どうして呼吸が必要なの…?
人間や動物は当たり前のように呼吸をしますが、どうして呼吸が必要なのでしょうか…?
それは、「体が正常に機能するために酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する必要があるから」ということのようです。
それでは順を追って見ていきましょう!
エネルギーをつくるには酸素が必要
体や脳を動かすためにエネルギーが必要ですが、そのエネルギーを合成するために酸素が必要不可欠です。
エネルギーの合成
私たちの体は、食べ物(特に糖)を使ってエネルギーを作っています。
食べ物は消化によって小さな成分に分解されますが、その後これらの小さな成分は細胞に取り込まれ、主にミトコンドリアで酸素と一緒にエネルギーに変わります。
そして、このエネルギーは「ATP(アデノシン三リン酸)」という形で保存され、体を動かすための燃料となるのです。
簡単に言うと、細胞は「食べ物+酸素」から「エネルギー」を作り、そのエネルギーを使って、私たちは動いたり体の機能を維持しています。
酸素は食べ物のように体に蓄えることができないので呼吸で取り入れ、肺に入った酸素は血液中に入り、赤血球〔血液細胞〕のヘモグロビン〔赤血球内のタンパク質。酸素を運ぶ働き〕と結合して体中に供給しています。
〔酸素→O2、ヘモグロビン→Hb〕
それと同時にヘモグロビンが、不要となった二酸化炭素〔体がエネルギーを作る際に発生〕を受け取り肺に戻し、口、鼻から身体の外へ吐き出しているのです。
吐き出した空気にはまだ多くの酸素が残っている
人や動物は、空気中の酸素ばかりを吸っているわけではなく、吸った空気の約78%は窒素で、酸素は約21%になります。
【空気の成分】
空気は主に窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.93%)、二酸化炭素(約0.04%)、微量の他のガス(ヘリウム、ネオン、メタンなど)
その約21%の酸素も呼吸の際、全てが使用されているわけではなく、吐き出した空気にはまだ約16%の酸素が残っているのだそうです。
※ちなみに、吐き出した空気には二酸化炭素(CO₂)が約4%、吸い込んだときの約0.04%から増加して含まれる。
思っていたより効率的に酸素が使われていないようにも感じるのですが…
だから、人口呼吸が可能というわけなのですね。
酸素がなくなると体では何が起こる?
もしも、呼吸が止まり酸素を取り入れることができなくなると、体の中ではどのような変化が起こるのでしょうか…?
酸素供給がなくなると、体内では急速にさまざまな変化が起こります。
1. 脳の影響
脳は酸素を大量に使う〔酸素供給量の約20%を使う〕ため、酸素不足になると数分で意識を失います。
さらに酸素が供給されないと、脳細胞がダメージを受け、回復できなくなることもあります。
2. 心臓と全身の機能停止
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしていますが、心臓の動きにも酸素が必要です。
酸素がないと、心筋〔心臓の筋肉〕がエネルギー不足に陥り、血液を送り出す力が徐々に弱まります。
そして心臓が止まると血液が全身に巡らなくなり、他の臓器も機能しなくなります。
3. エネルギー不足
全身の細胞も酸素を必要としています。
酸素がないと、細胞はエネルギーを作り出す効率的な方法を使うことができなくなります。
通常、酸素を使って行われる「細胞呼吸〔細胞が酸素を使って食べ物からエネルギーを作り出す〕」というプロセスで、細胞は食べ物からたくさんのエネルギーを作り出しますが、酸素が不足すると、体は代わりに「嫌気呼吸(けんきこきゅう)〔酸素がない環境で細胞がエネルギーを生成〕」という、効率が悪く、エネルギーがほとんど生産されない方法に頼るしかなくなります。
嫌気呼吸(無酸素呼吸)によって作られるエネルギーは非常に少ないため、細胞の活動が大幅に低下し、体の機能が維持できなくなります。
結局、酸素がなければ体はエネルギーを作れず、命に関わる事態になるのです。
まとめ
人や動物が呼吸をしないと死んでしまうのは、体の細胞がエネルギーを生成するために酸素が必要不可欠だからです。
呼吸を通じて酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出することで、体は正常に機能し続けられます。
そのため、この仕組みが止まると体はエネルギーを作れなくなり、生命を維持することが難しくなるということだったのです。