アルカリ乾電池とマンガン乾電池の違い
私たちの日常生活で欠かせない乾電池。テレビのリモコンや時計、おもちゃなど、さまざまなところで使われています。
しかし、電池売り場で「アルカリ乾電池」と「マンガン乾電池」を目にすることがありますが、この2つはどんな違いがあるのでしょうか?
それぞれの仕組みについてさっそく探ってみましょう!
アルカリ乾電池
アルカリ乾電池は、正極に「酸化マンガン」、負極に「亜鉛」、電解液にアルカリ性の「水酸化カリウム」などを使用しています。
アルカリ乾電池の中では何が起こっているのか…?
アルカリ乾電池は、主に3つの大事な材料が入っています。
- 正極(プラスの部分)には、「酸化マンガン(二酸化マンガン)」という物質が入っているのですが、これが電池の中で電気を作るのを助けます。
- 負極(マイナスの部分)には、「亜鉛」という金属が使われます。この亜鉛が電気を生み出すのに必要です。
- 電解液(でんかいえき)というのは、電気を伝える液体です。アルカリ乾電池では、アルカリ性の「水酸化カリウム」という液体が使われます。
この液体によりマンガン乾電池より電気が流れやすいようなっています。
そして乾電池の中では、これらの材料が一緒に働き電気を作り出しています。
簡単に言えば、アルカリ乾電池はマンガンと亜鉛が手を組んで電気を生み出す小さな工場みたいなものなんですね!
アルカリ乾電池の最大の特徴は、長時間の高出力を必要とする機器に適している点です。
そのため、デジタルカメラ、ポータブルオーディオ、ラジコンカーなど、エネルギーを多く消費する機器に向いています。
そして電圧も安定していて、放電が長時間続けられるのが強みです。
価格はマンガン電池に比べてやや高めですが、寿命が長いため、頻繁に電池を交換しない機器には便利となります。
マンガン乾電池
マンガン乾電池は、アルカリ乾電池と同じく正極に「酸化マンガン」を使用し、負極には「亜鉛」が使われます。※正極に使われている「酸化マンガン」がマンガン電池の名前の由来。
そして、電解液は酸性の「塩化アンモニウム」や「塩化亜鉛」などが使われます。
アルカリ乾電池の正式名称は「アルカリマンガン乾電池」
ここで、あれっ?アルカリにも「酸化マンガン」を使っていたのでは、と思われた方がいるかもしれませんが…
その通りで、アルカリ乾電池の正式名称は「アルカリマンガン乾電池」となります。
電池の中に使われている「アルカリ性の電解液(水酸化カリウム)」と「酸化マンガン」という2つの主要な材料に由来している為、このような名前になりました。
電池売り場や製品のパッケージなどでも「アルカリマンガン乾電池」と書かれていることがありますが、略して「アルカリ電池」と言われるのが一般的となっています。
「マンガン乾電池」の中では何が起こっているのか…?
マンガン乾電池もアルカリ乾電池と似ていて、主に3つの大事な原料が入っています。
- 正極(プラスの部分)には、「酸化マンガン」という物質が入っているのですが、これが電池の中で電気を作るのを助けます。アルカリ乾電池と同じですね。
- 負極(マイナスの部分)には、「亜鉛」という金属が使われます。これが電気を生み出すために必要です。これもアルカリ乾電池と同じです。
- 電解液(でんかいえき)という電気を伝える液体ですが、マンガン乾電池では酸性の「塩化アンモニウム」や「塩化亜鉛」という液体が使われています。
この液体が電池の中で、電気が流れるようにしてくれています。
マンガン乾電池は比較的安価で、低出力の機器に適していると言われます。
そして、マンガン乾電池の大きな特徴は、適度に休ませることで一時的な回復が見込めることです。
そのため、リモコンや懐中電灯など、頻繁に使用されず、少量の電力を消費するようなものに適しているといわれます。
ただし、エネルギー効率はアルカリ乾電池より低く、長時間の使用には向いていません。
「アルカリ」と「マンガン」主な違い まとめ
特徴 | アルカリ乾電池 | マンガン乾電池 |
---|---|---|
電解液 | アルカリ性(水酸化カリウム) | 酸性(塩化アンモニウムなど) |
出力 | 高出力 | 低出力 |
寿命 | 長寿命 | 短寿命 |
価格 | やや高い | 安価 |
適した機器 | 高消費電力機器 | 低消費電力機器 |
簡単にまとめると、アルカリ乾電池は高出力機器に向いており、マンガン乾電池は低出力機器に向いているということになります。
近年では、アルカリ乾電池も安価で出回っているため、メリットしかないようにも感じますが、一つだけデメリットを言えば、劣化して液漏れした場合〔乾燥して白い粉状になることが多い〕、漏れる液体は「アルカリ性※」なので皮膚や目に触れると危険です。
※アルカリ性の物質は強い腐食作用を持っているため、皮膚に触れるとやけどのような症状が現れたり、目に入ると視力に影響を与える可能性もあります。
そのため、小さなお子さんなどがいる場合は特に注意が必要となります。
最後に
アルカリ乾電池とマンガン乾電池は、それぞれの特性に基づいて使い分けが可能です。
高出力が求められる機器や長時間の使用を考慮する場合は、アルカリ乾電池が最適です。
例えば、デジタルカメラやおもちゃ、携帯ゲーム機など、エネルギーを多く消費する機器では、アルカリ乾電池の長寿命と高出力が力を発揮します。
一方で、低出力の機器やあまり頻繁に使用しない機器には、マンガン乾電池を選ぶこともできます。
リモコンや壁掛け時計、懐中電灯などの軽い負荷であれば、マンガン乾電池で十分な性能を発揮します。
このように、用途に応じて乾電池を使い分けることで、効率よくエネルギーを活用できるだけでなく、長い目で見たらコストの削減につながるかもしれませんね!