が増加すると赤血球(せっけっきゅう)〔血液細胞のひとつ。酸素を運ぶ役割〕が破壊されてしまいます。
ラクダは体温の調整ができる
実は、ラクダは34℃~40℃ぐらいの間で、自らの体温を調整することができると言われています。
例えば、砂漠などの熱い場所などでの移動の際、
自らの体温を上昇させることによって汗を出さないようにし、水分を体から放出しないようにコントロールしています。
さらに、特殊な腎臓と肝臓により、尿をろ過して再度利用することも可能とし、徹底的に水分を逃がさない体の構造をしています。
※腎臓(じんぞう)… 一般的な腎臓の働きは、血液をろ過し尿を排出する。
※肝臓(かんぞう)… 一般的な肝臓の働きは、栄養素の代謝や解毒作用をする。
そのため、水が無いような場所でも数日は当たり前で移動し、1~2週間移動し続けたなんていう話もあるぐらいなのです。
ラクダの鼻の穴は開閉可能、目は潤い、まつ毛は長い
ラクダの鼻の穴は、開閉が可能となっており、砂漠の砂やほこりが入らないようにしています。
そして、ここでも鼻の穴から水蒸気が逃げないようにもしているそうです。
ラクダの目をみると少しウルウルしているようにも感じるのですが、
それにも理由があり、砂漠の砂などでの乾燥から目を守るために目が潤う為の成分が分泌され、長いまつ毛によりホコリから目を守ります。
ラクダはトゲトゲなサボテンをも食す
ラクダは口の中の構造も他とは違います。
丈夫な歯とゴムのような弾力性のあるヒダが口内にあることにより、トゲが10cm以上もあるような大きなサボテンも、バリバリと餌として食べてしまいます。
ラクダの足の裏には肉球(蹠球)がある
ラクダの足は、砂漠などに沈み込まないよう大きく、足の裏側についている蹠球(しょきゅう)〔肉球(にくきゅう)の正式名称、足の裏のクッションの働き〕の脂肪があることにより熱にも耐えられ、砂漠のような場所でもバランスをとって歩くことができます。
まさに『砂漠の船』なのです。