クモは昆虫なの…?
クモは他の昆虫に比べて、体のバランスが違うような気もしますが…
昆虫なのでしょうか…?
≪昆虫の定義≫
まず、昆虫の定義からになりますが、【頭部、胸部、腹部】に分かれており、そして、【胸部には3対6本の脚】、【頭部に触覚がある】などになります。
そうなると、この時点ですでにクモは昆虫ではないと結論づいてしまいますが…
それではクモはいったい何者なのか?というと、クモはクモだということなのです。
地球上の生物(動物)の分類方法。いったい地球上には何種類の生物がいる…?
もう少し詳しく虫の分類を見てみますと、
例えば、日本にもいる大きいクモ、〔アシダカグモ↓〕でしたら、
『 クモ綱 クモ目 アシダカグモ科 アシダカグモ属 』
〔カブトムシ↓〕なら、
『 昆虫綱 甲虫目 コガネムシ科 カブトムシ属 』
そして〔赤とんぼ↓〕なら、
『 昆虫綱 トンボ目 トンボ科 アカネ属(アカトンボ属)』
と、このように昆虫図鑑などにはクモも昆虫と一緒に載っていたりするので昆虫の仲間ではないかと思いがちですが、実は違う仲間だったのです。
≪クモ(蜘蛛)の定義≫
今度は、少し大きい枠からクモの分類を見ていきたいと思います。
『動物界 節足動物門※ 鋏角亜門※ クモ綱 クモ目 …科 …属 …種』
※節足動物門(せっそくどうぶつもん)… 外骨格、関節がある。ここまでは昆虫と同じ。
※鋏角亜門(きょうかくあもん)… クモ綱(サソリ、クモ、ダニ)やカブトガニ綱など。
そしてクモ綱(クモこう)の定義は、【前体〔頭胸部〕と後体〔腹部〕のみ】からなり、
【8本の脚がある】、【触覚と顎がなく、鋏角(きょうかく)〔口の周りに餌を掴むための特有のもの〕がある】などになります。
≪ヒトの定義≫
せっかくですので、ヒトを同じように分類してみると…
『動物界 脊索動物門※ 脊椎動物亜門※ 哺乳綱 霊長目 ヒト科 ヒト属 ヒト(種)』
というようになります。
※脊索(せきさく)動物… 背骨がある動物
※脊椎(せいつい)動物亜門… 亜門(あもん)は門の中の1つで、ここでいう脊索動物のうち、魚類、鳥類、両生類、爬虫類、哺乳類の5類
このように、クモはクモ綱、昆虫は昆虫綱、ヒトは哺乳綱というように違う分類とされていたのです。
※【綱(こう)と目(もく)】などに相当するものとして【類(るい)】を用いたりもします。
アシダカグモは江戸時代にゴキブリ駆除のため輸入
ちなみに、ちょっと余談になりますが…
見た目はともかく、ほとんどのクモは人間にとって害虫を食べてくれる益虫〔人間の生活に何らかの形で役立つ虫など〕になり、アシダカグモは、江戸時代にゴキブリ駆除のため、人為的に日本へ輸入をしたなんて話もあるようです…
クモの巣は鉄よりも丈夫…??
クモの糸は手で払っても、まとわりついてなかなか取れないですが…
この糸、実は相当丈夫なんだそうです…
主成分はタンパク質でとても弾力性があるのですが、どれくらいすごいのかというと…
- 同等の太さの鋼鉄に対して約4~5倍の強度
- ナイロンの2倍の伸縮率
- 300度以上の耐熱性
例えば、
クモの糸を鉛筆ぐらいの太さにした場合、
理論上ではジャンボジェットでさえも、
クモの糸に捕らえられた虫のようになってしまうと言うのです…
実際、天然のクモの糸で小さい鳥ぐらいは引っ掛かってしまい餌食となることはあるようなので満更でもないのかもしれません。
そのため、クモの糸の強度であったり、特性を活かした人工のクモの糸の研究も進められており、素材が脱石油素材であることもあって、アパレル業界、医療や自動車業界、ほか様々な分野で期待されています。
クモの巣にクモ自体が引っ掛からないのはなぜ?
クモの巣に、色々と獲物が引っかかっているのを見ますが、クモ自体が動けないように引っかかっているのを見たことがありません。
どうしてなのでしょうか…?
実はクモの巣〔クモの網〕は全てがネバネバしているわけではないようなのです。
もちろん作っているクモはそれを知っているわけなのですが、
網の【縦の糸】と【自分のいる中心部】は ⇒ ネバネバしていなく、
【横の糸】のらせん状になった部分は ⇒ ネバネバ地帯なのです。
ここでやはり思ってしまうのは、網の上で捕まった虫などと格闘したとき、クモも誤ってネバネバ地帯に引っ掛かってしまわないのかと…
しかし、その心配はなくクモの脚には脂肪質の液体が分泌されており、たとえ引っ掛かったとしても簡単にはくっつかないようになっているということです。
クモはクモの巣をどうやって張る?
それでは、次にどうやってクモの網を張っているのか?
なのですが…
クモ自体が糸につるされて、飛んでいって張っているのではなく、腹の先にある糸いぼ〔糸を作るための液を貯める場所〕から出した糸を
風に乗せて隣の枝や木などに付け、そこを渡り往復しながら張っています。
毎日のように網を張り替える種類のクモも多く、網を食べることによって回収して、再利用しながら新しい網に張り替えているということです。
クモは体のほとんどが脳
クモは精密機械で作ったような立派な網を張るわけですが、よっぽど頭がいいのではないかと思いませんか…?
それもそのはず、クモによっては体積の約80%を脳〔中枢神経系〕で占めている種類もいるようです。
クモの個体が小さいほど脳の割合が高くなり、脚のほうまで脳がはみ出しているものも存在するようです。
幼虫に至っては、体がほぼ脳のものもいるようです…
クモは酒ではなくコーヒーで酔う
お酒で人は酔いますが、クモはコーヒーで酔っぱらうそうです…
それはコーヒーに含まれている、カフェインがクモに影響を与えているようなのですが、クモの網が使い物にならないぐらいスカスカになってしまうんだとか…
実際に、ある学者が実験で薬物以外にカフェインも試したところ、覚せい剤以上に滅茶苦茶なクモの網なったという研究結果がでたそうです。
クモの場合、カフェインにより中枢神経が麻痺してしまい、人間でいう酒に酔ってフラフラな状態になってしまう
ということなのです。