おせち料理一品一品の意味

お正月になると、色とりどりで美しい料理が重箱に詰められた「おせち料理」を見る機会が増えますが、実はこのおせち、1つ1つに願いが込められた “縁起物” の詰め合わせだったんです。
今回は、その中でも特に定番の黒豆・数の子・伊達巻を詳しく、そして、その他の料理に込められた意味についても分かりやすく一覧にしました。
意味を知ってから食べると、いつものおせちが少し特別に感じられるかもしれませんよ!
🎍 まず、『おせち』とはどんな料理?

おせち料理はもともと、新年の始まりに年神様(としがみさま)〔新しい一年の幸せや豊作、健康をもたらすとされる神様〕をお迎えし、幸運を願うための祝い料理として広まりました。
その起源は平安時代の祭事にさかのぼるとされ、長い歴史を持っています。
こうした背景から、おせち料理は「一年の幸せを願って食べる料理」とされ、使われる食材一つひとつにも縁起の意味が込められているのです。
黒豆|「まめに働き、まめに暮らす」

それでは、おせちでも代表的な『黒豆』です。
黒豆の「まめ」には、健康で、真面目に、こつこつ働くという意味があります。
昔の日本では、「一年間、病気をせず元気に過ごせること」それ自体が何よりの願いでした。
そのため、この黒豆は、
👉 無病息災
👉 勤勉でいられること
などを願う縁起物として、おせちに欠かせない存在になったのです。
つやつやした黒豆を見た瞬間、「今年も元気に過ごせますように」という、昔の人の想いが伝わってくればOKです!
数の子|「子孫繁栄」の象徴

数の子は、ニシンの卵がたくさん集まった食べ物です。
その見た目から、意味はとても分かりやすく、
👉 子どもや孫がたくさん増えるように!
👉 家系が長く続くように!
という「子孫繁栄」の願いが込められています。
特に武家社会では、「家が続くこと=最大の繁栄」と考えられていたため、数の子はとても大切にされてきました。
現在では、「家族が仲良く続きますように。」という意味で食べても素敵かもしれませんね!
伊達巻|「学問・知恵が身につく」

ふんわり甘い伊達巻。
実はこの形、昔の巻物(書物)を表していると言われています。

そんなことから、
👉 学問成就
👉 知恵が身につく
👉 文化的で豊かな人生
などといった意味が生まれました。
そして、この「伊達」という言葉には、おしゃれ・教養があるというニュアンスがあることもポイントですね!
「伊達(だて)」とは?

伊達とは、見た目が華やかで粋があり、おしゃれで洗練された様子を表す言葉です。
この言葉は、派手で独自の美意識を持っていた伊達政宗の姿に由来するといわれていますが、単に目立つだけでなく、センスや教養が感じられる格好よさを含んでいるのが特徴です。
新しい一年を、賢く、楽しく、充実して過ごせますようにそんな願いが詰まった一品だったのです。
おせち料理食材の意味一覧表! 定番から地域色のある料理まで

その他のおせち料理にも、一品一品ごとに願いや縁起が込められています。
そこで、ここでは由来・意味・ポイントまで分かるように一品ずつ整理してみました!
それでは、順に見ていきましょう!
| 料理名 | 意味・由来 | 込められた願い・縁起 |
|---|---|---|
| 田作り(ごまめ) | 昔、カタクチイワシを肥料にして田畑が豊作になったことから | 五穀豊穣・仕事運・商売繁盛 |
| 昆布巻き | 「よろこぶ」に通じる語呂合わせ | 喜びが多い一年・祝い事 |
| 紅白かまぼこ | 紅=魔除け、白=清浄。半月形は日の出を表す | 新年の門出・厄除け |
| 栗きんとん | 黄金色=金運の象徴 | 財運・豊かな暮らし |
| 海老 | 腰が曲がるまで長生きする姿から | 長寿・健康 |
| たたきごぼう | ごぼうは根が深く張る野菜 | 家の基盤が安定・家運隆盛 |
| 菊花かぶ | 菊は皇室の紋章、株が上がる=運気が上向く、長寿の象徴。 | 健康長寿・無病息災 |
| 酢だこ | 「多幸(たこう)」に通じる語呂 | 幸せが多い一年 |
| くわい(慈姑) | 「大きな芽が1本まっすぐ伸びる」 | 成功・出世 |
| 鯛(祝い鯛) | 「めでたい」の語呂合わせ | 慶事・幸福 |
| 鰤(ぶり)照り焼き | 成長に合わせて名前が変わる出世魚 | 出世運・成功 |
| れんこん | 穴から先が見通せる | 将来の見通し・先見の明 |
| なます(大根と人参) | 紅白の色合いが祝い事を象徴 | 平和・調和 |
| 八頭(やつがしら)・里芋 | 里芋はたくさん子芋をつける作物。八頭は親芋と子芋が一体化して大きな塊に=頭(かしら)になる。 | 子孫繁栄・出世 |
| 松風焼き(まつかぜやき) | 裏にケシの実=「裏のない正直な生き方」 | 誠実・信用 |

〔菊花かぶ〕


〔松風焼き〕

〔鰤(ぶり)照り焼き〕


〔ヤツガシラ(里芋の一種)…流通量も少ないので普通の里芋で代用する家庭が多いです。〕
おせちは “願いを食べる日本の文化”!

おせち料理は、ただのごちそうではなく、「こんな一年にしたい」「こうありたい」という願いを、家族みんなで分かち合う日本ならではの食文化です。
「この料理には、こんな意味があるんだよ~」そんな一言があるだけで、お正月の食卓はぐっと楽しくなるはずです。
意味を知るほどに、つい品数を増やしたくなってしまうかもしれませんが…… それもまた、お正月の楽しみですね (笑)
来年のおせちは、ぜひ “味わい“ だけでなく、そこに “込められた意味“ も一緒に楽しんでみてください。
それでは、どうぞ良いお年をお迎えください!





