宇宙は無重力…?
宇宙と聞くと、フワフワと何でも浮く無重力のような気がしますが、本当のところはどんな場所なのでしょうか…?
バケツを勢いよく回転させるとどうして水がこぼれない…?遠心力、向心力、重力について
地球から上空ににいった場合も同じで地球の表面から離れるほど地球の重力の影響はだんだん減少していきますが、大気圏〔地球を取り巻く大気の層〕を超えた宇宙空間にもまだ重力が存在しています。
けれども、宇宙空間では地上で感じるような重力、それと空気抵抗などがとても小さいので物体は重力の影響を受けながら自由落下状態※にあります。
【自由落下】とは…?
自由落下とは物体が重力の影響を受けて自由に落ちることを言います。地球上ではボールなどの物体を放り投げてもその物体は地球の重力に引かれて加速しながら落ちてきます。
これが地球上の自由落下なのですが、宇宙空間でも同じように物体は重力の影響を受けて自由に落ちています。
しかし、地球の大気圏を超えた宇宙空間では、地球のような地面がなく、空気抵抗もほとんどないため自由に落ち続けます。【慣性の法則】
【慣性の法則】とは…?
物体は外部からの力が働かない限り、静止状態または等速直線運動〔速度が一定で直線上を運動すること〕を続けるというニュートンの法則なのですが、外部からの力が働かない限り、速度が増加することもなく落ち続けることになります。
慣性の法則とは?地球の『公転速度』は時速10万㎞『自転速度』は時速1,700㎞
そのため、地球の上空でボールを手から離すと、地面に向かって落ちるのと同じように、宇宙船も地球の周りを落ち続けていたのです。
頭では分かっても、なんとなく地球の地面の方に落下して戻ってきそうな気がしますが…
大気圏の厚い空気の層を抜けることが可能なほどの時速数万キロのスピード〔地球の脱出速度を超えるスピード〕で上方に向かうにつれて地球の重力が徐々に弱まりますが、それと同時に大気圏の上面を超えることによって大気の影響を受けなくなります。
しかし、ロケットエンジンなどの加速により大気圏〔地球を取り巻く大気の層〕を抜け、地球から脱出してその速度を得てしまうと地球に戻るのは容易ではないようで、地球に帰還するには、やはり数万キロのスピードと大気圏内での摩擦や圧力に耐える素材が必要となるそうです。
一度宇宙に行ってしまうと地球に帰るのも大変な作業なんですね。
国際宇宙ステーション(ISS)は地球上の約90%ぐらの重力がある
宇宙は無重力か…?の話しに戻りますと、国際宇宙ステーション(ISS)※は高度約400kmぐらいの位置なのですが、無重力どころか地球上で生活しているのとさほど変わらない地上の約90%ぐらの重力があるそうです。
けれども大気圏を抜けた宇宙空間のISSは、地球の重力(引力+遠心力)とつり合う速度で地球の周りを周回しているため、宇宙空間へ飛び出すこともなく等速で地球を回り続けています。
※国際宇宙ステーション(ISS)の速度は時速約28,000キロメートル(秒速約7.7km)になります。ISSは地球の周りを約90分で一周し、その速度は地球の重力による引力とISSの軌道の高度によって決まります。ただし、わずかながら大気抵抗など外部からの力の影響を受けるため定期的にエンジンを使用して軌道修正を行っています。
そのため、ISS内の人や物体に関しても常に自由落下の状態にあり、重力による引力と遠心力がちょうど釣り合っているため、『無重力(無重量)』状態になっていたのです。※わずかに重力がある微小重力ともいったりするようです。
何となく不思議な感じがしますが、宇宙船内で浮いているように見えるのは、たとえ重力があったとしても宇宙船が人間と一緒に自由落下〔超高層ビルのワイヤーが切れたエレベーター内のように〕なっているため、その空間は無重力(無重量)と同じような状態になっていたのです。
このことに初めてに気が付いたのはアルベルト・アインシュタインになります。
ちなみに、月は地球の重力に引かれて地球の周りを回っていますが、この関係もISSと同じようなことが言えます。